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アイスとリリーのおはなし

無題40

リリーは青い血を持つ女の子。
重い病気を患い、死のふちにいたところを、青い血しか飲むことのできない吸血鬼、アイスに救われました。

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アイスはリリーの体の時間を止めて、かりそめの不死を与え、森にある自分の城へ連れていきました。
二人は数年間そこで仲よく静かに暮らしていました。

ある日、城の前で倒れている少年をリリーが見つけ、城へ連れてきました。
アイスはすぐに彼がダンピールだと見抜きましたが、迎え入れました。
少年は、名をゴートといいました。

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アイス達は彼に食事と寝床を与え、元気になるまで城に滞在させることにしました。
食事は、葡萄酒をグラスに一杯と、リリーが普段食べているジビエでした。

ゴートは美味しい料理と温かい寝床は初めてでした。
親切にしてくれる二人に、ゴートも徐々に心を開いていきます。
ある日、ゴートは意を決して二人に秘密を打ち明けました。

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それは、アイスの友人キースが、珍しい血を持つリリーを手に入れる為、アイスを狩るようゴートに依頼したというものでした。

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キースはとても執念深く、自分が退いたとしても、リリーはずっと狙われ続けるだろう、とゴートは言いました。


その夜、アイスはリリーに願い出ました。
それは、リリーがずっと待っていた言葉でした。

『僕と一緒になってくれ』

リリーは頷き、彼に首筋から血を吸われます。
止められていた時間は動きだし、リリーは美しい娘の姿の吸血鬼となりました。

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偵察のコウモリが、キースの元へ戻っていきます。
キースは報告を聞いて落胆し、ゴートへの依頼を取り下げました。
コウモリから連絡を受け取ったゴートは、かあさまに怒られるだろうなあと苦笑いし、手を振りながら帰っていきました。

アイスとリリーは今でも仲良く暮らしています。
アイスは変わらずリリーから少しだけ血をもらい、リリーは森の獣の血をもらいます。
その獣は晩餐にのぼり、時にはゴートをもてなしたのでした。

~おしまい~


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