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公認心理師、臨床心理士、保育士。「推しの子」「葬送のフリーレン」「SPY×FAMILY…

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公認心理師、臨床心理士、保育士。「推しの子」「葬送のフリーレン」「SPY×FAMILY」推しのしんりし。

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  • 臨床心理士から見た「推しの子」

    臨床心理士から見た推しの子の記事です。

  • トラウマやトラウマ治療について

    トラウマセラピスト(臨床心理士、公認心理師)が、トラウマとは?やトラウマ治療についてまとめています。

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お仕事の依頼について

執筆、イベント登壇、取材、経営や企画に関するコンサルティング、共同研究、新規事業開発などについて。 (下記以外でもご相談ください) 主な専門テーマは、 心理学、精神、コミュニケーション、対話、海外、語学、(日本語含)ことば、トラウマ、保育、福祉、自律神経、教育、健康など。 これらについての執筆や、企業内での悩み、新しいサービスや商品の研究や開発、臨床心理学的研究など。 注意事項1と2の下に書いています。 必ずこれら「注意事項」をお読みいただいてから、必要な方はご連絡を

    • カウンセリングが高すぎるのはなぜ?

      カウンセリングは、だいたい地方でも5000円ほど、都会だと1万円前後することがほとんどです。カウンセリングは、健康保険の診療報酬としてごく一部しか認められていないので(2024年5月現在)、医療機関では赤字覚悟のサービスとして、患者さん向けに行われているか、医療機関(保険診療)とは別に自費でやっていることがほとんどかと思われます。 (筆者注:2024年6月からトラウマにかかわる公認心理師の対応には少しだけ診療報酬がつくようになりました) このようにカウンセリングは、5,00

      • 16.アクアとPTSD④(心理的逆転編)

        幸せになりたいのに、いつも逆の行動をとってしまう「心理的逆転」とはロジャー・キャラハンによって開発されれた「TFT(思考場療法)」と呼ばれる心理療法で用いられる考え方です。心理的逆転(Psychological Reverse: PR)とは、「治療で治りたいのに治療を妨げるような行動をとる」「幸せになりたいのに惨めになる行動をとる」など、心のブロックによって自分が望んでいることと真逆のことをしてしまう状態のことをいいます。心理的逆転は、精神疾患や悩みに限らず、身体症状や人生そ

        • 15.アクアとPTSD③(感情コントロール編)

          推しの子第50話では、アクアが客席に「刀鬼」に感情を届ける演技をするため、感情演技について考え始めます。 その際、有馬かなから「今回の場合、『刀鬼』は生きてる『鞘姫』を見て喜びに包まれるわけだから、まぁ嬉しかった事を思い出しながら演技すれば良いわけよ。アンタだって嬉しかった事の一つや二つあるでしょ」と言われます。 アクアが嬉しかった時の記憶を辿り、嬉しい感情を思い出していると、恨みの感情を抱いたゴローの姿がアクアの背後に現れ、アクアに警告し、その後アクアはフラッシュバックを

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        記事

          14.アクア&ゴローと心理社会的発達段階

          今回は、アクア&ゴローの心理社会的発達段階について、考えを紹介したいと思います。ちなみに、エリク・エリクソンの心理社会的発達段階については、以下の3つの記事をご参照ください。 ゴロー(死亡時推定30歳前後)の発達段階「成人初期(20,21歳頃〜40歳頃):親密性 対 孤立」ゴローは6年生の医学部を卒業し、その卒業後の研修医時代(多浪や留年をしていなければ20代後半。26歳くらい?)に、当時12歳のさりなと病院で出会っています。さりなはアイのことを同い年と言っているため、アイ

          14.アクア&ゴローと心理社会的発達段階

          13.アクアとPTSD②(トラウマへの取り組み編)

          前回の「アクアとPTSD①(概要編)」では、アクアに見られるPTSDと思われる症状やトラウマとの違いについて紹介しました。今回の記事では、「PTSDなどのトラウマ治療の実際」について紹介し、「アクアはのトラウマ回復過程の可能性」について考察したいと思います。 (PTSDなどの)トラウマ治療の実際日本でトラウマ治療という言葉が注目され出したのは、本当にこの10年とかそれくらいではないでしょうか。 古くは、19世紀に始まるフロイトの精神分析から始まっているとも言えるでしょう。

          13.アクアとPTSD②(トラウマへの取り組み編)

          12.アクアとPTSD①(概要編)

          PTSD(心的外傷後ストレス障害:Post-Traumatic Stress Disorder)とは、DSM-5(アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル)によると、実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたこと(他人に起きた出来事を目撃したことも含む)によって生じる精神疾患のことを指します。なお、同じ出来事を体験しても、人によってPTSDになるかどうかは異なるということも含み起きください。 PTSD

          12.アクアとPTSD①(概要編)

          PTSDなどトラウマ治療のさまざま

          トラウマとは、ネガティブで圧倒的な出来事を体験することによって、その後にも継続して引き起こされるネガティブな反応のことです。トラウマ的な体験のことをトラウマ体験と呼んだり、その体験に関する記憶自体のことをトラウマ記憶と呼びます。 そのトラウマにも正式な診断名(診断とは医師しかできないものです)があり、PTSDや複雑性PTSD(C-PTSD)がありますが、ここでは特にPTSDについて短くですが紹介しています。 PTSD(心的外傷後ストレス障害:Post-Traumatic S

