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小説を書き始める時のルーチン

僕の場合、ふわっと物語全体のイメージは浮かびますが、細部を詰めていったり書いているうちにテーマがぼやけてしまうことがあります。
そこでやっているルーチンが、言葉の連想ゲームとテーマの論考です。
連想ゲームは1人ブレインストーミングですね。

まず大まかなテーマに寄り添うようなキーワードを書きだします。
そこから、テーマに合う言葉やフレーズ、歌詞などを書きつらねていきます。
この中でテーマソングっぽい歌が見つかることもあります。
ぼくの場合はブルーハーツが多いですね。
「月の爆撃機」や「青空」をテーマソングにしたものを学生時代は多く書いていました。
読者の中には「ブルーハーツっぽい」と指摘される方もいらっしゃいます。

連想ゲームが終わったら、テーマに絡められそうなキーワードを抽出し、副テーマになりそうな言葉や物語を見つけていきます。
この過程の中で、大テーマに合うストーリーの骨格がいつの間にかできてきます。
自分の中でどう作用しているのかわかりませんが、パズルのようなもので、全体を見通した時にパッとはまるピースが見つかっていく感覚です。
あとはプロットで起承転結を作り、副テーマを絡めて肉付けし、基本骨格が完成します。

テーマが強い題材、メッセージ性の強い題材の場合は、連想ゲームをした上で論考もつくります。
SFを書く時はやっていることが多いですね。
学会に出すようなものではないのでざっくりとですが・・・
連想ゲームの中で見つけたキーワードを絡め、題材を補完しつつ、反論や反証も作ります。
これは主人公とは別人の考え方や、主人公自身の変わっていく姿を作ることにも繋がっています。
論文と違って面白いのは、反論・反証はあればあるほど物語の基本軸に対して言及でき物語の厚みが増すことです。
「正しい結果」「正しい証明」はいらないんですよね。
人間が何を信じるか、何を重視するかは人それぞれで、それが個性になります。
こうしてキャラに「信じるモノ」を持たせることができると、一本芯の通ったキャラとして確立させることができます。

あとは、なるようになれとお祈りしながらの執筆です。
作ったプロットや論考をベースに、キャラが動き始めたらその動きに任せるように執筆していきます。
プロットを重視しすぎるとキャラが「物語のために動くコマ」になってしまいがちです。
プロットの段階でキャラの心情や動きを作れていれば別ですが、僕はそこまで煮詰めず、キャラが動き始めるのを待つタイプです。
結果的に、プロット通りになることは少ないですが、「彼らの答えはこうなったんだ」と納得できるような物語にはなっていると思います。

『グリーンアーカイブ』はその最たるものになったのでは、と自分でもお気に入りです。
テーマとしては本来別の形の帰結を考えていましたが、書いているうちにキャラが動き「答え」が変わりました。
彼女たちの「答え」としてしっかり物語を締めくくれたので、プロットやテーマを厳守する必要はないな、と感じました。

『グリーンアーカイブ』は下のリンクから試し読みできますので、ぜひご覧ください。
小説を書き始める時のルーチンについてでした。

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