建築系展示ディレクター

金沢市在住 建築系の学芸員

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最近の記事

拳銃無頼帳 不敵に笑う男

映画を鑑賞した感想記事です。 『拳銃無頼帳 不敵に笑う男』 1960年 監督:野口博志、城戸禮 出演:赤木圭一郎、笹森礼子、宍戸錠 ほか 提供:日活株式会社 金沢が舞台となり、市内や能登で実際にロケが行われた作品と知り、見てみました。 なお。Amazon Prime会員なら見放題です。 https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.d2bb486d-36f0-1d9e-6939-182101f40293&terr

    • 小さなミュージアムについて

      久しぶりに時間と心の余裕ができたのと、将来の展覧会のリサーチのため、市内の建築を自転車で巡り、いくつかミュージアムも訪問。その訪問したミュージアムの中で、残念ながらかなりがっかりする展示の館がありました。自分が学芸員として小さなミュージアムに勤めている立場から、やるせない気持ちになったので、記録として残そうと思います。  館名はもちろん出しませんが、金沢市の郊外にあるミュージアムに伺いました。訪問したきっかけとしては、展示の内容に興味があったと言うよりは、館の建築に特徴があ

      • 立春,兵庫の展覧会など

        いくつか、最近訪れた展覧会や建築をレポートします。 1.兵庫県立美術館「李禹煥」展兵庫県立美術館が現在のHAT神戸に開館してから20周年を記念して開催されている、「もの派」を代表する国際的芸術家の李禹煥の回顧展です。東京・国立新美術館との共催で、兵庫県立美術館が後の巡回となりました。  李が中心メンバーとして牽引する「もの派」の作風は、その名前の通り自然・人工の「もの」そのものを限りなく無加工で使用しているところが特徴です。なお、「もの派」という名前自体は、もの派メンバーが

        • 雑記:建築コンペに思うこと

          建築コンペで、きな臭い案件が続いているようです。 赤松さんのTwitterでのつぶやきに引用されている文書を読みましたが、市側が審査員に断りなく3社中の2社を失格としてしまったようです。しかも、設計コンペではなくデザインビルド(デザインビルドに関しては上記の赤松さんのPDFに詳説されています)のコンペです。JVの受注金額は相当な額であったことでしょう。  私も現職が受注産業で、公共民間に関係なくコンペ・プロポそして入札に参加していることもあり、多少ですが事情にも理解がある上

        拳銃無頼帳 不敵に笑う男

          新春,東京の展覧会 下

          東京で見た展覧会の続きです。 東京国立近代美術館「大竹伸朗展」大竹伸朗氏は1955年生まれ、1980年代にデビューして以来、日本の現代アーティストのトップランナーとして活躍されてきました。恥ずかしながら、私は氏を取り上げた展示を見たことがなかったので、この大解雇展を通じて氏の作風、考え方などの一端を知ることができました。  さて、展覧会は大きく7つのテーマに分けられており、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という題がつけられていました。  展示作品は

          新春,東京の展覧会 下

          新春,東京の展覧会 上

          あけましておめでとうございます。 東京の展覧会をいくつか巡りました。 1.国立新美術館「DOMANI 明日展」コロナウイルス感染症拡大期を除いて、毎年開かれている現代アートの展覧会です。今回初めて観覧しました。  展覧会タイトルだけでは伝わりにくいのですが、要は第一線級で活躍する現代アーティストを海外に派遣する「新進芸術家海外研修制度」に選ばれた作家をピックアップする展覧会ということです。今回は10名の作家を取り上げています。 展覧会ポスター等、キービジュアルとして取り

          新春,東京の展覧会 上

          年の瀬の奈良

          ふらっと奈良を訪れました。目的は、春日大社国宝殿で開かれている展覧会「杉本博司ーーー春日大社の御生」です。まずはこちらの感想から。 杉本博司氏をご存知な方は多いかと思いますので、この展覧会の趣旨を引用しますと、 とのことで、私は氏の作品が見られるのかと(あわよくば新作も)と期待して訪問しましたが、この展覧会では杉本氏は展示ディレクターの役割を果たしたようです。実際に見られたのは、春日大社収蔵品が中心でしたが、特筆すべきは鎌倉時代などの木彫像にアレンジを加えて、杉本氏ほかの

          学芸員になるまえに

          突然ですが、4月から建築系の学芸員として働くことが決まりました。学生時代に建築と博物館学の両方を学び、建築系の学芸員になることが目標の一つだったので、思いのほか早くに目標に辿り着きました。 いまの会社に辞めることを伝えたときや、仲のいい友人に報告したとき、自分が働く館にみんなが良い印象を持っていることで安心しました。というのも、私自身が学芸員という職業になることに対して、漠然とした不安を持っているため、周りの声に励まされたということがあります。 学芸員資格を持っている人や

          学芸員になるまえに