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アートケアだより 2024年5月号

●4月 「保護者お話会」 で育児のヒント

 「アートケアひろば」では年中行事として「保護者お話会」を開催しています。1年の成長を振り返りながら、新年度を迎えるお子さんたち(と親御さん!)のドキドキワクワクをシェア。皆さんと話すことで悩み解決のヒントが得られる素敵な時間になっています。
 学年も住んでいる地域も様々なので、自分たちの置かれている日常を、少し離れたところから見るような感覚で整理することができる、そんな良さがあると私は感じています。
 今年は4月に3回開催。保護者19名が参加されました。

●新しい環境:1年生の1年間

 新1年生、新2年生のご家族からは、それぞれの「1年生」について多様なお話が出ました。

 Rくんは「意欲的でますます自分でがんばるぞ!という気持ちで学校に楽しく行っています。その分、家でスキンシップが増えました」とのこと。
 4月のワークも来てすぐお母さんのお膝に座りながら制作していました。ワークでこの様子はRくんにはとても珍しいことです。
 甘える気持ちを素直に行動に移せるのは、むしろ健康な証!  ストレスを上手に緩和している。
 ですので「もう1年生なんだから」などの急かすような言葉はかけず、スキンシップを受けとめて、ゆるゆる~っと過ごさせてあげるとパワーチャージできます。
 これは1年生の時に限らず、子どもが困難に直面した時によく見られる行動です。アートケアで歴代、たくさんのお子さんたちが、スキンシップで元気回復してきました。効果抜群、お試しを!

ワーク開始時にお膝に抱っこで制作、満たされたあとは、自分でどんどん!
関節が動くスパイダーマンを作り上げました 

 小さい頃から新しい環境にプレッシャーを感じやすい面があるNちゃんの1年間についてはお父さんから。「最初、学校に行きたくない、と泣いていて、登校班の集合場所まで毎日、僕が送り迎えしていました。ここ数ヶ月で元気に行くようになりました」
 元気に行くようになったのは何かきっかけがあったかお尋ねしたところ、「友だちができてきたことかな。今でも自信がない教科がある日はイヤだとか言ってますけど(笑)」
 保育園の頃は緊張が大きかった運動会はどうだったか? 秋開催で、のびのび取り組んでいたそうです。

春らしい花の表現には、お友だちとの良好な関係が見えてくるような。
折り紙で作った木が、まさに「自立」しています!


 Kちゃんは、入学最初だけ不安そうで、数週間で馴染んだそうです。あるとき以来、みんな個性的でいいんだ、自分もそう!と吹っ切れた様子だったそうです。
 たまたま私は1ヶ月ほど前に、Kちゃんのクラスのみんなが海岸でマラソンをしているところを見かけました(私もジョギング中で、並走しちゃいました!)。みんながみんなを応援している雰囲気が、楽しそうで和やかなだなぁと感じました。そんなクラスだと、やっぱり楽しいし皆が自分を発揮できる環境ですよね。羨ましいと思う方も、ちらほら。

一目見てKちゃんのだ!とわかる表現を続けています。
これも自分らしさかな?

●学童:働く家族にとって山場の時期

 働く家族にとって、1年生の入学時が「働き方をどうする?」と考える山場になっています。

 Tちゃんは、学童に入ったばかりの頃「ゴミの捨て方がわからない、トイレに行けない」など、わからないことがいっぱいで参ってしまったとのこと。でも学校の担任の先生が大好きで、先生との相性も良く、1年生を楽しく過ごすことができたそうです。
 担任の先生が変わると、保護者との連絡方法が異なったりします。2年生の4月、今度はお母さんがわからないこと多々!
「これはどうなの?あれはどうなの?とTに聞きすぎて、Tが泣いちゃったんですよ。それで他のお母さんに聞いて対応しました。今回(事務的なことを)子どもに聞きすぎるのは良くないなぁって思いました

 新しいクラスに連絡の取れるご家族がいない場合もあるかと思います。いろんな意味で孤立しないで育児するって本当に大変だなと思いました。

Tちゃんは、いろんな素材を組み合わせた工作が大得意!

 今3年生のSちゃんは1年生の頃、紆余曲折を経て、別な学童へ移りました。大変だった当時、ワークでのお母さんの姿が本当に疲労困憊されていて、少しでもお力になれたらと、ワークの記録用紙のやり取りがとても長文だったことが思い出されます。
 学童を変えてからは元気いっぱい。毎日過ごす環境って大きいですね。

すんごく小さい作品なんですよ〜 愛らしい羊にほっこりします


●お友だち:1~2年生の頃

 先述のNちゃんにとって、お友だちができたことが「学校楽しい」のポイントになっていたように、子どもにとって友だちの存在は大きいものです。

 今、4年生のOちゃんは、入学した当初、幼稚園の頃よりずっと大人数の環境に戸惑い、どうやって友だちを作ったらいいかわからなくなっていたそうです。
「もともと緊張すると話せない子なので、そうだろうなぁと。それで、自分が楽しくしていたら人は寄ってくるから、楽しくしてみらた?と伝えました。そうしたら気持ちが切り替わったみたいで、2年生の時には、クラスの全員に声をかけることにしたとのことで、みんなとお友だちになったよ!と嬉しそうにしていました」

 「自分が楽しくしていたら人は寄ってくるから、楽しくしてみらた?」なんて素敵なアドバイス! さらっと出てくるお母さん、すごいです。こういった「珠玉の一言」が聞けるのもアートケアのお話会の嬉しいところです。

色とりどり!

