アートケアだより2023年10月号
6年生ご家族へのインタビュー。今月はSさんにお聞きしました。3姉妹で長女Wさんが1歳の頃から、次女Kちゃん、三女Mちゃんと、足掛け18年お付き合いくださっています。もう親戚という感じです!
●自由表現。家でできるのにワークに来るのはなぜ?
冨田:Mちゃんが初めて来てくれたのは…(アートケアのアルバムを見ながら)1歳2ヶ月「赤ちゃんアート」からですね。
S:ワークはそこからですけど、Mは生まれた時からお姉ちゃんたちと一緒に連れてきてましたから、気づいた時にはアートケアにいたという感じです。
冨田:そうでしたね~
S:かれこれ18年くらいになりますね。
冨田:長きに渡り、ありがとうございます。
S:習い事という感覚はなくて、生活の1つで。子どもたちも「明日アートケアだよ」「わーい」みたいな感じで。それと月1回ペースだから続けられたと思います。
最初、お友達から「絵の具を思いきりやらせてくれるところだよ」って教えてもらったことがきっかけで、私がもともと好きだったこととマッチするものがありました。私自身、子どもの頃から音楽、踊り、絵、劇ごっこなど、身近な人の前で発表会をしたり、御神輿を作って近所をまわったりしてたんですよ。
冨田:なんて楽しい! Sさんご一家は、おばあ様やご親戚の皆さんと日常的に芸術を愛好した活動をされていてアートケアに通わなくても充分な環境だと思うんですが、それでも続けてくだっさったのはなぜでしょう? 自由表現の場なので、辞める理由が「家でもできるから」という方が時々おられるんですよ。
S:あら、そうなんですか? そうですねぇ、なんでだろう… 家でやったこととアートケアでやったことが、つながっている感じはありましたね。でも家でやるのとは違っていて、子どもたちは「あそこに行ったら家と違う発見がある。いろんなヒントがもらえる」と思っている様子でした。家の人だけでなく先生や周りの人に見てもらえるし、展覧会もすごく楽しみにしていました。
冨田:3人とも展覧会に向けて!ではなく、普段から作品をたくさん作っていて、そこからどれを展覧会に出そうか選ぶのが大変なくらいでしたものね。
S:それと、アートケアでは心の目に見えない部分を育ててくれる感じがしてます。最後までやり通す力、挑戦する気持ち、高学年の子が小さい子とやり取りすること、みんな自然に身についた。
冨田:それは子どもたちのおかげなんです。みんな優しくてあったかい。だから交流できるんだと思っています。
●大荒れ!2歳イヤイヤ期 それは「自分」を作る時期
冨田:今日は6年生インタビューということで、振り返ってみてMちゃんの子育て、いかがでしたか?
S:Mは2歳の頃、かんしゃくが激しくて、みんなで食事している時にお皿をパンって投げたことがあるんです。みんなが食事しているお皿に破片が散らばって、私、もうショックと怒りで布団たたきでパンパンしちゃったんです。おばあちゃんが「やめなさい!」って止めに入るくらい。
冨田:穏やかなSさんにも、そんなことがあったんですね…
かんしゃくが強いお子さんには、皆さん、苦労が絶えないですよね。その一方で「自分」が強い子は、伸びようとする力がすごかったりします。
Mちゃん2歳の頃の写真は、ポーズをとってますねぇ。見られる自分を意識してます。
S:小さい時の夢が「アイドル」で(笑)
伸びようとする力といえば、Mが初めてハサミを使ったとき、冨田先生が「飾るとすごいんですよ!切ったものを取っておいて溜めてくださいね。展覧会で出しますよ」とおっしゃってくださったじゃないですか。そしたらMは家でもどんどんハサミを使って、45Lの袋2つくらい溜まったんですよね。
冨田:同じように声かけしても、そこまで溜めるお子さんは珍しいですよ。
S:それ以来、いろんなものを作るようになりました。
折り紙を使う量もハンパなくて、でも「今日は何枚」みたいなことはしないで「限りなく使っていいよ」としました。セロテープも水のように使った! もったいないと思う方もいらっしゃると思うんですけど、こんなに集中して楽しんでいる姿を見ると、もったいないと思わなかったです。そして上手になりました。
冨田:Mちゃんは集中力が、またすごいですからね~
S:「好きなこと」は(笑)
冨田:皆さん、そうおっしゃいます(笑)
●学校で周りの子が叱られると自分も叱らられているように感じてしまった1年生の頃
冨田:幼稚園ではどうでしたか?
S:年少さんで最初は泣いていましたけど、すぐ慣れて、それはそれは楽しく過ごしていました。
小学校に上がって1年生の担任の先生が、キュッとした先生で厳しかったんですね。誰かが怒られると、自分も怒られている、責められていると過剰に反応する子が一定数いると思うんですけど、Mもそうで、ある時、先生が喧嘩の仲裁で「友達のことを悪く思っちゃダメ。心の中で思うだけもダメ」と叱ったことがあったようで、そうしたらそれが強迫観念みたいになってしまって。
冨田:1年生の1学期、Mちゃん辛そうでしたよね。
S:担任の先生にお話したら「過剰に捉える子がいることに気づかなかった、対応がよくなかった」と、Mと1対1で「辛い思いをさせて申し訳なかった」と話してくださったんです。それからMは落ち着きました。
冨田:それはよかった! 先生との連携、信頼関係あってのことですね。
S:その頃、卒園した幼稚園に定期的に来られている療育の相談員さんに相談してみたんです。そうしたら、冨田先生と全く同じアドバイスでびっくり!だったんです。
冨田:なんと!