          PTSDなどトラウマ治療のさまざま

          11.さりな&ルビーの心理社会的発達段階

           今回は、7.有馬かなと心理社会的発達段階(前編)や8.有馬かなと心理社会的発達段階(後編) でも触れた 心理学における心理社会的発達段階(エリク・エリクソン)という考え方を元に、「天童寺さりな(以下、さりな)と星野ルビー(以下、ルビー)の精神的発達」に関して書いていきたいと思います。 心理社会的発達段階(復習)上記2つの記事でも触れたように、精神分析家エリク・エリクソンは、生涯発達における発達課題を示した段階(理論)として心理社会的発達理論というものを提唱しました。年代で

          11.さりな&ルビーの心理社会的発達段階

          10.鳴嶋メルトの精神的成長

          鳴嶋メルト(以下、メルト)は、「推しの子」ではあくまで端役として出てきたように思われましたが、単なる端役ではなく、後にも登場することでその存在感を現しています。「推しの子」の中で急成長を感じさせるキャラは彼以上に存在するでしょうか? 今回は、メルトの成長について心理学的な観点から考えてみたいと思います。 ※アニメ勢の方にとってはネタバレを含むため注意! 「職業:イケメン 俺の天職」 メルトは、「今日は甘口で(今日あま)」では主役級の役を担っていました。これから売りたいモデル

          10.鳴嶋メルトの精神的成長

          9.黒川あかねのプロファイリングと心理的アセスメント

          黒川あかね(以下、あかね)のプロファイリング。アニメ7話(原作28話)では、非常に印象的な場面の一つです(その他、あかねがアイを演じた瞬間が、特に印象的な場面であることは多くの人が感じたことですが)。 プロファイリングとは?プロファイリングについては、記事の後半で説明していますが、このようなひとの分析は、精神医学や心理学的に行うのでしょうか? 診断と心理査定(心理アセスメント)よく精神科医と臨床心理士は混同されがちですが、精神科医はあくまで医師(内科医、外科医、耳鼻科医、

          9.黒川あかねのプロファイリングと心理的アセスメント

          8.有馬かなと心理社会的発達段階(後編)

          前回は、有馬かなの幼少期(アニメや漫画で初登場!)の心理社会的発達段階(エリク・エリクソン)について執筆しました。今回は、有馬かなが成長後、アクアやルビーと再会した17歳時のことについて、この心理社会的発達段階に沿って見ていきたいと思います。 ※今回の記事は、途中からアニメ勢にとってはネタバレを含みますので、注意してお読みください(途中で太字で注意を入れていますので、そこまでは安心して読み進めてください)。 有馬かなの青年期(16~18歳頃)の発達段階は、青年期「自我同一性

          8.有馬かなと心理社会的発達段階(後編)

          7.有馬かなと心理社会的発達段階(前編)

          重曹を舐める天才子役… じゃなかった。 「10秒で泣ける天才子役」有馬かな。芸能界は他の仕事と比べ、かなり特殊な業界のため、「子役」という名のもとに、年端も行かない子どもが現場で仕事をしています。 今回と次回では、その有馬かながアニメや漫画内で描かれている幼少期(4歳頃)〜高校生(17〜18歳)を中心に、臨床心理学的に「エリク・エリクソンの心理社会的発達段階」という発達の観点から考えてみたいと思います。 心理社会的発達段階とは精神分析家エリク・エリクソンが、精神分析の祖で

          7.有馬かなと心理社会的発達段階(前編)

          6.臨床心理士が考える「演技」と「共感」の関係性

          アニメ第7話〜第8話で、黒川あかねは、星野アイのことを調べてわかる情報からプロファイリングのようなことを行い、星野アイのことをトレースしました。果たして私たちはそこまで人の思考や行動をトレースできるのでしょうか?そんなことを考えていると、カウンセリングにおけるセラピストの「共感」と似ているかもしれない、という考えが頭をよぎりました。 演技をする時にはその役の気持ちになりきる?実際、私は音楽については多少やっていたものの、演技についてはほとんど経験はなく、正直ここでは大したこ

          6.臨床心理士が考える「演技」と「共感」の関係性

          5.臨床心理士が考える「嘘は武器」?「嘘は自分を守る最大の手段」?

          「推しの子」では、「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」「嘘は自分を守る最大の手段」など「嘘」という言葉が何度も出てきます。果たして、嘘は武器なのでしょうか?守る手段(防具)なのでしょうか?また、これは芸能界以外においてはどうなのでしょうか? ※ヘッダーは「推しの子」原作23話より引用。 ありのままの自分を見せる前回、前々回の「MEMちょのSNS炎上対策(前/後編)」のように、SNSで炎上した時を含め、「芸能界のような表舞台に立つ」仕事では、自分自身が傷つく状況に置かれ

          5.臨床心理士が考える「嘘は武器」?「嘘は自分を守る最大の手段」?

          4.MEMちょのSNS炎上対策(後編)

           前回「MEMちょのSNS炎上対策(前編)」を書きましたので、そちらをまだ読まれていない方は、前編からお読みいただければうれしいです。 炎上への対応はどうするのがベスト?「謝ったとしても炎上は激しくなるし、反論したとしても炎上は激しくなる。では、一体どうするのが一般的にはベストなのでしょうか?」というところで前回は終わりましたが、どんな対応・対策がとれるのでしょうか? コミュニケーションは相互作用前回既出のコミュニケーションの暫定的公理から考えると、「コミュニケーションは

          4.MEMちょのSNS炎上対策(後編)