1日の終わりに。2024.3.24

一年分、食ふ分ばかり
手前の味噌を仕込む

わらはの小さきほどは
わらはの手に混ぜさせ
敷き詰めし後
表面を触らせて
わらはの手のひらの菌をつけたりき

今には我がほかに触る人あらず

ただ、歳をとりしために
おばあの屯食のごとく
旨みがいだすべかるべくなれるやもと
おのれの手のひらに淡き頼み持ち
味噌を寝かす

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一年分、食べる分だけ
手前の味噌を仕込む

子供が小さい頃は
子供の手で混ぜてもらったり
敷き詰めた後
表面を触ってもらって
子供の手のひらの菌をつけていた

今では私だけしか触る人がいない

ただ、歳をとったせいで
おばあちゃんのおにぎりのように
旨みが出せるようになっているかもと
自分の手のひらに淡い期待を持ち
味噌を寝かせる