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PERFECT DAYSのこと


数週間前に、役所広司さん主演の映画「PERFECT DAYS」を観た。平日の小さなスクリーンで、ひとりで。


光や影をうつすシーンが印象的だった。
ふとした合間に木漏れ日や影が切り取られてしばらくうつる。いちどだけじゃなくて、何度も。

特別なことは何も起こらない。繰り返しの日々の中に波が立つことはあるけれど、役所さん演じる主人公はいつもの自分の日々を、暮らしを淡々と続けていく。

日々が揺れ動く瞬間にある、数少ないセリフは心をうつものが多かった。「全く変わらないなんて、そんなことあるはずないんですよ」「そんなの、あってはだめだ」というようなことを、役所さんは言って、ただそれだけのことばで泣けた。きれいだった。


映画の最後の最後、役所さんの表情だけをうつすシーンが続く。何十秒も、もしかして何分もあったかもしれない。顔を見てるだけで泣けた。というかこの表情をみるためだけにそれまでのストーリーがあったような気すらした。それだけすごくすごく、胸にくる表情だった。すごく、泣けた。すごすぎる役者さん。


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「PERFECT DAYS」は清掃の仕事をして暮らす男の人の話。大きな事件も特殊な能力も出てこない、ただ男の人の暮らしを追うような映画。

なんだか、生きている人誰でも、しっかり見つめるとこんな映画になるじゃないかと思った。どの人生も映画。例えじゃなくて、ほんとの。
生きるって美しいよ、ということを2時間かけて教えてもらった気がする。

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