浅野靖菜|アートライター

「ミュージアム」という言葉にとにかく反応します。 最近は美術館以外のミュージアムや舞台…

浅野靖菜|アートライター

「ミュージアム」という言葉にとにかく反応します。 最近は美術館以外のミュージアムや舞台芸術、映画鑑賞にも手を伸ばし中。 ドラえもんが好きです。アート系、工芸系のライティングや編集のお手伝いをします。お仕事募集中です! Bunner&Icon: Junko Hara

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53arts|山形市 歴史ミュージアムめぐり(後編) 山形県郷土館「文翔館」

山形県郷土館「文翔館」は、1916年(大正5年)に旧県庁舎および県会議事堂として建設され、1975年(昭和50年)まで実際に使用されました。1984年(昭和59年)に国の重要文化財に指定、現在は山形県郷土館として無料公開されています。 英国近世復興様式の建物 「英国近世復興様式」と検索すると文翔館しか出てこないのですが、近世のイギリスで流行した様式を復興=リヴァイヴァルした様式のようです。 近世が、東ローマ帝国の滅亡及び、ルネサンス・宗教改革・大航海時代あたり(15世紀

    • 52arts|山形市 歴史ミュージアムめぐり(中編) 山形市郷土館(旧済生館本館)

      同じく霞城公園内にある山形市郷土館(旧済生館本館)は、かつて診療所兼医学校として使われていた擬洋風建築の建物で、国の重要文化財に指定されています。 和洋折衷の擬洋風建築擬洋風建築とは 欧米の建築を日本の職人が真似た建物のこと。建物全体の形や窓や柱の意匠は西洋風ですが、瓦屋根や板張りの壁には日本の木造建築の技術が使われています。 この山形市郷土館(旧済生館本館)は、当時横浜にあったイギリス海軍病院を参考にしています。土木県令・鬼県令と呼ばれた初代山形県令・三島通庸(みしま

      • 51arts|山形市 歴史ミュージアムめぐり(前編) 山形県立博物館

        アート旅行記第2弾! 今回は山形市の歴史に触れる3つのミュージアムをめぐります。(行ったのは2022年冬)山形在住の友人の運転で行きましたが、徒歩でも1日で回れる距離です。 前回は福島県須賀川市をレポートしました↓ いにしえの山形を物語る二大スター山形県立博物館は、山形城跡を整備してつくられた霞城公園内の文化施設の一つです。山形城なの?霞城なの? と戸惑いますが、出羽の関ヶ原合戦「長谷堂合戦」の際に城郭が霞で隠れて見えなかったことから山形城は「霞ケ城」とも呼ばれ、そこから

        • 50arts|四月大歌舞伎(歌舞伎座)

          とうらぶ歌舞伎を観た観劇好き審神者(さにわ)の友人と桟敷席デビューしてきました! 友人は歌舞伎座での歌舞伎は初めて、私も桟敷席は初めてです。 今回は、桟敷デビューのご参考になるよう、チケットを取ってから終演までをレポートします。 歌舞伎入門的な記事は、もうちょっと歌舞伎慣れしてきたら書きたいです。 桟敷席とは? 歌舞伎の劇場には、通常の劇場やホールのような1等席・2等席、A席・B席という区分のほかに、特別な席があります。 そのひとつが桟敷席です。客席の両側にあるテーブ

        53arts|山形市 歴史ミュージアムめぐり(後編) 山形県郷土館「文翔館」

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          最新のお仕事|田中修二 編著『福田平八郎 人と言葉』(国書刊行会)

          田中修二 編著『福田平八郎 人と言葉』(国書刊行会)の、人物と作品名の索引作りをしました。こんなお仕事もしていますよ。 https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336076007/ 福田平八郎とは現在没後50年を記念した展覧会が開催されている福田平八郎。 大分出身で京都で絵を学び、「写実に基づく装飾画」という表現を確立しました。写実的で質感をリアルに感じさせる彩色や細部の描写ですが、一方で、シンプルな形のモチーフがクローズアップで描かれ