●お友だち:2~3年生の頃

 「アートケアひろば」は20年続いていますが、中でも2~3年生頃の女子のお友だち関係は、毎年話題になります。今年も何人かのご家族からその話題が出ました。あまり性別で区分けしたくないのですが、こればっかりはどうも男女で違いが出ています。

 とはいえ男の子も同様の悩みあり。
 Tくんは「クラス替えで仲の良かった子が別れちゃって…。うちの子は言いたいことを言えないタイプでモヤモヤしているようなので、マイペースでバンバン言えるお子さんっていいなぁって思います」とお母さんは親心をのぞかせていらっしゃいました。

大きく翼を広げる恐竜のように羽ばたくと、空から眺める景色はどんなでしょう?
友だち関係、子どもへの眼差し、俯瞰すると気持ちが楽になることも


 すごく仲の良いお友だちができたり、関係が安定的だと学校って本当に楽しくなるんですよね。
 Uちゃんは「2年生は、とても安定していました。すごく仲の良いお友だちとクラスで楽しい企画をしたり。楽しく過ごしていました
 Uちゃんは、いろんなキャラクターのイラストをたくさん描いています。お友だちとのコミュニケーションもイラストを通じて楽しくなっている面もあるだろうなぁと思います。

キャラクターたちのお花見! これもイベントですね〜

 自分とお友だちの遊び方のペースや種類が違うことに気づき、合わせていくのか歩み寄っていくのか? 3年生のSちゃんのお母さんからそんなお話も出ました。


 自分だけ他の子と違ったらどうしよう、という気持ちが強くて、様々な取り組みに事前に準備していないと不安で仕方がない、という4年生のMちゃんは、振り返ってみると幼稚園の頃に自分が良いと思っていた髪型が「大仏みたい」と周りの反応が自分の思いと異なった経験に端を発していたとのこと。
 そういうことって辛いですよね… 人間関係のあれこれは、どんなに小さくても始まっているんですよね… 幼稚園での出来事が4年生の今に至るまで尾を引いているとは。少しずつ自信がついたり、先のKちゃんやOちゃんのように何か吹っ切れたらいいですね。切に願います。

なんだか神々しい作品。4年生、どんな1年になるでしょう

●緊張しない子、かな~りマイペース 

 環境が変わっても「誰とでも話せる、1人でも大丈夫」というお子さんも、もちろんいます。
 入学したてのRくんはそんな様子だそうです。楽しく元気に通っている。でも、思いついたらTPOによらず、すぐ話してしまう面について大丈夫かなと感じていらっしゃるそうです。さぁ、どうなるか?!

赤い飛行機のごとく!
詰め合わせのボリューム感も、なんだかすごい!

●園の教室から飛び出さなくなった!

 年少さんで入園したYちゃんも「天真爛漫で、年少の1年で園の先生方がいろんな角度から声掛けしてくださって、教室を飛び出すことがなくなった」とのこと!「自分は今これをやりたい」を通す面はアートケアでも見せていて、この1年でアートケアでの過ごし方も随分変わってきました。

こちらもボリューム感が!!!
今月は、ちょっと変わった素材をいただき、新しもの好きな子たちの目がキラリ


●保育園をいくつか転園する

 昨今、0歳1歳に入った保育園から転園するご家族が増えています。3歳にしてすでに3園目というお子さんも。

 3歳で3園目というRちゃんは、さらに下にきょうだいが生まれ、この年齢にしてみたら環境が激変!という状況。
「自分でできることを先回りしてこちらがすると、知ってるから!!とヘソを曲げるんですよね~」
 大変ですよね…自立と反抗は表裏一体。

 一方、第2子誕生でママっ子からパパっ子へという変化もあったそうです。新しい園にどう馴染んでいくか、5月また様子を聞かせてもらおうと思っています。

カラフルで触感も様々な素材にウキウキ🎵
自分で決めて、思うことができるのは、子どもにとって何より嬉しい


 他にも、
年少さんでしたの赤ちゃん妊娠中のご家族
年少さんの時の引っ込み思案が嘘のように積極的に園で「なんでもやる!」と変化したお子さん
スポーツチームでの苦しい出来事がトラウマになってしまって回復の途上にあるお子さん
中学に入学されたお子さんの話
など、お伝えしたいお話は山ほどありますが、今回はこのあたりで!

 今年度もお子さんたちの成長を、見守り、励まし、1人1人が自分のことを素敵だと思えるような環境を作りたいと思います。
 


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