有村千裕

物書き。文章講師。 NHK土曜スペシャルドラマ「あっこと僕らが生きた夏」原作者。元読売…

有村千裕

物書き。文章講師。 NHK土曜スペシャルドラマ「あっこと僕らが生きた夏」原作者。元読売新聞記者。 香りと、珈琲と、音楽が好き。 9歳から文章の添削を始め、現在は大学で文章の専門授業を担当、就職活動講座の講師も務める(8年目)。国家資格キャリアコンサルタント。

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2023年の締めくくりにうちの猫の話

2023年最後の日。大阪に向かいながら、この文章をポチポチしています。 今年の振り返りをカッコよく文章にしたかったのですが、ひとまずこの文章はたいせつな猫たちのことに絞って書いてみようと思い至りました。 今年は、愛猫メイを天に送り出すことから始まりました。2022年8月から腎臓病が悪化していた13歳の猫メイ。一時は、このままだと余命2週間と言われたこともありました。そのあと、奇跡的に持ち直し、2023年1月26日に旅立つまで、優しい心をそのまま、必死に生き抜いてくれました。

    • KANさん

      アーティストの訃報に、初めて声を上げて泣きました。 たっぷりのユーモアと優しい音楽が私の人生にも多大な影響を与えてくださったKANさんが亡くなりました。メッケル憩室がん、というがんを患っていることを公表なさったのが今年3月18日。 最近まで、SNSでユーモアたっぷりに投稿を続けていたので、てっきり復帰も近いのかと思っていたところでした。 KANさんの音楽に本格的に出会ったのは、2013年ごろ、私がハロープロジェクトのアイドルが好きで、その所属事務所の番組を見ていた時でした。

      • 人生に突風が吹く日

        人生にはたまに、許容量を超えるほどのことが起こることがあります。 今日はそんな日。 この空に、あっこちゃんがいることを、ありありと感じた日でした。 スパルタなほど、出来事がパンパン。 余韻が強くて、まともなnoteは書けそうにないので、また後日。

        • 古いふるさと

          社会人になったときに踏み入れた街 毎日必死に、最高速度で駆け抜けた街 あのとき見慣れた顔が看板になって 街を彩った商業ビルは跡形もなくなっていて 表通りを歩いていると あの日の全速力の私と すれ違いざま、ぶつかってしまうような気がする 今の私は、昔の私に置いて行かれていないか 「閃光少女」を聴きながら駆け抜けたこの街は ほんの少し田舎の佇まいで、よそ行きの顔をしている

        2023年の締めくくりにうちの猫の話

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          note更新へのゆるい決意と一万円選書

          物書き、兼、文章講師の有村千裕です。 年の瀬ですね。やり残したこと、ありませんか?私は、2022年に未練がたくさんあるようで、今年を生き切った感じでもあります。 先ほど、その中でもずっと、やらなければ、ともやもやしていた大切な仕事を終えました。一万円選書のカルテ送信です。 北海道砂川市にある「岩田書店」さんの有名な一万円選書をご存じでしょうか。人生観や読書歴を送ると、それを熟読した店主の岩田徹さんが、約1万円分の本を選んで送ってくださるサービスです。私は幸運なことに昨年そ

          note更新へのゆるい決意と一万円選書

          チーズケーキ

           商店街を歩いていたら、甘く香ばしい温度のない熱気のような風が駆け抜けた。胸に満ちるチーズケーキの香り。   人に傷つけられて心から謝られないことのかなしさよ、苦しさよ。  「神様、何もこの先幸せも、報われることも望みません。だからもうこの命も終わらせてください」  前日何度も思ったことは、心からの本音だったけど、優しい人と歩く道で、チーズケーキの匂いに、脳みそが混乱する。   お父さん、どこかで見ていますか。おじいちゃん、おばあちゃん、そこにいますか。私になんて言っ

          チーズケーキ

          珈琲と自由

           奪われて、なくなって使えなくなって、大切さに気付くもの。親の愛、足の小指の骨、毎朝そこにあった街路樹の緑。そして、自由!  ここ数ヶ月ある自由を失って過ごした。私が奪われた自由がなんだったのかは、ハンカチを選べる自由とか、前髪の分け方を左右選べる自由とか、そんなものを想像してもらってもいいし、外を自由に歩く自由とか、泣き笑う自由とか、そう言うものを想像して頂いても良い。  少し想像する。たとえばハンカチを選ぶ自由だったとする。ハンカチが生活においてどの程幸せを左右するか

          珈琲と自由

          花束の女王様

          「今となっては武器ではなくて、有村先生が送ってくださった花束だったのかもしれないと思っています。」 コロナ禍で都市間の移動に敏感になり、面接WEB面接のみの選考の企業が増えるなど突然の変化に、多くの就職活動生が目指すところを見失っていそる。この言葉はそんな中、7月から就職活動を再スタートさせ、志望する企業から内定を得たTさんがおととい私にくれたメールの中の一文。  彼女とは自己PRを書くための添削の時間に、彼女の特徴をその生い立ちから、祖父母と仲良く育った自分に絞って書い