          最新のお仕事|田中修二 編著『福田平八郎 人と言葉』(国書刊行会)

          最新のお仕事|『別冊太陽 日本のグラフィックデザイン一五〇年』(平凡社)

          『別冊太陽 日本のグラフィックデザイン一五〇年』(平凡社)の編集をお手伝いしました! 前半の作品図版の申請、つまり「所蔵作品の写真を雑誌に掲載したいのですが……」と所蔵先とやりとりをしました。 ポスターを中心に雑誌や本の装丁などの貴重な図版を多数掲載、研究者の読み応えのあるテキストとともに、日本のグラフィックデザインを振り返ります。 本を開くと、とってもインクの匂い! 巻頭は、東京都現代美術館の展覧会でも大きな話題を呼んだ石岡瑛子。 百貨店の広告を手がけた杉浦非水や当時の

          最新のお仕事|『別冊太陽 日本のグラフィックデザイン一五〇年』(平凡社)

          最新のお仕事|『美術手帖』2024年4月号(台南市美術館の紹介)

          『美術手帖』にて、台南市美術館のタイアップ記事を書かせていただきました! (資料をベースにリサーチしつつ書きました) 台湾いいですよね。美味しいもの食べてお茶飲んで雑貨見たい! 国立故宮博物院とコラボレーションした展覧会をメインに、台南市美術館の紹介をしています。ちなみに国立故宮博物院ですが、ウェブサイトは日本語切替で楽々読めて、日本の修学旅行生向けのPRページもあります。 かつて東京国立博物館でも展示していた《清 翠玉白菜》ですが、国宝ではなく重要古物(重要文化財のよう

          最新のお仕事|『美術手帖』2024年4月号(台南市美術館の紹介)

          最新のお仕事|旧安田庭園(Tokyo Art Navigation)

          東京都江戸東京博物館の学芸員 田中実穂さんと旧安田庭園を取材しました! 江戸博(休館中)・両国国技館・すみだ北斎美術館など、江戸東京を代表する周へん施設の影に隠れた、知る人ぞ知るお庭です。入園無料! コンパクトなお庭なので、閉館時間の早い江戸博とセットで訪れるにも最適! 隣接する刀剣博物館では、単眼鏡を借りてじっくり刀剣を鑑賞できます。お土産には玉鋼(たまはがね)ビスコッティがオススメです。 いつか相撲観戦もしてみたいですね。 さて、この「安田」って何? という話です

          最新のお仕事|旧安田庭園(Tokyo Art Navigation)

          49arts|猿若祭二月大歌舞伎(歌舞伎座)

          猿若祭二月大歌舞伎 昼の部を鑑賞してきました! 猿若とは、江戸歌舞伎の創始者である猿若勘三郎(のちの中村勘三郎)のこと。 今回は十八世中村勘三郎さんの十三回忌追善興行として、勘三郎さんの御子息やゆかりの俳優陣が出演します。 新版歌祭文 野崎村(しんぱんうたざいもん のざきむら)「うたざいもん」は読めない。 実際の心中事件を題材にした「お染久松物」と呼ばれるジャンルの一つです。 舞台は久松の郷里・野崎村。久松は地元に許婚がいるものの、奉公先のお嬢さんのお染と恋仲になりました

          49arts|猿若祭二月大歌舞伎(歌舞伎座)

          Chips|工芸文化と自分の感性を知りたい

          「特集 今年学びたいこと」に絡めて、今年の初志表明をしておこうと思います。 全部やるとは限らないよ! アンティーク検定1級昨年より勉強をはじめたアンティーク検定。すでに3級、2級を取得していますが、今年1級の取得を目指そうかなと考えています。スピード取得! 昨年の2級の講座では、1級対策の授業がありました。そこで記述問題ではあるものの文字数は200字程度と少なく、内容もアートマーケット寄りだと知り「むしろ私には有利なのでは?」と感じました。 外国語(英語orフランス語)の

