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シンガポールの発展を「地域密着事業」のビジネスモデルに置き換えてみる

日本の東京都23区ほどの大きさしかなく、人口も500万人程度しか住んでいない小さな国、シンガポール。この小さな国は1人当たりGDPとしては世界5位となる72,795ドルとなり、今でも金融大国としてばく進中です。

「なぜこんなに小さな国で、人も土地も資源も歴史もない国がここまで成長できたのか」

私はこの答えの中に、地域密着事業の生き残りをかけた戦略が隠されているのではないかと感じていました。

シンガポールという国はとても優れたシステムを作り上げ、自国資源ではなく世界中から資源、つまりはビジネスや人材を集めて国内にマネーを落とす仕組みを構築しています。

この仕組みを地域密着事業の戦略に転換してやろうという発想です。

地域密着事業を展開されている方はぜひご確認ください。

シンガポールの優れた仕組み

立地の特性を生かす

日経ビジネス版 ASEAN進出ガイド(第三回)

このようにシンガポールは東南アジアの諸国に非常にアクセスがしやすい立地となっています。

東南アジアは、人口もまだまだ増加している地域で若年層の比率も高いため、労働力としてのポテンシャルがあります。これにより、生産性の向上や消費市場の拡大が促進されています。また東南アジア自体が、地理的に国際貿易の中継地として重要な立地となっており、貿易の自由度を高めることで世界中から注目されている地域の1つとなっています。

その東南アジアの中でも、さらに各国にアクセスしやすい立地にシンガポールがあるのです。


シンガポールを利用するメリットを与える

金融ビル群(マリーナベイサンズの真下より)

東南アジアが世界中から注目されていることはわかりましたが、次はその注目をシンガポールに向けさせなくてはなりません。

そこで、シンガポールは優れた港湾施設と空港を戦略的に作ります。海上と空路の交通ネットワークが発達させることにより、物流や貿易の中継地としての役割を果たし、多国間のビジネス活動に便利なアクセスを可能にさせることに成功します。

また、シンガポールは金融センターとしての地位を確立し、国際的な金融機関や企業の拠点としての地位を確立させたほか、税制上の優遇措置を打ち出し、世界中のビジネスやマネーを集めました。

法人税も所得税も日本の約半分ですし、相続税はなんとタダ!そのほかインカムゲインやキャピタルゲインも全て非課税という圧倒的な税制メリットを武器に世界中から企業を誘致します。

こうやって、シンガポールは、東南アジアでビジネスをしようとする企業にシンガポールに拠点を置くメリットを多分に用意したわけです。

東南アジアという魅力的な市場を見出して、そこにアクセスしたい人たちにメリットを与えるような環境を作り上げました。


地域密着事業を戦略的に設計する

地域密着事業とは、ここではその地域の住民等をターゲットに事業を展開する事業を言います。飲食店や介護事業など店舗を持つビジネスが多いでしょう。

このような地域密着事業の最大のリスクは「その地域でしか戦えない」ということです。地域の環境や人口など様々な外部要因によってビジネスの存続が困難となることも決して少なくありません。

このような地域密着事業において、これからの経営戦略とはどのようなモノとなるのでしょうか。

ここで、本題となりますが、私はこの地域密着事業の今後の経営戦略の1つとしてシンガポールの展開が大きく参考になると思っていますのでご紹介します。

前提

地域密着事業は、①その地域にいる顧客またはその地域にくる顧客に対して、②商品またはサービスを提供していきます。

そのため①魅力的な地域であり、②強い商品またはサービスを提供していければ、それが長期にわたり利益を獲得していく仕組み、つまりは事業戦略につながっていくのですが、これには大きなリスクをはらんでいます。

つまりは、①その地域が魅力的でないと難しいという点と、②顧客が限られてしまうため、自力商品またはサービスのみでは限界が来るという2点です。

そこで、地域密着事業の戦略を考えるにあたり、自力の力は大きくなくても発展し続けるシンガポールのような外資本の徹底的な活用という戦略が有効になります。

具体的には、①地域を活性化させる取り組みと、②強い商品を提供していく取り組みが必要となります。

そこで、これらをそれぞれ展開して検討していきたいと思います。

地域を活性化させる

まず前提として顧客対象となるその地域が魅力的でないといけないため、その地域を活性化させ魅力的な市場にしなくてはなりません。

シンガポールにおける東南アジアという地域を魅力的にさせる戦略です。

あなたが展開している、または展開しようとしている地域の魅力は何ですか?

・高齢者が多い
・ファミリーが多い
・ビジネス街で高所得者が多い
・過疎化が進み自治体として強い懸念を頂いている

まず、その地域の特性を様々な角度から考えてみることが第一歩です。自治体のHPからは年齢別事項や世帯数、街に出れば様々な情報にあふれています。自分の視点だけではなく、地域の人や外部の意見をヒアリングしてみるのも有効です。

そのうえで、その特性がビジネスの上で魅力的に映るターゲットを想像してみましょう。

うちの地域には魅力なんてどこにもないよ。。

そんな声が聞こえてきそうです。ですが待ってください。本当にそうでしょうか?あなたの目には魅力的には映らなくても他の方から見ると魅力的なものはたくさんあります。

とても素敵な事例を紹介します。葉っぱビジネスをご存じですか?

