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ぼくらは保田のよい子達 2

  そんな絶望の中救ってくれたのは、生まれ育った地元の同級生だった。
「ぼくらは保田のよい子達」と名付け、SNS上で話せる場所を作ったとの連絡が入った。地元を離れ実家に帰る事も少なくなる中で、唯一連絡をしてくれていた友人からの連絡だけで繋がっていた私には、とても嬉しい誘いとなった。ネットの中で話す会話や懐かしい顔見るとホッとする。単純な性格なのだろう、地元の同級生と話していくうちに、随分気分が良くなっていった。治療後は元の状態まで戻る事なく退院が決まり、また自宅でリハビリをする毎日になった。
 その年の年末、同級生数人で集まって忘年会をしようと話が持ち上がった。久しぶりにみんなに会いたいと言う気持ちから、どうしても参加したくて、自宅でリハビリを頑張る事ができた。単純に嬉しい事は前向きな気持ちになれ、免疫力も上がるのだと自分でも驚きだった。肘までの両杖で退院したが、どうしても杖で歩いている姿での参加が嫌で、退院後5カ月間必死でリハビリを頑張った。努力が実ったのか、意地で杖を持たなかったのかとも思うが、友人に手を引いてもらいながらだが、その日は自力歩行で参加した。体調の事を考え、少しの時間の参加だったが、久しぶりに楽しい時間を過ごせた。小さい頃からの幼なじみは気も遣わず、何年かぶりに心から笑えた気がした。
 それから、更に色んな繋がりが出来て行き、高校の仲間や野球部のマネージャー時代の仲間からも連絡をもらうようになり、地元の繋がりが少しずつ戻ってきた事で、更に元気になれた。人との繋がりが心を豊かにしてくれた。小さな出来事が、大きな勇気や希望に繋がる。病気になって苦しんでいた孤独な私の気持ちを開いてくれたようだ。病気だって再発したって、まだまだ色んな事が出来て、人との繋がりを持って楽しめる。地元の同級生は本当に心強い私のよりどころになっていて、今も自分で行動する事、自力で何かしようと思う気持ちを与えてくれている。
 再発し絶望的になっている時の「誰か・・・助けて」の心の叫びから、今の前向きな気持ちになり自分から進んで行動出来るようになったのは、きっとみんなのおかげだろう。


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