          Chips|工芸文化と自分の感性を知りたい

          48arts|JAPAN ART BRIDGE(マーチエキュート万世橋)

          旧万世橋駅の高架橋を利用した商業施設「マーチエキュート万世橋」に行ってきました! 飲食店や雑貨店などが集まり、走行する電車を眺めながら食事ができるカフェがあるとは聞いていましたが、なんと細長い空間を生かしたギャラリーでアート体験もできるんです。 JAPAN ART BRIDGEとはJAPAN ART BRIDGEは、JR 東日本各社、アートを用いたエデュケーション事業等を展開する株式会社 INERTIA、株式会社ルミネアソシエーツ(JR東日本グループの一員でルミネグループの

          48arts|JAPAN ART BRIDGE(マーチエキュート万世橋)

          47arts|華麗なるコンチェルト・シリーズ第23回《!?なコンチェルト》篠崎史門 阪田知樹(横浜みなとみらいホール)

          2023年12月9日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団によるティンパニに頭を突っ込むコンサートに行ってきました! (今更な記事化をお許しください) Twitter(X)や「題名のない音楽会」などで聞き及んでいたトンデモ奏法。それが実際に上演(?)されると知り、これを逃すと二度と聴けないかもとチケットを取りました。 ステージにはモニターが置かれると公演情報にはありましたが、一応双眼鏡を引っ張り出してきました。 会場の横浜みなとみらいホールは駅直結の商業ビルの中にあり、利便性抜

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          Chips|新年ボードゲーム会!

          愉快な仲間たちと、新年ボードゲーム会をしてきました! ボードゲームと聞くと「人生ゲーム」を想像する方も多いでしょう。最近はコロナ禍での外出自粛もあり、「ナンジャモンジャ」「はぁって言うゲーム」のような小箱に入ったボードゲームが、書店や雑貨店で販売されているのをよく見かけますね。 ボードゲームカフェ「コロコロ堂」では、国内外のボードゲーム数百種類で遊ぶことができます。ワンドリンク&時間制のリーズナブルな料金設定で、スタッフさんがゲームを選んだりルールを説明してくれたりと、

          Chips|新年ボードゲーム会!

          最新のお仕事|美術手帖 2024年1月号

          『美術手帖2024年1月号 特集 目[mè]』(美術出版社、2023年)のアート&デザイン学校ガイドにて、武蔵野美術大学&女子美術大学の卒業生インタビューを担当いたしました! 武蔵野美術大学冨田美穂さんは、北海道を拠点に牛の木版画を制作しています。冨田さんの牛は、本当にかわいらしく、それぞれの牛の性格や仕草・振る舞いが伝わってくるようです。人間とは違う生物としてではなく、友達やご近所さんのような距離の近さを感じました。 それもそのはず、冨田さんは酪農の仕事をしながら作品をつ

          最新のお仕事|美術手帖 2024年1月号

          46arts|パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ(国立西洋美術館)

          20世紀初頭に起こったキュビスムは、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックの共同作業によって生み出された、幾何学的な形によって画面を構成する絵画技法を指します。本展はパリのポンピドゥーセンターから絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点が来日、日本ではおよそ50年ぶりとなるキュビスムの本格的な展覧会です。 大事な前置き、心構え 「よくわからないアート」の三大巨塔が「現代アート(コンセプチュアル・アート)」「キュビスム」「書」だと個人的に思っているのですが、み

          46arts|パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ(国立西洋美術館)

          45arts|極付印度伝 マハーバーラタ戦記

          「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」が素晴らしかったので、もう千秋楽を迎えてしまったのですが、感想を書かせてください! ※本記事では登場人物の名称は読みやすくカタカナ表記にしました (後日、有料オンライン配信するので、よかったらご覧ください) 古代インドの神話的叙事詩「マハーバーラタ」は、2014年に宮城聰さんが演出した舞台『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』を鑑賞して、これは歌舞伎にできると直感した菊之助さんが発起人となり、実現しました。2017年の初演から6年を経ての再演

          45arts|極付印度伝 マハーバーラタ戦記