徳島県上勝(かみかつ)町は、人口が1500人弱の小さなまちです。人口の半分が65歳以上であり、面積の86%が山林という、いわば山奥の田舎となります。見方によっては、限界集落のような特徴も含まれているかもしれません。
そんな上勝町なのですが、あるビジネスが順調なようです。わかりますか? 彼らが手掛けているのは、山で採れたモミジの葉っぱが大いに関係しているのです。
旅館や料亭などで食事をすると、料理の横に「つまもの」が添えられていることがあります。
たとえば、色鮮やかな季節の葉っぱがお皿のふちに添えられているのを、見たことがある方も多いのではないでしょうか。これのことです。
上勝町では、そのつまものを全国の料亭に出荷することで、年間2億6000万円もの売上を出しています。でもこの葉っぱ、実はそこらじゅうにあるもので、無料で手に入るものなのです!
発起人は、農協職員の横石知二さん(現:株式会社いろどり代表取締役)。横石さんは、料理に添えられていた葉っぱを持ち帰る女性客の姿を見て、「この葉っぱはビジネスになる!」とひらめいたのだそうです。しかも上勝町は土地の86%が山林であるため、葉っぱならいくらでもあります。その中から、料理のお皿に添えても見栄えがいいものを厳選して「彩(いろどり)」というブランド名も冠して、日本各地に出荷しているのです。

東洋経済オンライン

いかがでしょうか?その辺に落ちている葉っぱをビジネスにしてしまおうという大胆な発想。

このような柔軟な発想力をもって、あなたの地域の魅力をまずは探してみましょう。

そしてそのうえで地域を活性化させていく取り組みを考えていきましょう。

自治体とイベントを企画したり、地域活動への参加は地域密着事業においては必須でしょう。そういう活動があまり向かない方は地域密着事業は止めた方がいい。

地域を活性化させていくためには、その地域の中心にいる必要があります。

そのために、自社だけではなく地域を盛り上げていこうという活動が必ず必要です。


強い商品またはサービスを集める

次に、ターゲットが限定的であるため自力商品やサービスだけでは利益を取りづらいという点をどのような形でカバーしていくかを考えます。

シンガポールのような他人のふんどし作戦をどのように成功させていくか。

そのためには、その地域に狙いを定めた外部ビジネスが、直接その地域にアプローチするよりも御社と連携した方が有利だと思ってもらう必要があります。

例えば、地域の顧客リストを多く持っている、地域の順路を熟知している、地元企業とのコネクションを持っているなど。

例えば、私が支援しているお客様に新聞販売店があります。新聞販売店の主な収入は新聞購読料と折込チラシ広告料です。

皆様の想像以上に、新聞業界はかなり厳しい環境に陥っているのは事実です。新聞購読離れ、折込広告からデジタル広告への移行により、新聞業界は大きな転換期に差し掛かっており、新聞販売業界も、Amazonやマクドナルドなどから宅配代行を受注したり、新たな収入源の確保に必死です。

そんな中、私のお客様の新聞販売店と一緒に考えた戦略をご紹介します。

その新聞販売店も、売上の減少、人材の確保に苦戦していて、新たに始めた宅配代行サービスも人員の確保やモチベーションの低下を受けて長続きせず悩んでいました。
そこで改めて新聞販売というサービスを今一度根本から考えてみることにしました。その中で浮かび上がってきたのが「朝」に注目したサービスとして再定義できないかというものです。
「朝起きると机の上に新聞。奥さんが笑顔で淹れてくれた暖かいコーヒーと出来立てのパンをかじりながら新聞を読む。立ち込めるコーヒーの香りの中で自然と弾む会話。なんだか楽しい一日が始まる気がする。正しい日本の朝」こんな朝を提供する会社として再出発することになりました。
近隣のコーヒー店とパン屋と協業することに成功し、毎朝新聞とパンとコーヒーを提供するサービスを開始しました。
コーヒー屋もパン屋も時点の商品PRもできwin‐winの関係。
新聞販売店から「日本の正しい朝」販売店への転換でした。

この事例においても、シンガポールの成功と同様、外資本(コーヒー屋とパン屋)からすると、新聞販売店を絡めることで、まず配達してくれるメリットがあり、それ以外にも自商品を自身の顧客以外にもPRしてくれるメリットもある。そこでできた新規顧客が店にも買いに来てくれるようになる。

やはりここでも、重要になるのが私がよく言うストーリー作りですね。


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いかがでしたでしょうか?

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今回は、事業の飛躍に必要な3つの要素のうち、ビジネスモデルについて、地域密着事業という観点から切り込んでみました。

少しでもお役に立てた部分があれば幸いです。

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