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『不適切にもほどがある!』はなぜ見る人の心に刺さるのか

『不適切にもほどがある!』(TBS系)というドラマが面白くて、毎週欠かさず見ています。
このドラマは、阿部サダヲさん演じる「昭和おやじ」が現代にタイムスリップしてきて巻き起こす騒動を描くもの。
特に、最近何かと話題になっている様々なハラスメントや言葉狩りに対して、昭和の感覚で「本当にそれ、正しいの?」という問いかけを行い、話題となっています。
宮藤官九郎さんの脚本で、コミカルなシーンも多く、社会的なテーマなのに笑って見れるのも高ポイントです。

ここ最近、あまりドラマを見なくなっていましたが、久しぶりにドラマの続きが待ち遠しいという感覚を味わっています。
昔は、毎週楽しみにしていた連ドラ(月9とか)がありましたが、久しくその気持ちを忘れていました。今は「金曜の夜10時」をワクワクしながら待っています。

面白いと思っているのは私だけじゃないようです。
『日刊SPA!』の3月15日付の記事によると、コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)で1位を獲得しているとのこと。
なぜ、こんなにも人気なのか。
いろいろな角度からの分析はできると思いますが、ここはひとつシンプルに考えてみましょう。

やはり最大のポイントは「逆張り」ではないかと思います。

近年、ハラスメントに対して厳しい世の中になりました。
パワハラやセクハラがなくなるのは良いことである反面、ちょっとしたことで「ハラスメント」のレッテルを貼るのはおかしいのではないか。
多くの人が、薄々感じて言い出しづらかったことを、バシッと言ってくれる。重くならずにコミカルに表現してくれたことが大きいのではないでしょうか。
世の中で「正しい」とされていることに対するアンチテーゼ、いわば「そうそう、私もそう思っていた」というかゆい所に手が届く感じが、多くの人の心に刺さったのでしょう。

この「逆張り」はヒットの定石です。
逆張りのヒットは、私たちの身近にも存在します。

例えば「甘いキムチ」ってどう思いますか?


キムチといえば辛いのが「常識」でしたが、それだと、子どもたちからは敬遠されてしまいます。そこで、多くのご家庭で幅広く食べてもらうために、辛みと酸味を抑え、甘みを強調し開発された『ご飯がススム』でした。スーパーやコンビニで見かけたことがある、あるいは買ったことがある人も多いのではないでしょうか。
当初は、本場韓国風の本格的なキムチを売っていたのですが、思うように売り上げが伸びない中、「ひょっとすると、私たちが作っているキムチの味と、消費者が食べたいと思う味にズレがあるのかもしれない」という問題提起から生まれた商品でした。

私たちは、つい「多数派の意見」にばかり着目しがちです。しかし、世の中主流ではないところに意外な潜在ニーズがあったりします。

「みんなが行く野原に野イチゴはない」


この名言を残したのは、稀代のヒットメーカー・秋元康さんです。

「みんなが『あっちには何もないよ』とか『あそこは遠いよ』『向こうは蛇が出るよ』『その先には崖があるよ』とか言っている場所にこそ、みんなが知らない野イチゴがある。何かのブームがあった時にそこに群がっても、もう何もない」

本当の価値は、人が見ていないところにあるのかもしれません。





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