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【共同親権法案】最高裁長官「背景どこまで見られるか難しい」 ―対策は「研修の充実」にとどまる

最高裁の戸倉三郎長官が、憲法記念日を前に記者会見し、共同親権法案について言及しました。
法案は、父母の合意がない場合に裁判所が共同親権を命じうることが規定されていますが、戸倉長官は、親権者の判断について「表面的なことだけでなく、背後にあることをどこまで見られるかは、かなり難しい課題だ」と限界を認めました。
国会審議では、離婚後共同親権の導入にあたり、数百人規模の裁判官の拡充や調査官の大幅増員が必要と言われています。しかし、戸倉長官は、具体的な対策については「研修などを充実させ、的確に対応できる体制をつくっていく」との消極的な姿勢にとどまりました。


新聞報道

離婚後の親権判断「背景どこまで見られるか難しい」 最高裁長官

(2024年5月3日 毎日新聞)
今国会で審議されている離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正案で、家裁による親権者の判断が規定されていることについて、「表面的なことだけでなく、背後にあることをどこまで見られるかは、かなり難しい課題だ」と述べた。
(略)
戸倉長官は「国民の期待は非常に重くなるので、裁判官も知見を深めていくことは不可欠。研修などを充実させ、的確に対応できる体制をつくっていく」と話した。


最高裁の戸倉三郎長官、ジェンダー平等めぐる訴訟に「より適切な紛争解決を追求」 国民の価値観多様化にも言及

(2024年5月3日 東京新聞)
国会で審議中の離婚後の共同親権制度を導入する民法改正案では、親権について父母が合意できないなら家裁が決めるとされるが、人手不足の家裁が適切に対応できるか懸念されている。戸倉長官は「表面的なことだけでなく背後まで見ることができるかが、大きく難しい課題」との認識を示した上で「判断枠組みを明確にすることが現場の裁判官にとって極めて重要」とした。


裁判員制度「順調に運営」、共同親権も言及 憲法記念日で最高裁長官

(2024年5月3日 朝日新聞)
離婚後も父母双方が親権を持つことができる「共同親権」の法改正をめぐっては、共同親権にするかの判断に関わる家裁の態勢が不十分だとの懸念が出ている。戸倉長官は「判断枠組みを明確にすることが現場の裁判官にとって極めて重要。家裁が的確に対応できる態勢をつくらなければならない」とした。


共同親権「知見深める」 最高裁長官、体制強化に意欲

(2024年5月3日 時事通信)
離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入が見込まれ、家庭裁判所の役割が拡大することについて「新しい法律の精神を十分理解し、的確な判断をしていく。国民の期待が重くなるから、裁判官が知見を深める努力は不可欠だ」と述べた。
(略)戸倉長官は「的確に対応できる体制もつくっていかないといけない」と意欲を見せた。


最高裁の国会答弁

本村議員
家庭裁判所に関しまして、予算、人員をどういうふうに充実していく計画にあるのかという点を最高裁にお伺いをしたいと思います。

最高裁総務局長
裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き必要な体制の整備及び予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

本村議員
一般論でいつもおっしゃるわけですけれども、家庭裁判所の充実に関しては、数百人規模の裁判官の拡充ということや、調査官も大幅に増員しなければならないと。参考人質疑では、2倍、3倍でも足りないんだというお話もございました。ぜひこういう点も含めて、裁判所の人員や物的整備、この点を充実させていただきたいというふうに思っております。


なお、最高裁は、面会交流中の性虐待についても、第三者検討委員会の必要性を認めず、調査に消極的な姿勢を表明しています。


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