吉澤やすの|アートセラピスト

米国アートセラピスト&カリフォルニア州公認心理療法士。アメリカのアートセラピー事情をは…

吉澤やすの|アートセラピスト

米国アートセラピスト&カリフォルニア州公認心理療法士。アメリカのアートセラピー事情をはじめメンタルヘルスの様々な情報を紹介しています。興味:現象学|ジェンダー問題|異文化変容|多様性と相互理解|エンタメ考察 https://www.bunkaiwa.com

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アートセラピーとは何か?5分で読み切れるアートセラピー紹介文

みなさんは、アートセラピーについて、どのようなイメージを持っていますか? 描いた絵を分析したり、癒しツールとして使ったり。 なんとなくアートセラピーって、言わんとしてることは分かるけど、はっきりどういうものなのかを説明するとなると、少し分かりにくい存在ですよね。 そこで、アメリカでアートセラピストをしている著者が、「アートセラピーとは何なのか!」これを読んだら大体わかる、5分で読み切れるアートセラピー紹介文を書いてみました。 アートセラピーとは?アメリカの著名なアート

    • アートと社会が交差するところ〜MUCA展に行って思ったこと

      先日、森アーツセンターギャラリーで開催されているMUCA展に行ってきました。 結構久しぶりに展示を見に行く機会となって、改めて、アートって楽しいな〜良いな、そして、自分がアート・芸術のどこに惹かれてるのかを再実感する感覚がありました。 そこで、今回は、その経験から思ったことをただ綴ってみたいと思います。 MUCA展ってなんだ? MUCAとは、Museum of Urban and Contemporary Artの略で、2016年にクリスチャンとステファニー・ウッツに

      • 『日本人の心と社会の成り立ち 〜「甘えの構造」から見えること〜』【#1】

        日本人の心に響く?鬼滅の刃の人気の理由から振り返る日本的·日本らしさの根底に流れるもの『 THIS IS US/ディス·イズ·アス 』の物語考察では、ある一つの家族の姿を心理学の視点を交えながら振り返ってみました。 その中で描かれるのは、人間なら誰もが何かしらの形で経験する自己成長までの葛藤や、他者との関わりの中で見えてくる様々な愛の形や人の想い。ドラマが語るストーリーには、人類の普遍的な営みがテーマとして流れているものの、ゆうきさんも指摘されているように、この作品にはどこ

        • 描かれた絵を読み解く方法について【マシュマロ質問箱から】

          みなさん、こんにちは!大変ご無沙汰しています。 昨年は、異常に立て込んでおり、書く書くと言いつつ、全く記事の更新ができないまま一年があっという間に終わってしまいました。 今年は昨年よりも落ち着きそうなのもあって、書く書く詐欺にならないよう、書き物に時間をしっかり割きたいな…というのが一つの大きな目標です。 ところで先日、このような質問をいただきました。 質問をどうもありがとうございました! まずは、この質問への回答をさせていただきます。 まず、『風景構成法』というの

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          『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#3】

          「不完全な存在であることが完全なる人間性」〜ランドルの物語〜 前回の記事では、ゆうきさんが、レベッカとジャックという一組みの夫婦の形から見えてくる人間性についてを考察してくださいました。そこで紹介される「不完全な存在であることが完全なる人間性である」という捉え方は、わたしたちが日々生活する社会に目を向けてみると、かなり相反する真逆の感性であると言えるかもしれません。 機械化が進み、ささいな間違えにも厳しい現代社会。この間違えが許せない潔癖さは、一見、わたしたちに便利さや快

          『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#3】

          次の記事のトピックやテーマへのリクエストを募集しています!

          こんにちは! アートセラピストのやすのです。 気持ちの整理になる物書きはとても楽しくて、自分の興味の向くままに、記事を書いてきました。 普段の自分のウェブサイトでは移民心理や文化適応のことを中心に、noteのプラットフォームでは、おもにアートセラピーに関することや、カナダの表現アーツセラピストで心理療法士のゆうきさんとのリレーブログ:海外セラピストの目への記事を書いております。 時々、記事への感想をメッセージでくださったり、実際に会ってくださったりする方もいて、記事を通

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          『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#1】

          ケヴィンから見えてくる世代間トラウマ前回のゆうきさんの記事では、ハンドメイズテイルの主人公であるジューンと宿敵セリーナから見えてくる個人の成長の過程を、彼女と母親たちとの親子関係や、母親たちが生きた社会背景や当時のジェンダー観によって生み出された世代間トラウマを振り返りながら考察してくださいました。 そしてゆうきさんから受け取った次のバトンのテーマは、世代間トラウマ。このトラウマが、どう親から子へと受け継がれ、個人の成長に影響を与えるのか。それは、個人がどのようなパートナー

          『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#1】

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察~【#11】

          セリーナから読み解く、ハンドメイズテイルに描かれる希望の在処(※ドラマのネタバレがかなり含まれる記事です) 前回の記事でゆうきさんは、「その人にとっての救いとは何か?」というテーマから、ハンドメイズテイルに描かれる様々なエピソードを通じて見えてくる人物たちの生き方、そしてそこに映し出される「尊厳」と「希望」と、彼らの「生きる力」の源になるものについてを考察してくださいました。 次の第6シーズンが最終回であると告知されているハンドメイズテイル。ゆうきさんが前述ブログで触れて

