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“わたし”という神話 第2話 「人間の誕生」 第3話 「闇の誕生」

第1話   天地創造
第2話   人間の誕生
第3話   闇の誕生
第4話   堕天使降臨
第5話   悪の誕生
第6話   広がる恐れ
第7話   光と闇
第8話   偽りの光
第9話   宗教の誕生
第10話  古代の叡智の破壊
第11話  神になる堕天使

第2話   人間の誕生

 わたしはその美しい宇宙をもっと体験すべく、私自身がその宇宙の中に入ることにした。

 わたしはあまりに大きく、すべての宇宙を見渡し、すべてを知るので、わたしが一つの宇宙を体験するために、“感受する”天使を作り、その感受を受け取るための分身を創造することにした。

 その分身は、自分が“わたし”であることを忘れ、一人の切り離された意識と自由意志を持つ子供。

 わたしの分身の体験は、感受の天使を通して、すべてわたしの体験になった。

 わたしはもっと体験すべく、分身たる、我が子どもたちをたくさん増やした。

 子供のたちにも、彼らの自由意志で子供を増やせるようにしたので、子供たちは宇宙の至る所で増えていった。

 わたしが生み出し、そしてまた生み出し続ける宇宙のすべての子供のたちの体験が、私の体験となり、わたしの喜びだった。

 わたしは人間であり、人間たちもまたわたしであった。

 もちろんそれに気づく人間もたくさんいて、わたしと人間はいつも創造の喜びを、宇宙の中の小さな星の中で楽しんだ。

 子供たちは、生まれる星や住む場所などで、さまざまな個性があり、意志があった。当然子供たち同士で意見が食い違うこともあったが、最後は必ず愛と光で、彼らが一つになることを知っていたので、争うことなく、調和を持って生きていた。

 もちろんどんなところにも闇はあった。

 惑星には光と影があり、昼と夜があった。人間たちもまた、誕生と滅びがあった。

 そのようにして世界は調和と不調和のサイクルを繰り返した。そのサイクルそのものが調和であり、子供たちもそのサイクルの中で調和し、それぞれの違いを受け入れ、創造行為を楽しんだ。子供たちはわたしを「神」と呼んだ。そしてわたしとの交流、つまり神との交流と、大地における創造に、いつも至福を感じていた。

 子供たちは惑星の他の鉱物や植物、動物たちと同じように、自らも物質として滅び、また神の懐に還り、やがてまた宇宙へ物質として創造されるという、完全なサイクルの中にいた。

第3話   闇の誕生


 闇にははじめ意志がなかった。

 自我はなかった。

 闇は、私という認識と、“わたし以外”という認識から生まれ、光と対極の世界を運営する、大きな役割を持つ天使だった。

 対極の宇宙では、光があり、その光が当たらない影が生まれる。それは宇宙の大いなる法則になった。

 光が生命を生み出すのならは、闇は生命を停止させ、無に帰すことを原理とした大いなる天使であり、闇がないと世界は循環しない。

 光と闇から、あらゆる宇宙と、それを運行する天使たちが生まれた。

 しかし闇の中の「滅び」の天使は、ある時“創造性”を求めた。

 自分も、滅びだけでなく、創造するという行為を欲した。

 だがこの世界で新たなものを創造できるのは“わたし”だけであり、その分身である子供たちだけだった。

 闇の中の滅びの天使は、もちろんわたしという存在に対して「違い」を認め、理解していた。しかし、そこから新たな天使が生まれた。

 それが「差を作る」という意志の天使だった。

 それまでは、あらゆる存在は完全なる調和の元に平等だった。だが、初めて宇宙に「差」が生まれた。

 世界には時間はあったが、すべてそれは同時に起きていた。過去と未来は、神の“認識”の一つでしかなかった。

 しかし、この「差」によって、「先に体験するもの」と「後に体験するもの」が生まれた。

 その「差」を認識する意志は重く、時間のエネルギーが停滞した低い次元の宇宙が生まれた。

 そこに住まうものにとって、時間は過去から未来へと一定の流れを体験することしかできず、全体を認識することはできない次元だった。

 後のこの世界の人間たちが、この出来事を「堕ちた天使」と名付け、その次元を3次元と呼ぶことになる。

(我は、“神”ではない)

 闇から生まれた“堕天使”は、こうして自我を得た。神とは違う、神との差を感じる意志。

 すべてであるわたしは、闇が持つ意志を大いに認め、尊重した。

 闇こそわたしの最初の創造物であり、闇の意志もまた、わたし自身でもある。

 闇の天使は、大いなるわたし、つまり「創造者」、または「神」との“差”を嘆いた。

(我には、神にできることが、できない…)

 闇の天使は、自らが創造できないことへ不満を思った。

 それはこの宇宙のさまざまな愛や平等、至福と優しさと対極にあるものを次々と顕現化させた。憎しみ、不平等、怒り、破壊…。

 堕天使は闇から生まれた「滅び」のエネルギーであり、闇の天使が求め、唯一行えることは“破壊する時間を創造する”ことだった。宇宙において生成と消滅は合わせてひとつなのだが、3次元世界では、どちらかしか体験できない。

 堕天使自身は天使なのだ。時間と重力に閉じ込められた3次元宇宙の中では、直接姿を表し、直に力を行使できなかった。それは他の火の天使や水の天使など、あらゆる天使たちも同じだった。

 つまり、三次元世界において、闇の天使自らの手で「滅び」の創造はできない。

 そこで堕天使は神との「差」を埋めるために、わたしの創造した『人間』を使うことを思いついた。

つづく

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