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1週間で覚えるメディカルハーブ30種 その2

おはようございます。
アロマテラピーと手しごとのカノワです。
フィトオーセンティックプロダクトの仕事をしながら
アロマやハーブの記事を書いたり、
アロマクラフトの提案をしたりしています。

こちらのチャンネルでは、
「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、
暮らしに取り入れやすいアロマ・ハーブクラフトや石けん作りなど、
様々なアイデアを提案しています。

さて、本日も
ハーバルセラピストで学ぶ、30種類のメディカルハーブを
ご紹介していきたいと思います。

本日は3つのハーブを紹介しますね。

2日目のメディカルハーブ、一つ目は
イチョウです。

イチョウは、そのままイチョウ科の植物になります。
学名が Ginkgo biloba(ギンクゴ・ビロバ)となります。
和名もイチョウ、ですが、サプリメントなどでは「ギンコウ」として
販売されていることも多いですので、
学名も覚えやすいかと思いますが、
属名のGinkgoは、ginkyo(銀杏)から、
また、種小名のbilobaは、ラテン語のbi(2つの)、lobus(葉)が
語源となっているそうです。
イチョウの葉っぱの形を思い出していただくと
扇型の葉の縁に浅く切れ込みが入っていますよね。
これを浅裂(浅裂)と呼ぶそうなのですが、そこからきているようです。

ハーブでも、この葉の部分を使用しています。

イチョウは皆さん馴染みのある植物だと思います。
街路樹でよく見かけますし、葉っぱの形も特徴的ですよね。
この、イチョウ、実は2億年も前から地球上に存在している
「生きた化石」とも呼ばれている木なのです。
日本でも長寿の木として知られています。

イチョウの葉には、毛細血管の酸化を防ぐフラボノイド配糖体や
PAF(血小板活性化因子)を抑制し神経系を保護するギンコライドやヒロパリドなどの
有効成分があります。脳の血管を保護し、血液循環を促進してくれるため、
アルツハイマー型認知症や脳血管型の認知症、
脳卒中などの脳の血管障害への効果が認められているのです。

血液循環を促す作用は、めまい、耳鳴り、抑うつ、冷え性、糖尿病の合併症である腎炎、
神経障害、糖尿病性網膜症などの予防へも用いられています。

イチョウ種子の外皮に多く含まれるギンコール酸は、アレルギー性皮膚炎を起こす懸念があるため、服用に際してはドイツのコミッションEモノグラフ(薬用植物の公の王に関する公的な評価委員会)ではギンコール酸の含有量が5ppm以下のものと規定しています。
通常はエキス剤やサプリの形で用いられます。

また、PAFを強く阻害するので、抗凝固薬との併用や、出血傾向のある者の服用には十分あ注意が必要で、さらに手術予定のある患者は、手術の7日間前には服用を禁止することが忠告されています。
そのため、イチョウの相互作用はクラスBとなっています。

イチョウの安全性はクラス1ですが、相互作用はクラスBで
手術を予定している患者は手術の7日間前には使用を中止、という指定が入っています。

おさらいになります。

イチョウ
イチョウ科の植物で、
学名 Ginkgo biloba(ギンクゴ・ビロバ)
和名は、イチョウ。別名「ギンコウ」
使用部位は、葉となります。
主要な成分は、フラボノイド(クエルセチン、ケンフェロール)、フラボノイド配糖体、ギンコライド、ピロパリド、2重分子フラボン(アメントフラボン)、ギンコール酸となります。

