アートケアだより2024年2月号
6年生ご家族へのインタビュー。今月は(先月号の方とイニシャルが同じですが)Tさんにお聞きしました。Sくんは少年野球のチームでも活動しながら時間を作ってアートケアに来てくれています。小さい頃から興味を持ったことを作品に表してきました。武将の甲冑を作ったり、近年は野球選手の絵を描いています。4年生の妹がいます。お母さんは、ほっこりする方で…
●絵も工作も野球も
冨田: コロナ禍でオンラインワークをしていた時のメールのやり取りで、Tさんが飼っていた猫の名前が「魯山人」で、名付けたのがTさんだと書いてくださったことがあるでしょう。それがとっても記憶に残っていて。ご実家のネコちゃんでしたっけ?
T:そうです、実家で飼ってたネコです。保護猫だったんですよ。私が成人してから来たネコで。魯山人って美食家だしいいなぁ、響きが好きだし、と名付けました。
冨田:ネコに魯山人って、ユニークな名付けだなぁと。Tさんのお人柄に一層、興味を持ちました。
「赤ちゃんアート」からアートケアに通い続けてくださって、ありがとうございます。続けてきて思うことなど、いかがでしょう?
T:いい影響があったと思います。工作を続けているし、絵も家でも描いてますし。一時期マンガも描いたり。ハードルなく創作することができています。
冨田:野球もやっていて忙しい中、よく続けてくださいましたよね。
T:野球もアートケアも、どちらも嫌がらずに行ってますねぇ。生活の中で当たり前という感じです。
冨田:中学に入ると変わってくるでしょうね。
T:そうですね。どういうことを好きになるか?!
あと、私にはアートケアのこの記録アルバムも貴重で。育児日誌を書いていなかったので、こういうふうに記録が残って嬉しいです。
●周りの人に恵まれていると思う
T:野球が好きなのは仲間がいるからというのもあるみたいです。友達に恵まれていて、学校も含めて行き渋りがほとんどないんです。毎日、学校から帰ってきたらランドセルをポンと置いて遊びに行っちゃって。サザエさんのカツオみたいに。
冨田:カツオですか~! 友達に恵まれているというお話は、以前アートケアの記録のやり取りで書かせていただいたのと重なりますが、Tさんが周りの人に感謝する、そういう心持ちのお方だからだと思うんですよ。
T:それは恐縮です(微笑む)。学校の面談でも友達関係で問題はないとのことです。これから思春期で、友達の力が親よりも大きくなるだろうから、どうなることやら。
冨田:そういえばちょっと前に親子でバトル気味だったという「スマホほしい」の件は?
T:今のところ小康状態です~。「なんでほしたかったの?」って聞いたらら「LINEを使いたかったから」って。
冨田:友達と連絡するのに必要なのかもしれないですね。でもスマホを持っていない子がいても、子どもたち同士でなんとかしているようですよ。
T:スマホはトラブルが心配で。学校で「小学生はまだ持っちゃいけない、持つならルールを決めて」と言われたんです。それでうちはスマホはまだ持たせなくて良いと思いまして。
冨田:働いているからスマホがないと連絡が取れなくて困るというご家庭もありますものね。学校の先生が「持つならルールを」とおっしゃるのは現実的なご意見ですよね。
●いつも笑顔 興味が連鎖して広がる
冨田:アートケアのアルバムに映っている写真、いつでも笑顔ですね~ 1歳の時の、この回だけ泣いてる!
T:今思うと妊娠中…
冨田:下の子がお腹にいると、子どもたちは何かしら感じ取るからホント不思議ですよねぇ。
冨田:園児の頃はウルトラマン、戦隊ヒーローのジュウオウジャー、仮面ライダー、恐竜、と変遷して、ピタゴラスイッチに憧れたコロコロ工作と続きますね。変遷は、飽きっぽいというのではなく、どれもシリーズで作っています。家族へのプレゼントも折々に作っていますね。戦隊ヒーローのシリーズは、おもちゃがほしいけど買わずに作るっていうことだったり、お友達と戦いごっこで遊んでいる日常の楽しい気持ちが反映していたり。
冨田:この快傑ゾロリを半立体にした粘土絵の時、いいチャレンジしているなぁって感心しましたよ。
冨田:2017年11月のこれは何だったか…「未来の冷蔵庫」だ! どんな機能を想定してたんだろう? あ、Tさん書いてますね。「上は宇宙につながり、下は牧場で牛さんから新鮮な牛乳をもらえて人参畑もある。なんてステキな発想。私じゃ思いつかん」。「私じゃ思いつかん」ってステキな見方ですね~
お父さんは理系だとお聞きしていましたが、どんなお仕事をされているんですか?