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察~【#11】

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#9】

          ハンドメイズテイルのマーサから学ぶ人間愛ゆうきさんから受け取った次のバトンのテーマは、ハンドメイズテイル(侍女の物語)の中で描かれる女同士の関係性についての考察。 前回の記事でゆうきさんは、男女の関係性、特に、ギリアドのようなセクシャリティや恋愛要素が強く抑圧された社会の中で起きる性を巡るドラマについて、男女の思惑や感情が絡み合う関係性がどのような心の動きを起こすのかを説明してくださいました。 ゆうきさんの説明にあったように、物語の中核となるニックとジューンの、あのなんと

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#9】

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#7】

          フレッドから見えるジェンダーとメンタルヘルス前回の記事でゆうきさんは、ハンドメイズテイル(侍女の物語)で強烈なインパクトを持つリディア叔母の視点を通じて、彼女の心の揺れ動きと、正義の名の下、彼女を暴力に突き動かす力を与えてしまうギリアド(全体主義&家父長制)社会の、暴力の構造を洞察してくださいました。 ゆうきさんのリディア叔母の考察で印象的だったのが、リディアが抱えるスプリッティング(聖母と娼婦コンプレックス:善悪の極端な分離と悪への排除意識)は何の影響を受けて彼女に内在さ

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#7】

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#5】

          なぜ、今、「ハンドメイズテイル」を話すべきなのか?ゆうきさんは前回の記事で、客体化に焦点を当て、ドラマ「ハンドメイズテイル」の世界で描かれる階層的構造の中で生まれる役割と客体化、そして暴力の関係を考察してくださいました。 その中で、ゆうきさんは、主人公ジューンが、自分の人間性と、与えられた役割・客体の間で揺れ動く心情に触れていました。 「ハンドメイズテイル」はフィクション物語であるものの、キャラクター達の経験している心情は、時代の分岐点にあるような社会を生きるわたしたちが

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#5】

          なぜ「頭髪指導は違法ではない」?日本の学校校則の負の側面をメンタルヘルスの視点から考えてみた。

          先日、このような記事を見つけました。 「頭髪指導は違法ではない」判決が確定 最高裁が上告退ける 記事の内容は、髪色が明るい生徒が学校から黒く染めるように強要され不登校になったとして裁判を起こしたものの、裁判官が「頭髪指導は違法ではない」との決定を下した旨が説明されていました。 わたしはこのニュース、この判決に大きな衝撃を受けている自分に気付きました。 教育の場を髪の色を理由に奪われ、不登校になる程追い詰められ、そんな中、意を決して裁判を起こしたであろうこの生徒に対して、

          なぜ「頭髪指導は違法ではない」?日本の学校校則の負の側面をメンタルヘルスの視点から考えてみた。

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#3】

          『脱コルセット運動』から探る、身体の客体化から解放されるためのヒントゆうきさんから受け取った次のバトンのテーマは、ジェンダー問題には具体的にどんな問題が存在し、今までどのような取り組みがあったのか。 ジェンダーの問題が個人のメンタルヘルスにどう影響しているのかを考えた時、大きな問題の一つに、ジェンダーを基準にした着飾り方や見た目、身体に対しての無意識のバイアスが個人に与える影響力について、無視することができないと感じています。 例えば、中学·高校で多くの方が経験したであろ

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#3】

          いのちの電話の相談員はなぜボランティアなのか?ボランティアに頼る運営姿勢から垣間見る心理ケアへの偏見と危機感の欠如について問題提議してみた

          自殺ホットラインの代名詞とも言える、いのちの電話。 アメリカでも、Suicide hotlineやCrisis hotlineなどと呼ばれ、さまざまな自治体にホットラインが設置されています。 日本におけるメンタルヘルスの最後の砦とも言えるホットラインの一つ『いのちの電話』、わたしはこれが無償のボランティアの相談員によって運営されていることを最近まで知りませんでした。 そして、「相談員のなり手が少ない」ということから相談員になる条件等いろいろ調べているうちに、自治体の中に

          いのちの電話の相談員はなぜボランティアなのか?ボランティアに頼る運営姿勢から垣間見る心理ケアへの偏見と危機感の欠如について問題提議してみた

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#1】

          小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が可視化する社会に存在するジェンダーの問題ゆうきさんからいただいたバトンの次のテーマは、ジェンダーという視点を入れた、わたしたちの心、メンタルヘルスのこと。 ゆうきさんがミラベルの記事でもお話ししていたように、「女性らしさ」「女の子らしさ」「男性らしさ」「男の子らしさ」といった、バイナリー(2極)的な考え方って、この世の中にはとても多いですよね。 わたし自身、小さい頃から「女の子なんだから」と牽制されたことや、逆に「女の子なんだから」と促

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#1】

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』を心理セラピストの目から考察してみた【#1】

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』が描くのは、移民家族の世代間トラウマと家族の再生の物語時代のニーズに合わせて様々な社会の抱える問題をメッセージに込めクリエイティブな作品を作ってきた昨今のディズニー映画。 新作の『ミラベルと魔法だらけの家』も、思わず「う~んっ!またしてもやってくれた!」と唸ってしまうぐらいの素晴らしい作品でした。 この作品は、主人公の人間的な成長に焦点を当てることの多かった今までのディズニー作品とは打って変わって、現実的にアメリカに住む多くの移民が経験して

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』を心理セラピストの目から考察してみた【#1】