作用については、
PAF(血小板活性化因子)阻害、血管拡張

適用症は
認知症、耳鳴り、めまいなどの脳血管神経障害

イチョウのキーワードおさえておきます。
血液サラサラハーブ。ボケ防止。PAF(血小板活性化因子)阻害、「生きた化石」


本日の2つめのハーブは

イラクサ科のネトルです。
イラクサ科もネトルのみですね。

ネトルの学名はUrtica dioica(ウルティカ・ディオイカ)
属名のUrticaは、おそらくラテン語のuro(焼く)が語源だと言われています。
「焼く」とはいったい??と思われますよね。
実際のネトルを見たことがある方はわかると思いますが
ネトルの葉って。刺毛に覆われていて、触ると炎症を起こして「焼く」ような
激痛を起こすからではないかと言われています。
英語でもネトルはstinging nettleといわれ、このstingingというのはトゲがある、という意味なのですよね。このトゲは古くから重要な衣料の原料として、強い繊維を紡いでいたそうです。
そして、種小名のdioicaですが、こちらはラテン語のdioica(雌雄異株の)という意味です。
先ほども出てきましたが、2つのの意のdiとoikosの組み合わせからきています。
oikosってヨーグルトの名前にもありますが、もともとは、
古代ギリシア語で家・住居という意味なので、2つの家・住居というところから
雌雄異株の、となり、dioicaとなっているようです。
学名、ちょっと覚えづらいですけど、こうして分解していくと
だんだん面白くなってきませんか?
私だけかな^^;

ということで、ネトルの学名Urtica dioicaの説明をさせていただいたのですが、
ネトル、和名はセイヨウイラクサです。
イラクサ科なのでね、わかりやすいと思いますが、おさえておきますね。
また、ネトルも葉っぱを使ったハープです。

ネトルの特徴をご紹介していきます。

ネトルは、ヘモグロビンに似た構造をしたクロロフィルを豊富に含み、さらに鉄分や、ビタミン、ケイ素、カルシウム、カリウムなど、身体に必要な栄養素をバランスよく含みます。
血液の汚れを浄化してくれますので、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患に体質改善の目的で使用されます。ドイツなどでは、現在でも、春先のアレルギーやニキビなどの予防に春季療法として、ネトルティーが用いられています。

古くからネトルは増血や浄血の目的で用いられてきました。
体内の老廃物や、尿酸を排出する利尿作用が強く、痛風や泌尿器系の感染症にも用いられます。

外用では、豊富なビタミンやミネラルによる整肌効果があるため、皮膚の炎症を鎮静したり、
ニキビや湿疹などの肌トラブルに湿布やパウダー剤などで用いられます。

抹茶に近い風味なので、ネトルパウダーは、サラダなどの料理にそのままふりかけたり、
牛乳やヨーグルトに加えて摂取することもできます。
私は結構スープに入れることが多いです。実はわんこのご飯にも、栄誉加えたいときに
ネトルを入れたりもしています。

ネトルの安全性はクラス1ですが、相互作用はクラスAとなります。

おさらいになります。

ネトル
イラクサ科の植物で、
学名 Urtica dioica(ウルティカ・ディオイカ)
和名は、セイヨウイラクサ
使用部位は、葉となります。
主要な成分は、
フラボノイド(クエルセチン)、フラボノイド配糖体(ルチン)、クロロフィル、フィトステロール(β-シトステロール)カロテノイド(β-カロテン)、ビタミンC、葉酸、ミネラル(ケイ素、カルシウム、カリウム、鉄)
かなりたくさんありますよね、本当にネトルって栄養豊富なハーブだなと感じていただけると思います。

作用については、利尿と増血、となります。
フラボノイドのクエルセチン、フラボノイド配糖体のルチン、ミネラルのカリウム・カルシウムなどからの利尿、
クロロフィルからの増血、と関連づけて覚えられると思います。
またフラボノイドとフラボノイド配糖体からの血液サラサラ、もありますので
体をクリーンにしてくれるハーブともいえますね。

適用症は、花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患、痛風、リウマチ、となっています。

ネトルのキーワードおさえておきます。
ビタミンとミネラル豊富な体質改善ハーブ。春季療法でアレルギー予防。クロロフィルで増血。


本日最後、3つ目のハーブです。

オトギリソウ科のセントジョンズワートです。

セントジョンズワートの学名はHypericum perforatum(ヒペリクム・ペルフォラトゥム)
和名はセイヨウオトギリソウです。

属名のHypericumは、hyper(過度の)ereike(エレイケー・荒野)、ということで
砂地の荒野によく生育することから、ギリシア語のhypereikon(ヒペレイコン、つまりセントジョンズワードの意)となったそうです。
また種小名のperforatumですが、こちらは、ラテン語のperforo(貫く、刺し通す)からきているそうです。というのも、葉っぱにたくさんの分泌腺があり、これが葉を貫通しているように見えることからなんだそうです。

