花伝書店
小さな古い本屋、店番の若い娘さんが1人。
私は本とは無縁だが、地域密着って感じの本屋さんで人気はあるみたい。
しかし、花伝書店が突然閉店した。しかも年が明けた2024年の元日に。
私は隣で花屋をしている。本を読まないことが気まずくて本屋さんとは話したことがなかった。
話してみたかったな〜と少しの後悔がよぎった時
誰かが書店の前に立っている。
本屋さん!私は思わず駆け寄った。「あの!急に閉店されたんでどうしたかと思ってて…」
「花屋さん、この世から全ての本屋がなくなったらどうします?」
「え?なくならないかと思います」
「明日、世の中の全ての本屋が消えます」と言い立ち去った。
その口調の本気さと、初めて話す私にそんなことを言う理由もわかるはずもなく、次の日を迎えた。
本当に全ての本屋がなくなっていたのだ。
なぜか閉店したはずの花伝書店だけがなくならずにそこにあった。
状況が飲み込めず呆然としていると、時は2057年元日を告げ、花伝書店が開店した。
昨日から33年が経っていた。
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