T:複写機の開発です。
冨田:複写機!長年お世話になってます~。Tさんはどんなお仕事をされてきたんですか?
T:私は自由に生きてきたというか、いろんな職に就いてきました。カツラのお店の受付をしていたこともありました。アルバイト、派遣社員、正社員と立場も変わっていって。インドに一人で行ったり。
冨田:インド一人旅!おいくつくらいの時ですか?
T:20代の頃です。1人で行くって言ったら親にホームステイにしてくれって頼まれて。
冨田:親心としては若いお嬢さんがインド一人旅はご心配だったんでしょうねぇ。インドはなぜ行こうと思ったんですか?
T:観光です~自分探してもなんでもなくて。タージマハルとか観て周りました♪冨田:その気負いのなさと自由さがまたTさんらしい~
冨田:2018年、小学校に入学。「帽子イス。ツボ押しスイッチ付き」やっぱり発想がユニーク!
T:入学後しばらく、登校は途中まで一緒に行ってたんですよ。本人がバイバイ~っていうところまで。1ヶ月か、もうちょっとかかってたかな。繰り返しているうちにいつの間にか終わりました。
冨田:いつの間にか、なんですねぇ。表現は、ポケモン、細かい絵と続き、「いつも寝ているぬいぐるみのお家」など工作もいろいろ。
冨田:2020年1月5日のワークで「箱根駅伝」。これは「動かす」という仕組みに興味を持って作っていました。なんで駅伝の工作を作ったんだろう?
T:駅伝を見てたからかもしれませんねぇ?
冨田:2019年10月の剣は、デザイン化されてますね。そして武者シリーズが出てくる。
T:忍者が好きっていうところから、歴史、武将の鎧兜、甲冑、城っていう具合に、興味を持ちました。
冨田:連鎖していくのね! ご家族によっては、お子さんが興味を持ったところへ連れて行ったりされる方もおられますが、Tさんはどうでしたか?
T:旅行でどこに行こうかと相談するときに、城があるところに行ってみようか、という感じでは行きました。松本城とか。
冨田:おお、松本城!
T:「黒くてかっこいい」って。
●関わり方の密度は、ゆる~い感じ
冨田:自然にいろんなことに興味を持つんですね。
T:いつの間にか。気づいたらそうなってました。
冨田:アバウトでいい~ 子どもへの関わり方って人によって、また状況によって、密度が違うものですが、そのゆる~い感じがTさんとSくんの「ちょうどいい感じ」だったんでしょうね。
2歳下の妹さんのことで、Tさんもご心配があったり、検査や面談など物理的に忙しかったと思いますが、どうでしたか?
T:下の子は生まれて早い頃から様子がちょっと気になって、市の健診で1,2歳の頃から相談すると、いつも「早生まれだから」と言われてたんです。「いやいやー、そうじゃなかろう」と。幼稚園の頃は、息抜きになればと放課後デイに行きました。入学して療育センターで発達検査を受けました。
Sは妹の発達がゆっくりめだとあまり気づいていないみたいで、先日、妹がなかよし級の先生の話をしていたら、「誰?その先生?」って言ってました。
冨田:Tさんのおかげで、Sくんは不安なく生きているんでしょうねぇ!
T:そうかもしれないですねぇ。先日、学校で「満足度のテスト」があって、Sは満足度が高いという結果だったんです。
冨田:自己肯定感を調べるみたいなものでしょうかね?
T:そうだと思います。6年生だけのテストで。「数値高くてよかった~」って思うだけで詳しいことは覚えてないんですけど(笑)。
でもSも本当はしんどいこともあるのかも、と思うこともあります。私の気付かぬところで!
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