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ショートショートの部屋

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#一六銀行

一六銀行

一六銀行

二十歳で家を出てふらっとたどり着いた街は、居心地が良くて、すぐに馴染んだ。

誰も知らない、干渉されないのが何よりも良い。

興味がないといえばそうだけど、なんとなくここにいる人達は私と同じ流れ者が多い気がする。

みんなが知らず知らず傷を舐め合っている…そう思ったら、少しだけ自己肯定感があがる。

この街に来てすぐ、求人の張り紙を握りしめて今働いている質屋に押しかけた。お客さんと顔を合わせなくて

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