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◆ひねもす飲んだり食ったり

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食べ物に関するわたしの戯言を置いておく部屋
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◆生々流転 ~カレー粉情話~

◆生々流転 ~カレー粉情話~

冬になると、土木作業員の父には仕事がなかった。
しかしどういう仕組みかは解らないが、収入が完全にゼロになるというわけではなかったらしく、仕事がない日は鹿撃ちに行ったり、猟銃の手入れをしたりして、日がな一日を悠々と過ごしている。

母が男を作って家を出て行ってから、家事全般はわたしの仕事になったが、冬の失業中だけは、気が向いた時に限り父が夕食を作ってくれることがあった。
昭和の頑固親父を絵に描いて額

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◆生々流転 ~アスパラガスビスケットの美味さが解る年頃~

◆生々流転 ~アスパラガスビスケットの美味さが解る年頃~

この間、親友からタケノコが届いた。
北海道ではまず採れないこの春の味覚は、ひそかに毎年楽しみしているものだ。
ところが、蓋を開けてみると、今年はいつもと少し様子が違う。
タケノコが入った段ボールには、見たことがないものからあるものまで、とにかくお菓子がぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのだ。
お礼かたがた親友に電話したところ、スペースが余ったので家にあるお菓子を適当に入れてみた!とのこと。
そんな…お

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◆生々流転 〜山菜賛歌〜

◆生々流転 〜山菜賛歌〜

山菜か何か知らんけど。
そんなもんを採るためだけにヒグマの出る山に入る人の気が知れないね!

そう思った時代がわたしにもありました。
全面的に、訂正したい。
山菜はウマイ。

そうと知ったのは、結婚して和牛農家に嫁いだ数年前からだ。
今は離農して人の土地になってしまったが、夫の実家の敷地は山菜の宝庫だった。

始めは、義母に「アサちゃん、山菜採りに行こう」と言われたのが厭で厭で堪らなかった。
だっ

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◆38周年 からあげクンにまつわる思い出話

◆38周年 からあげクンにまつわる思い出話

昼休み、ローソンに行ったら【38th からあげクン】の垂れ幕がかかっていて驚いた。
そうかあ、38周年かあ。

とはいえ、わたしは生まれも育ちも現住所も北海道のくそ田舎なので、誕生からこれまでの軌跡を「長年見守ってきたのよ!」とか言えるほど、あの鶏のことを知っているわけではない。何しろ学生の頃には、街にコンビニ自体がなかったからね。
しかし、青春時代の思い出の中には結構な割合で【からあげクン】がい

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