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親子でプレバト!!88

       *無料公開です

母が創作。息子が添削。
親子で俳句教室の第八十八弾。

還暦直前のこの歳まで、雨は好きではなかった。

一番の理由は、出掛けるのが大変だし、億劫になること。
自他共に認める晴れ女の自分としては、晴天が好きだった。

ところが、今年は何故か雨が嫌でなくなったというか、好きにさえなった気がする。年のせいだろうか?(笑)
雨に濡れた紫陽花が無性に見たくなり、午後に雨の予報がある中を勇んで鎌倉へ行ったくらい(笑)。


今年、次女が二十歳。
振袖を決める際、幾つかの候補の中、黒雲の刺繍の着物があった。

“瑞雲”・“雲取り”など、雲の紋様の着物はよくあるが、黒い雲の図柄は、天皇家のお着物に使用される格式の高いものなのだとか。

そういえば、小林正観さんの著書の中に確か、天皇が年始に『人柱になりますので、国民を守ってください』という主旨の祝詞をあげてくださっていることが書かれていました。それとは少し違いますが、豊作を願い、国民が豊かに暮らせるようにとの願いが込められているのだと感じました。歴史をみても、雨乞いの記述も多く、干ばつで飢饉を何度も経験しています。

雨は植物に滋養をもたらす。勿論、太陽の恵みも必要で、結局、生物は全て自然の恩恵のお陰で生きています。

娘が選んだのは『辻が花』。黒雲の刺繍の振袖は選ばなかったものの、美しく咲く紫陽花を見てふと、その振袖のことが頭をよぎりました。そこで一句。

黒雲をいた振袖濃紫陽花


息子「説明を聞くに、“描いた”というより“刺繍”。音数の問題だったのかもしれないけど。」

私『実はそうなの〜(^◇^;)』

息子「文字数を調整するというのは確かに大事だけど、語順や言い換えでどういかできないか?を考える。晴れ着といえば3音で済むから、例えばそこで調整すると…」

濃紫陽花晴れ着に黒雲の刺繍

とか。

息子「濃紫陽花の[濃]はちょっと“黒”と近すぎてしまうから、【紫陽花や】くらいでいいのかな。」

紫陽花や晴着に黒雲の刺繍


私「なるほどね〜。[濃紫陽花]だと漢字が並びすぎるしね!」

息子「並び過ぎるし、[濃]という色の濃さの上に、〈黒〉という極端な強さを持つ色。[濃い]と〈黒〉を離したいというのもあった。」

私『“晴れ着”の“れ”は要るかな?』

息子「普通は入るけど、入れない方が字面としては美しいかな。漢字の間に平仮名がクッションになって入る。」

私『あ、ほんと!なるほど〜』

息子「あるいは、“晴れ着”と“れ”を入れるなら、[紫陽花]を平仮名にしてしまうとか。」

あじさいや晴れ着に黒雲の刺繍


息子「“振袖”といえば女の子だが、“晴れ着”だと男女どちらかわからないところもある。平仮名を多くすることで、女の子っぽい感じも出る。やはり、見た目の印象(字面)というのは大事だと思うので、より女の子っぽさを表現するなら、この方が柔らかくて良いのかもしれない。」

私『なるほど〜。』

息子「“紫陽花”の花をどうしても後に見せたいなら中七・下五で調整するしかないが、最初に6月の雰囲気を今回の句に関しては出してもいいのかな。【あじさい】という季語が来た後に[晴]という文字が来る。これもいいんじゃないかな。」

私『確かに。逆だね!』

息子「そう。全体的に元の句だと、黒い雲だったり、濃い紫陽花だったり、曇りや雨の季節が前面に出される。“晴れ着”の[晴]の文字が入ることによって、句全体が少し明るくなるんじゃないかな、と。」

私『なるほどね。確かに雨の時期を詠みたいのだけれど、ちょっと暗すぎるわね。』

息子「重厚感があり過ぎるというか、重すぎるというか。」

私『せっかくの振袖なのにね!(笑)』

息子「雰囲気から[晴]という文字を使うというのはそういう効果もある。平仮名を使った下の句の方がいいかもね。“黒雲”は刺繍とはいえ、雨をダメ押しする雰囲気があるし。」

私『なかなか主張が激しかったよ。振袖の黒い雲(笑)。びっくりしたけど、天皇家の着物に用いられると教えられ、格調高い感じだった…』

私『黒雲が雨を象徴しているのと、紫陽花では近いかな?』

息子「確かに雨が降りそうな雲と紫陽花は近いと言われるかもしれないが、まあ距離としてはギリギリ遠すぎず悪くはないのかなと。」

「今の時期だから[紫陽花]だけど、もし重いと思ったら他の季語で調整してもいいかもしれない。」

「花の種類である程度、女の子の像が見えてくるかもしれない。[紫陽花]だと、控えめでお淑やかだけど凛としているとか、スッとした女性。[桜]とかなら、明るい春を感じさせるような女の子かもしれない、とか。」

私『【親子でプレバト77!!】の記事にあったね!旅先の花を詠んだ句だけど、花を変えることによって、イメージが全然変わった。想像する町も変わった!!』

息子「ただ、紫陽花が結構合っているんじゃないかと思うのは、“黒雲の刺繍”は見た目もちょっと重いし、意味合いとしても格調高い。そうなった時に、そんじょそこらの花だと重みに耐えられない。」

私『確かに。意味合いも色も…』

息子「紫陽花って、鞠が群になって咲いていることも含めて、紫陽花なら[雲]の雰囲気も受け留めきれるんじゃないかな。雨の時期の花と雨を思わせる黒雲で重なる部分はあるけど、相乗効果もある。」

私『そうだね。紫陽花は日本が原種の花。万葉集にも詠まれている。紫陽花を見て振袖のエピソードを思い出してできた句だし、付かず離れずで、今回はこの季語で良かったのかもしれないね。』




いつも添削されて『なるほど〜』と思うワタクシ(^◇^;)

推敲が大事なことも知っている。

が、なんなら自分では『良い句だわ〜』などと思っていて…(汗)。

今回もそうでして…(^◇^;)。

[黒雲]は、“黒色の雲”の他、“不吉な予兆・暗雲”のようにも用いられます。でも、晴れ着の模様とあらば後者ではなく前者、しかも肯定的な意味として解釈はしてはもらえるかな、と。例えエピソードを知らない人でも(ほぼ知らないと思います。私もそうでした)。
雨の恵みを受けて色濃く咲く紫陽花。『う〜ん、良い取り合わせ〜♡』なんて!(汗)
でも、言われてみれば、“濃い”に“黒”か…。『[描く]も下絵じゃないんだからね〜(^◇^;)』
『漢字で書くかひらがなで書くかも大事か…』

いやいや、句ができた時は『名句〜』とか思っちゃうのよね(^◇^;)


相変わらずの母でございます(お恥ずかしい…)

トホホ……



久しぶりの親子記事は、お楽しみいただけましたでしょうか?


最後までご覧くださいまして、ありがとうございました(*≧∀≦*)



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