          花束の女王様

          光さす日を

           高校時代、幽霊部員ながら細々と卓球部に所属していた。そこに、2つ上の、みんなを照らす太陽のような存在の先輩がいた。学校のどこにいても彼女の笑い声は聞き分けられる、と言われるくらいによく笑い、明るくて、その存在自体がひまわりみたいな人だと思った。大好きだった。運動会では青ブロックで母校の名物である応援合戦のリーダーを務めていて、真っ黒に日焼けして青いTシャツで走り回る先輩が、私には眩しかった。  その先輩がのちに心を患って、苦しんでいたことを知ったのは、彼女の訃報に触れた、

          光さす日を

          その力

          ディズニーの「眠れる森の美女」の映画が好きだ。もっとも、本でもなんでも私は美味しそうなものが登場すると何度も読み返すほど、アニメや文章の中の食べ物に惹かれ、その場面ばかりを何度も見てしまうのだが。  眠れる森の美女では、物を操る魔法で魔女たちが主人公のため、ケーキをつくる。その魔法で卵を踊らせ、スポンジを作り、クリームをかけて…書いているだけでよだれが出そうだが、最後の舞踏会のシーンでも、ピンクの魔女とブルーの魔女が、結ばれた王子と踊る姫の服をピンクに変えたりブルーに変えた

          居場所

          「目を瞑って、一番安心する風景を思い浮かべてください」  精神的に不安定になったり、トラウマとなった出来事を思い出してしまうとき、本人の一番安心する風景を思い出すと、心が「安全」を感じて落ち着くと、尊敬する灯台のような存在の医師から聞いた。  私もそれを聞いてから、何か過去のつらいことが頭を離れなくなったときには、目を閉じて信じる場所に帰る。  いつもそこには祖父母がいる。父亡きあと、小学三年生の二学期から中学一年生まで、三年半を過ごした、大分県日田市の母の実家の居間だ

          スイカとかき氷を

          七月の雨の日に  明日の朝、私はあの拷問のような試練を乗り越える。27.8の時にもたしか経験した、あれだ。  父は41でこの世を去った。麻酔蘇生科の医師で、子煩悩、少し笑顔がニヒルで優しい父だった。今三十五の私。あと六年すれば、九歳だった私も彼と同じ歳になる。  父が亡くなる前夜、6月30日夜、何時ごろのことだったろう。病院に呼ばれた。当然はじめて経験する「父の危篤」だった。病院へ向かう準備を終え、祖母が肩を撫でて優しく諭す言葉を、子供部屋の緑色の少しふさふさした床をみな

          スイカとかき氷を

          藤井風さん NHK MUSIC SPECIALインタビューの記録

          2021年10月21日、「NHK MUSIC SPECIAL」、9月には「おはよう日本」で、いちファンとして、岡山県出身の藤井風さんというアーティストについて、その音楽に、言葉に、存在に救われた経験について9月に取材していただいた模様が放送されました。  NHKのスタッフさんはとてもあたたかく、全国放送でインタビューを受けることに当然不安はあったものの、信頼して取材を受け、完成を楽しみにできました。  その取材の過程で、藤井風さんの魅力について、アンケートで文章にする機会

          藤井風さん NHK MUSIC SPECIALインタビューの記録

          縦書きブログサイトg.o.a.tにあった記事の再掲始めます

          物書きで文章講師、キャリアコンサルタントの有村です。 しばらく投稿していなかったのですが、ずっと使っていたg.o.a.tに書いたコラムたちを、こちらnoteで復活させる作業から始めます。 または縦書きで文章が読めるサイトでしたので、縦書きのボリューム感、文字数などですが、記録として。 そして、これからはnoteに細々とコラムや思いを記していこうと思います。 初回は、NHK MUSIC SPECIALにほんの少しインタビューを受けた「藤井風」さんについて、番組のアンケート

          縦書きブログサイトg.o.a.tにあった記事の再掲始めます

          「一つのメルヘン」の刺激

          こんばんは。有村です。 9歳の時から自分の文章に赤を入れ続け、物書きになり、今では大学で文章の講義を持ち、添削でも食っています。 さて、最近アンガーマネジメントって言葉をよく耳にしています。(ここ数年かな) 怒りを感じたら6秒数える…とかそういうもの。 そもそも私はあまり突発的に怒らないのですが 最近世の中があまりに怒りに満ち満ちているので 歴史的にも世論がどんなものでも怒りに傾くのはいけないことだなと思っていたのです。 正義が一つしかないように見えたり、白か黒かに分け

          「一つのメルヘン」の刺激

          金メダル

          拙著「あっこと僕らが生きた夏」の舞台は大分県の楊志館高校。2012年NHK土曜スペシャルドラマにもなったので、そちらでご存じの方も多いかもしれません。 主人公の大崎耀子(あきこ)さんの後輩にあたるのが、甲斐拓也選手です。 そんな甲斐拓也選手が、オリンピックで、金メダル。苦しい中で、責任を背負ってぶれない甲斐選手の姿にこう思った日でした。 あっこちゃん、見てますか。私も悔いなく生きるね。 今日はそれだけです。 いつか、またこの気持ちを正式に形にしますね。

          金メダル