【まとめ】離婚後共同親権に関する弁護士会の声明など
離婚後共同親権を導入する民法改正について、日弁連や各地の弁護士会が声明などを発信しています。2023年秋以降の意見書・声明をまとめました。
(5月1日現在)
日本弁護士連合会、札幌市弁護士会、函館弁護士会、群馬弁護士会、千葉県弁護士会、愛知県弁護士会、岐阜県弁護士会、金沢弁護士会、福井弁護士会、大阪弁護士会、京都弁護士会、兵庫県弁護士会、広島弁護士会、福岡県弁護士会
※各弁護士会声明の論点は、太田啓子弁護士の投稿を参考にさせていただきました。
2023年
11月21日 札幌市弁護士会
家族法制の見直しに際し、離婚後双方親権を導入することに反対する意見書
「急迫の事情」「日常の行為」の範囲不明確
DV・虐待事案において子連れ別居が違法な親権行使であるとして裁判を起こされる事案が多発
養育費の請求権者や児童手当等の受給者が不明確
2024年
2月16日 日本弁護士連合会
監護者指定を必須必須としないものとされた点
子どもの意見を尊重すべきことが明記されなかった点
「親権」という用語が維持された点
親以外の第三者との交流について新たな規律が設けられた点
3月8日 札幌弁護士会/女のスペース・おん/しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道
重要な決定が適時適切にできず、子の利益を損なう
「急迫の事情」「日常の行為」の範囲が不明確
監護者指定がないと、子の生活基盤が脅かされる
家裁の人的・物的体制の強化と財源確保が不可欠
3月21日 金沢弁護士会
「急迫の事情」の文言の問題
家裁の体制不足
「監護及び教育に関する日常行為」具体的内容不明
子の意思を適切に尊重する制度の必要性
税制・社会保障制度におけるひとり親支援。離婚後共同親権共同監護により、子に不利益が生じないようにする必要
3月21日 福岡県弁護士会
離婚後共同親権の導入について、十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明
包括的な親の権利というものがあるという誤解を生じかねない
DV・虐待事案の危険性。協議離婚においては、届出時点では裁判所が関与せず、何らの限定もない。
「急迫の事情」「日常の行為」の範囲が不明確
家裁の人的物的体制の問題
3月22日 函館弁護士会
離婚後共同親権を導入する家族法制見直しについて、慎重な議論を求める会長声明
非合意強制方共同親権の問題
DVの加害者を離婚後共同親権 から排除できない
家裁体制の不足
どのような場 合が「急迫の事情」か不明
DV被害者の「子を連れて逃げる」という手段 すら奪いかねない
子の意見表明権が明記されていない
3月26日 千葉県弁護士会
離婚後共同親権導入について、その是非の判断も含めより慎重な検討を求める会長声明
高葛藤父母の間でも共同養育が強制される可能性
子の重要事項に関する意思決定が停滞
離婚後も虐待やDV の影響を受け続けるリスクが
養育費の確保は、 国の立替制度の導入を含め福祉的な観点からアプローチすることが肝要であ り、共同親権の導入は的外れの議論
4月10日 福井弁護士会
離婚後共同親権の導入について、是非の判断も含めて慎重かつ十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明
離婚紛争の長期化の懸念
子の重要事項に関する適時適切な意思決定ができず停滞
離婚後も虐待や DV の影響を受け続けるリスク
養育費、面会について共同親権導入しても対策にならない
反対してる弁護士への業務妨害ひどい
4月12日 岐阜県弁護士会
日本の協議離婚制度にそぐわない
「急迫」「日常行為」という単独親権行使できる要件が不明確
監護者の指定を必須としないのは問題
子の意見を尊重が明記されなかった
DV虐待被害者が避難することや支援者の支援が躊躇されるようになる
4月15日 愛知県弁護士会
DVの証明困難への配慮必要 ・家裁の人的物的体制強化すべき
「急迫」「日常行為」という単独親権行使できる要件が不明確
DV被害者の子連れ別居が制限される懸念
4月17日 大阪弁護士会
離婚後共同親権について、さらに慎重かつ十分な国会審議を求める会長声明
DV虐待の立証困難に配慮した審議必要
子の意見表明権が無い
子どもの手続代理人等の費用の国庫負担等すべき
「急迫」「日常行為」という単独親権行使できる要件が不明確
家裁の人的物的体制を強化すべき
4月19日 兵庫県弁護士会
離婚後共同親権導入に関し慎重かつ開かれた議論を求める会長声明
法制審で少数反対意見があったのに採決、パブコメ公開無
家裁の人的物的体制強化すべき
「急迫」「日常行為」という単独親権行使できる要件が不明確
DV被害者の子連れ別居が制限される懸念
4月24日 広島弁護士会
離婚後の共同親権導入を含む民法等改正法案について十分かつ慎重な議論を求める会長声明
国民の理解が得られていない
「日常の行為」の具体的な内容が不明
「急迫の事情」について具体的に定めれていない
家裁の体制が備わっていない
高葛藤のケースで、当事者の合意がないにもかかわらず裁判所が共同親権を命じるべきケースがおよそ想定できない
監護者指定が必須となっていない
子の意見の尊重が明記されていない
「親権」という用語が維持された
4月26日 京都弁護士会
離婚後共同親権の拙速な導入を危惧し、慎重かつ十分な国会審議を求める会長声明
単独で親権を行使できる場合が不明確
「急迫」という文言から生じる弊害への懸念
DV・虐待ついて審議が尽くされていない
「共同親権の合意」真意性の担保
関係省庁所管事項への影響が不明
慎重かつ十分な国会審議を
4月30日 群馬弁護士会
離婚後共同親権を導入する「民法等の一部を改正する法律案」についての充実した審議を求める会長声明
国会提出に至るまでの経緯について極めて特異な事情
「非合意・強制型」共同親権は、子の利益が害される
「急迫の事情」「日常の行為」が不明確で紛争が長期化
裁判所も、異例のパブリックコメントで重大な懸念
DV・虐待事案でも共同親権が選択されてしまう可能性
その他、離婚後共同親権についての声明などは、こちらにまとめています。
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