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脳味噌探し

「きょ、脅迫するんですか」

紙が抵抗の姿勢を示した。
「ボクなんか脅したって一文も出ませんよ」
「金が欲しいわけじゃないんだ」
シュルツが薄ら笑いを浮かべた。
「じゃあ、なんですか」
「まあ、最終的にはそうなんだが」
シュルツが告白した。
「ボクは命を懸けて研究を」
「奥さんや娘さんの命も?」
シュルツが意味深な表情を作った」
「きっ。きさまーっ」
紙がシュルツの胸倉を掴んで揺さぶった。
「妻と娘に手を出したらただじゃおかんぞ」
「そんなへなへなで俺たちが殺せるかな」
「俺たち」
紙が大きく目を見開いた。
「おまえには仲間がいるのか」
「霞はどうだ」
「きっ、きさまーっ」
紙は何か不快な、不気味な感情に襲われて
眩暈がした。
「いい女じゃないか。おれの女にしてもいい」
「ウオーッ」
気が付くと、紙はシュルツに殴りかかっていた。

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