漫画家の不幸から考える現代の病

漫画原作の実写ドラマが脚本を巡るトラブルによって炎上し続けている。それによって起きた悲しい出来事が人々の心を揺さぶり、現状の業界あり方を疑問視する声が多数上がっている。

これには各業界の有識者や経験者が数多くの意見を述べているので私の様な素人が偉そうなことを言っても仕方ない。私は私なりの視点でこの問題について書いてみたい。

今回、この悲しい出来事が起こってしまった発端はもちろん漫画やアニメといったコンテンツを軽視して自分たちがいまでも頂点に君臨し続けていると勘違いしているテレビさんたちにある。彼らはいまだにネットやアニメや漫画が自分たちよりも低いカーストにある日陰者のコンテンツだと思っている。自分たちが寄り添ってやっているんだと思っている。今回の騒動でそれらは揺るぎない事実として露呈した。もう何年も前からその下に見ているコンテンツ文化に頼りきってきたというのに。

良い加減に気がつくべきなのだ。ジャニーズ帝国が崩壊し、吉本王国にもメスが入り続けている昨今。もはやテレビ業界は緩やかな死を迎えていると言っていい。テレビが王様の時代はとうの昔に終わりを告げている。自分たちはそこに諦め悪くぶら下がっている存在だということを。

以上は誰の目からも明らかで責められるべきは脚本家やそれらを擁護した人間たちではない。確かに脚本家を含めて業界なのだろうが、例の脚本家は原作者個人を攻撃したかったというより単に自分の仕事にケチをつけられプライドが傷ついたから愚痴った、という次第だろう。問題は業界の姿勢にある。かの業界の腐りきった悪臭は根本から断つべきである。

だが私個人の見解としてはもう少しある。

あくまでももしも、の話だが。

原作者や脚本家がSNSに投稿しなければこんなことにはならなかったのではないか。そう思う。当事者同士だけでやり取りしていれば、もっと狭い範囲での揉め事であればお互いに腹の虫はおさまらない事はあっても、悲劇が起きる可能性は低かったのではないか。要するに大勢の第三者を巻き込んでしまったことで大事になり過ぎたのだ。

確かに原作者は命を削って紡いだ我が子のような作品を汚された事で心に大きな傷を負った。最初にも書いたが許されて良いことではない。もっと作品には敬意を払うべきだ。大前提としてそれは見直して欲しい。だがそれは命を断つほどの事ではなかったと思う。もしも私の言っていることが間違っていれば、日本は今まで多くの漫画原作者を失ったはずだ。だがそうではない。あくまで命あっての作品だ。

以下はあくまで個人の推察にすぎないのでその程度で見て欲しい。

SNSの投稿によって当事者以外の第三者たちが大きな声で騒ぎ出した。すると当事者たちはお互いの尊厳や立場を守るためより多くの情報を提示して本来なら第三者が知らざることまで知れ渡ってしまう。その結果、余計に大事になってしまいそれが心労としてお互いに大きな負荷がかかってしまう。例の脚本家の女性も、きっと今はどこか自責の念に苛まれている。仕事の愚痴だ。誰だって言いたくなるだろう。しかしやはり、SNSに投稿すべきではなかった。おそらく原作者に届くことまでは分かった上でやっていたと思う。しかしここまで大事になるとは思っていなかっただろう。友達や職場の同僚に居酒屋で愚痴っていれば良かったのだ。SNSは愚痴を溢す場所ではない、ましてや実名や仕事で使っているアカウントなら絶対にすべきでない。そう言った危機感が欠けていたことは明らかだ。

SNSは毒にも薬にもなりうる。だが個人的には毒の部分が多すぎると思う。繊細な人や傷つきやすい人ほど今すぐにでもSNSを止めるべきだ。SNSは災いを連れてくる。心の平穏を求めるならSNSのアプリを今すぐ削除するべきだ。私はそう思っている。

亡くなった漫画家の方のご冥福を心からお祈りするとともに、二度とこのような悲しい事が起きないようにテレビ業界の方々はもっと原作に敬意を払うか、もしくはもう漫画原作の実写化はしないで欲しいと願う。

(ご拝読いただいた方より一部事実と異なる事を書いてしまったのでご指摘をいただきました。後にご指摘いただいた部分は削除させていただきました20240203)

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