セントジョンズワートは、夏至の日(聖ヨハネの日)に収穫すると最も治癒力が強いといわれ、また、暗く落ち込んだ心に明るさを取り戻すことから、「サンシャインサプリメント」と呼ばれています。
近年になって化学的研究が進み、抑うつに対する効果が確認され、季節性感情障害(SAD)や更年期の抑うつなどに活用されています。
さらに、鎮痛作用により、生理痛や生理不順、月経前症候群(PMS)にも適応されます。

オリーブオイルなどの植物油、キャリアオイルですね、そういったオイルに花や地上部を浸して、赤色色素であるヒペリシンを溶け出させた浸出油は、火傷や外傷に用いられ、チンキ剤では、消炎作用や鎮痛作用があります。
ただし、このヒペリシンの成分には光感作作用があることやセントジョンズワートは薬の効果を弱めるため、血液凝固防止薬や、免疫抑制薬ほかで、薬との相互作用への十分な注意が必要です。

そのため、セントジョンズワートの安全性はクラス2dで、光線療法(レーザーまたは紫外線)中に使用禁忌。
相互作用はクラスCで、CYP450酵素およびP-糖タンパク質を誘導するため、代謝または排出が増加し、薬物の血中濃度が減少して、薬の治療活性を減少させる可能性があるとされています。
注意を促されている医薬品について念のためお伝えしておきますね。
インシナビル(抗HIV薬)、ジゴキシン(強心薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)、ワルファリン(血液凝固防止薬)、経口避妊薬

ちなみに、30種類のメディカルハーブのなかで、クラスCの相互作用がしてきされているのは、こちらのセントジョンズワートとマテになります。
マテの相互作用についても、セントジョンズワートど同じ気管支拡張薬のテオフィリンが記載されています。
また、マテの回でご説明しますね。

おさらいになります。

セントジョンズワート
オトギリソウ科の植物で、
学名 Hypericum perforatum(ヒペリクム・ペルフォラトゥム)
となります。
和名は、セイヨウイラクサ
使用部位は、開花時の地上部となります。
主要な成分は、
ヒペリシン(赤い色素)、フラボノイド配糖体(ヒペロシド、ルチン)、ハイパーフォリン、タンニン、精油

作用については、内用で抗うつ、外用で消炎、鎮痛となります。
ヒペリシンとハイパーフォリンがうつに作用してくれるということですね。

適用症については、軽度〜中程度のうつ、月経前症候群(PMS)、創傷があります。
また、伝統的に神経痛などの痛みにも用いられてきました。

セントジョンズワートのキーワードおさえておきます。
抗うつのサンシャインサプリメント。赤い色素のヒペリシンとハイパーフォリンが抗うつに。
クラス2dの光線療法中の使用禁止、クラスCの薬が効きにくくなる可能性。
PMSと創傷にもつかえるハーブ。

おつかれさまでした。
本日3つのハーブをご紹介しました。

イチョウ、ネトル、セントジョンズワート

イチョウは、生きた化石のボケ防止ハーブ。
ネトルはビタミンミネラルたっぷりの体質改善ハーブ
セントジョンズワートは、抗うつのサンシャインサプリメント。
赤い色素のヒペリシン。安全性がクラス2d、相互作用がクラスC

でした!

一度に覚えるのは大変かと思いますが、
繰り返していくと、点と点がつながって、より理解が深まってくると思います。
まずは気になったハーブ一つから、試してみていただけたら嬉しいです。


参考文献
ハーバルセラピストテキスト(JAMHA)
ハーバルセラピスト認定試験 対策問題集(BABジャパン)
ハーブ学名語源辞典(東京等出版)

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