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ゲキカラドウ

Netflixでシーズン2が配信された。国内ドラマで数少ない楽しみにしている作品だ。

脚本内容はありきたりだし、いい意味で古臭いスポ根的な精神が作品の中心にある印象だし、目新しさをあえて挙げるとすれば激辛の食べ物を身体への配慮一切無く食べ続けるある種ファンタジー的な設定だろう。下品な発想かもしれないがこの営業部は全員年中切れ痔か腹痛に悩まされトイレに立て籠っているから仕事なんてまともに出来るのか?と思ったのは私だけではないはず。

とは言え面白い。

youtuberが激辛メニューを食べて悶絶する動画が数字を稼げているのと同様、この作品も人気である。

作中では唐辛子がもたらす数々のプラス要素を毎回のように紹介しストレスに生きる現代人にとって激辛がいかに必要であるかを説いているが、マイナス要素に関してはノータッチもいいところ。だからこそ、ここはグルメドラマというよりいっそファンタジードラマだと言い切ってしまう方が的確であると考える。そう思って観るとこの作品の面白さがグンと上がる。何より登場するメニューは実在の物が多く、どれも非常に美味しそうだ。

営業のハードルを辛さに例え、それを試行錯誤しつつ最終的にはなんとなくスポ根的な精神で乗り越えていく昭和スタイル。もちろん主人公はそれだけでは無くしっかり現代にも迎合した考えと行動をとって苦難を乗り越えていくのだが、根本にあるのは激辛料理なので最後は根性で乗り切るしかない。激辛料理を平らげるのに小細工は不必要でとにかく慣れと根性があればいい。観ていてなんとなくそんな印象を受ける。単純だがそれが良いと思った。あれやこれや理論を並べていくが最後は強引に感情に訴えて解決する。真剣にツッコミ始めたキリがないしそこまで深く考える内容ではない。でも、娯楽なんてそれでいいと思わせてくれるくらい楽に観られる内容だ。

ドントシンク。フィールイット。まさにそんな感じ。

冷静に考えてしまえば新しいく部署に配属された社員の歓迎会に有無を言わさず激辛料理の店を選びさあ食えと部署の全員で迫ってくる姿なぞ、完全にハラスメント以外の何物でもないのだが、それを受け入れて最終的に「あれ?結構いけるな!」みたいな感じになってしまう主人公がなんとも時代錯誤で観ていて大変好ましい。

個人的にはキャスト陣も好きで特に主演の桐山照史が良い味を出して作品を引っ張っていっている。汗だくになり顔を引き攣らせながらも食べている姿はもはや壮観を通り越して応援したくなるほどであり、彼の額にかいた汗だけでなく真っ赤に腫れた唇がそれが演出ではなくガチでの向き合いである証拠だと窺える。

とにかく人が何かに対して一心不乱に向き合って戦う姿というのはたとえフィクションでも美しくこのドラマはまさに熱血と魂と根性、そんなスーパーロボットを操るパイロットかの様な精神が全体からむんむんと漂う昭和臭さがたまらない魅力のひとつである。

かくいう私も辛いものが好きで一時期は痛覚が麻痺してしまったかのごとく激辛メニューばかり摂取していた。しかしあまりに胃腸を酷使し続けた結果、顔が青ざめるような異常をきたしてしまった。内容は下の話なので割愛させていただきたい。ただひとつだけ言えるのは激辛料理はお酒と一緒で慣れることはあっても馴染むことは決してなく、元々胃腸が弱い方や辛いものが苦手だった方は回を重ねれば食べれる様になるが身体は拒絶し続けているということをゆめゆめお忘れなき様に。

激辛メニューは気になっているが苦手という方はぜひこのドラマを観てもらって、桐山氏の全身全霊をもって挑む姿で自分も仕上がった気持ちになってもらい満足してもらえればその方が幾分健康的であると私個人は考える。

今ならNetflixでシーズン1、2が観れる。



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