【ASIBAレポート】生成AIアイデアソン 作られ方の脱構築
イベント概要
2024年4月14日、渋谷QWSにて、一般社団法人ASIBAとSAMURAI ARCHITECTS、and_dの共催による「生成AIアイデアソン 作られ方の脱構築」が開催されました。当日は建築都市の分野に限らず,多くの方にお越しいただき,イベントは大盛況となりました。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
本イベントは、生成AIが建築・都市の作り方にどのような影響を与えるのかについて考え、その可能性を探るアイデアソンの第1回目です。
第一章: 生成AIの紹介とハンズオン
イベントの冒頭では、生成AIの概要説明とハンズオンセッションが行われました。
まずは文章生成AIのChatGPTと画像生成AIのRenderyについて、その機能や活用事例が紹介されました。ChatGPTでは質問応答や対話、テキスト生成などが可能で、Renderyでは言葉から画像を生成したり、既存の画像をスタイル変更することができます。
続いてハンズオンセッションが開催され、参加者は実際に生成AIを体験しました。Renderyを使って、言葉で画像を生成したり、言葉と画像から画像生成したりしました。また、ChatGPTで詩を生成し、自分の手で修正や発展を重ねながら面白い詩を作り上げていきました。さらにp5.jsのコードをChatGPTに書かせ、そこから絵や動画を作成するチャレンジも行われました。
このように、文章から画像、プログラミングコードまで様々な生成が可能な生成AIの能力が実感できるハンズオンとなりました。生成AIが建築・都市分野にもたらす変革の端緒が垣間見えた部分でもありました。
第二章: パネルディスカッション
ハンズオン後には、建築×生成AIをテーマとしたパネルディスカッションが行われました。
スピーカーは、and_dの梅津さん、ASIBAの須藤さん、建築家でビジネスデザイナーの宮下巧大さん、SAMURAI ARCHITECTSの加藤利基さん(司会)の4名でした。
生成AIが建築設計プロセスにどのように統合され得るか、そしてそれが都市の構造と機能にどのような革新的変化をもたらすかについて議論しました。
実際に生成AIを活用してプロジェクトを進めたりやサービスを提供したりしている方々からのリアルな体験談は非常に価値があるものでした。
特に、
「今に生成AIなどのツールをどうはめるかではなく、当たり前を疑い、今をどう変えるか、を考えないといけない」
「モノでもなく、コトでもなく、カチをつくる」
「建築をつくることもイノベーションをうむこともどちらも世の中の景色を変える」
などの言葉がとても印象に残りました。
生成AIを建築プロセスにどう活用するか、新たな可能性は何かなど、活発な議論が交わされました。建築と生成AIの新しい関係性を考えるうえで、有意義なディスカッションの場となりました。
第三章:アイデアソン
パネルディスカッション終了後、参加者は自分の興味領域に近い人たちとグループを組みました。合計8つのグループに分かれてアイデアソンを行いました。各グループでは、生成AIを活用した建築・都市の新しい作り方について、熱心に討論が行われました。
各グループが設定した具体的なテーマは以下の通りです。
グループの集合知がデザインになる(デザインの民主化)
お互いの専門知識のギャップを埋めたい
デザインからマテリアルではなく、マテリアルからデザインを考え、サステイナブルな生産プロセスにする
日本っぽいけど〇〇国っぽい家/町があったら、移民の文化がブレンドした新しい日本の街並みが生まれていくかもしれない.
散らかった部屋の画像をもとに片付けやレイアウト変更の手順を生成する
AIの空間形状学習と物体検証を用いて部屋の写真からユーザに意思決定の援助を提供する。
四国の魅力を形成している要素を元に建築・街並みの画像を生成する
地域が考える建築 ~AI活用による空き地・空き家のリデザイン~
住民からの意思データを集め、住民の「これが良い」という要望空間を画像で生成して設計に活かす。
都市農家を「土づくり」から応援する ~生ごみの堆肥化プロジェクト~
都市内で発生した生ごみを回収して肥料化させ、都市農家に届けるサブスクリプション
「好奇心」や「妄想」から生まれた案がグループワークを経て、徐々に具体化されていきました。生成AIの長所を最大限に活かしながら、建築・都市の未来を切り拓く独創的な提案が次々と生まれていった様子がうかがえました。
第四章:成果発表
3時間半に及ぶアイデアソンの成果として、各グループが考えた提案をプレゼンテーションしました。
発表の際には、髙木秀太さん(合同会社髙木秀太事務所)、中島貴香さん(株式会社フォトラクション)、宮下巧さん(建築家・ビジネスデザイナー)、布井翔一郎さん(NOI STUDIO)をゲストに迎え、各提案に対してコメントや質問をいただきました。
第五章:表彰とクロージング
最後に、優れた提案に対して髙木賞、中島賞、宮下賞、布井賞が授与されました。表彰後は記念撮影が行われました!
・高木賞
都市農家を「土づくり」から応援する ~生ごみの堆肥化プロジェクト~
・中島賞
・宮下賞
・布井賞
また、参加者の中にはASIBAインキュベーションプログラムへの参加が決定した方もいました。実際に社会で実装や挑戦をできる環境を、私たちASIBAの運営メンバーが整えていこうと思います。
本イベントを通して、生成AIが建築・都市分野に大きな変革をもたらす可能性が示されたと思います。アイデアを提案で終わらせることなく、実践につなげていけるよう、参加者同士の交流の場も設けられていました。本ワークショップはこれにて終了しましたが、参加してくれた方々には、この回をきっかけに生成AIに対して関心を持ちつつ、またみんなで語り合いながら未来を構想し、どんどん社会に実装していって欲しいと思います!
参加していただいた皆様本当にありがとうございました!
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