S:「考え方のパターンを広げてみる」っていうアドバイスでした。
●心のままに表現する
S:印象深いのがこの作品です。段ボールに絵の具を塗って、穴が開くくらい水浸しに。激しくて、私びっくりしちゃって。そうしたら冨田先生が「それでいいんだよMちゃ~ん! 穴が開いてもいいから、その調子!」って、どんどん描かせてくれたじゃないですか。それでMも私も吹っ切れたんです。
いつもいつも「可愛いもの、きれいなもの」じゃなく、心のケアをしてくれる先生だからこそなんだなって… あ、涙が! この作品を終えた時のMの満足そうな顔が今だに忘れられません。
おたよりのインタビューだからと、家でMとアルバムを見てきたんですけど、本人も「あ~これ作ったね~」と思い出深そうでした。
冨田:私も覚えてます! 普段のMちゃんだったら絶対しない表現ですよね。
ストレス的に心に溜め込んだものを出している!と思う時は、子どもたちが「こんな表現したらいけないかな」なんて思わないように、「安心してどんどんやってね」と伝わるように、心がけています。
これが夏休みの終わり頃でしたよね。新学期前に、この表現ができてよかったな、とその時、思いました。
S:Tシャツも毎年、描いていて楽しみなようです。
冨田:今年もじっくり描いてますよね~
Mちゃんもそうですけど、お姉ちゃんのWちゃんもKちゃんも、皆、本人の努力がすごいですね。
S:Kは工作や木工、Wは切り絵や版画、デッサンでした。
冨田:Mちゃんは水彩画に4~5年生の時、取り組みました。これだけ長期間、水彩に取り組む子はあまりいなくて、よくやったなと思います。
「すみっコぐらし」とか「ポムポムプリン」などキャラクターをモチーフにした作品も楽しそうでしたね。
S:キャラクターが好きで、家がぬいぐるみだらけです(笑)
冨田:1つ取り掛かると、絵の具、色鉛筆、粘土、など手法を変えてシリーズ展開していました。
S:本人はこの「鳥の絵」に思いがあるって言ってました。色で「笑ってる」「泣いてる」を表現した絵です。
冨田:展覧会の時も、この作品についての「子ども本人の解説文」に、そう書いてくれてました。Mちゃんは「みんなに伝えること」も大事にしてくれていますよね。
●思春期、将来の夢
S:今は思春期だからでしょうかね、私に当たってくるんです。「ママがそう言ったから」「ママが悪い」って、まぁすごい。
前に冨田先生が「お母さんは子どもの(心の)サンドバッグになることがある。でもお母さんがしんどくなりすぎちゃうとちょっと心配」っておっしゃっていたのを思い出して、Mが当たってきたら「それは親への言い方じゃないです」と言ってみたり「どう見てもあなたが悪い」と言ったりしています。
私に当たりが強い時期って、新学期とか年度末とか、学校で我慢していたり新しいことへの不安があったりするんですよ。わかりやすいと言えばわかりやすい。
冨田:コンディションの波について、本人は自覚しているの?
S:わかってないと思います。
冨田:お母さんに当たったら落ち着くのかしら。
S:落ち着くわけではないです。
冨田:あらら。
S:だから私、普段、楽観的なんですけどMに関しては中学校が心配で。中学って何事もスピードが早くて、一斉にやって評価が付けられる。姉たちは、しんどいけどついていってましたけど、Mは全部完璧にやろうとするからパニックになるかなぁって。どこかで手を抜いてできるようになるといいんですけど。
S:将来の夢は美容師になりたいそうなんです。図書館で「〇〇という職業になるには」の本を借りて読んだり、暇があれば髪型を作ったり。Mの髪を結くのは私、小学校入学してからやっていないんですよ、本人がやってます。今はアイラインも練習してるんですよ!!
冨田:今どきの子はお化粧をし出すのが早いですよね~
それとお化粧での色の重ね方の理論は、絵を描く時の理論が応用できるんですよ。ポーラさんなど、そういった観点で絵画研究をされている化粧品メーカーさんもあります。
S:そうなんですか!
冨田:絵の具やパステルを10年以上、探求してきたMちゃんだから、お化粧の色のノウハウは、すぐ身につくと思いますよ。誰よりも混色についてのキャリアがある、年季が入ってますから!
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その後、Sさんから、こんなメッセージをいただきました。
おたよりのインタビューは、基本としてその場でお聞きしたことを書いているので、本文中に編集して入れるなどせず、そのまま掲載させていただきますねとSさんに了解を得ました。
なんだか身に余るお褒めのお言葉をいただいて掲載するのは恐縮ですが、勢いがある、ビビッドなままの文章を皆様へお届けをと思います!
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Sさん、今回のインタビューのみならず、いつもありがとうございます。
いつも思うのは、ご家族の皆さんから支えていただいているのは私のほうです。
今後もお子さんたちのお健やかな成長を、応援しています!
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