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【読書ノート】ゆっくり、いそげ

テイクすることがビジネスの動機になっている構図がこの数式にも表れているといえる。それを逆転させてみてはどうか。

ゆっくり、いそげ/影山知明著

こんにちは、けいごです。

ビジネスの世界ではVUCA時代といわれ、環境問題や差別問題などの「社会課題」も世界的な問題とされているため、社会全体として「正解の無い世の中」となってきています。

今回紹介する「ゆっくり、いぞげ」では、そのような正解のない社会でビジネスの考え方を見直す提案をしている本です。


社会に「支援関係」を構築する

本書での問題提起は「社会全体のテイク関係」です。
人々が「もらうこと」を考えている社会では、もらったらそこで関係は終わりになってしまいます。
すると関係も構築されず、時間や価値の最大化だけを考え、窮屈で生きにくい社会になってしまいます。
会社で例えてみると、会社が社員に仕事をやってもらうことばかりを考えて運営していれば、社員もその分の給料をもらうことばかりを考えてしまいます。

そこで、人々が周囲からもらうことを先に考えるのではなく、「与えること」から初めていく必要があります。

どちらかが「与えること(ギブすること)」を考えて行動するようになれば、それに応えるように相手に「負債感」が生まれ、もらった相手が何かで応えようとします。
応える内容は給料アップだけではなく、他の経験や役職を提示したり、物をあげたりといったことも含まれます。

もし相手にギブをしても「負債感」が生まれず何も応えないようであれば、それは自分のギブの内容や手段が間違っているか、相手にその余裕がないかどちらかではないでしょうか。

組織運営はボランティアも会社も一緒

ボランティアをやる人の目的は一体何でしょう。
相手からの感謝の言葉、スキルアップ、人脈構築等、人それぞれ目的はあると思います。
そこには、自分の目的達成・主体性の発揮という「自発性」、相手への支援という「公共性」、労働力などをギブをするという「無償性」の3つの原則が働いています。

それに基づくと、会社などの組織運営もボランティア組織の運営と変わらないと考えることが出来ます。
従業員からの理念への共感が重要視され(自発性)、お客さんへの利他性を備えており(公共性)、「お金のため」に働いていれば動機の無償性が発生していることにもなります(無償性)

つまり、ボランティア組織も会社も本質は同じということです。
あたりまえの話かもしれませんが、「提供した価値に対して、何らかの形で応える」ということが必要になってきます。

ビジネスの考え方を見直す

一般的にビジネスでは、金銭的な「利益」が重視されており、成果は一般的に以下の式で表せます。

成果=利益÷(投下資本×時間)

これからのビジネスでは、この式を見直して運営していきます。
主に以下2点を見直します。

①分子の「利益」の定義を変える
「お金」だけでない利益。
技術の伝承や取引先とのお金に限らない支援・応援関係の構築、ゼロサムゲームでない、持続可能なビジネス関係を構築することなどです。

②分母を目的にする
ビジネスの目的を「テイクする」ではなく、「ギブする」ことにしてみます。
本当に良い仕事が出来ていれば、相手の中に「健全な負債感」が生まれ、応えようとします。それが生まれなければ、自分たちの仕事が不十分か、価値を認識する受け手が不十分ということになります。

しかしながら、それは時間やお金を蔑ろにすることではなく、時間をかけて手間ひまをかけることが大事です。
つまり、「ゆっくり、いそげ」ということです。

「ゆっくり、いそげ」とは

本書のまとめです。
「ゆっくり、いそげ」の中に隠されている要素は、以下の4つです。

・自分からギブをして、相手の「健全な負債感」を生み出す。
・小さなところから「社会の支援関係」を構築する。
・「利益」の定義を、お金以外のものも含めて考え直す。
・相手に「健全な負債感」が生まれるよう、試行錯誤する。

これらは著者の仮説ですが、日本の社会を活性化する糸口は、この「ゆっくり、いそげ」の考え方に隠されているのかもしれません。

胡桃堂喫茶店に行ってみた

因みにこの前、この本著者である影山知明さんが経営する「胡桃堂喫茶店」に行ってました。

影山さんもいて、朝のイベントの最中でした。

カフェの一つの特徴として、お客さん自身が次のお客さんのコーヒー代を出して、メッセージを書き、奢られたお客さんが返信メッセージを送る仕組みがあります。※もちろん、やりたい方だけの任意の仕組みです。
こうゆう取り組みを通じで、社会に「与えることから始める」ということをコツコツと実現されているのではないかと思います。

店に行く直前に、今回紹介している本の2作目の存在を知り購入しようと思いました。
しかし、ネットでは売れきれていたのでカフェで購入しようかと店員さんに尋ねてみると、隣にいた(プライベートと思われる)カフェのスタッフさんから何に困っているのかを聞かれ、親身に対応してくださり、刺激をいただきました。有難う御座います!

外観(このレトロ感好き)
カレー(おいしかったです)
胡桃を使ったデザート(この餡子のクリーム好き)

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