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東京中央郵便局を改修した千疋屋総本店・KITTE丸の内店×パフェを堪能【東京丸の内】

私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは、建築好きの私やま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。

今回紹介するのは東京の玄関口、東京駅丸の内口。
明治以降はビジネス街として、最近ではハイセンスな商業施設も注目を浴びる丸の内エリアに、とっておきの建築と甘いものスポットがある。


1.旧東京中央郵便局を保存・改修!時代を超えて継承された名建築を訪問

今回訪れたのは、東京駅の丸の内南口をでてすぐのところに建つJPタワー・KITTEである。

JPタワーとその低層部の商業施設KITTEは、元々この地に1931年に建てられた東京中央郵便局を保存・修復・建替えをしてつくられた超高層複合ビルである。

元々の東京中央郵便局は、昭和のモダニズム建築の傑作とも言われた建築だ。設計者の吉田哲郎はモダニズム建築と日本の伝統的な建築の融合を試みたことで知られる建築家である。

東京中央郵便局の外壁はモダニズム建築の特徴をよく表したシンプルなものだが、その中で柱と梁を強調していたり、窓は障子のようなデザインになっていたりと日本的な建築の要素を随所に感じるのが面白い。

東京中央郵便局は東京駅側の道路に面した部分が保存・継承されていて、郵便局の機能も健在だ。
正面の大時計も残されているが、これは時計が個人が持ち歩くものではなく公共建築が時を知らせていた時代の名残だ。
上野駅や両国駅には今も大時計が残されているが、東京駅にはシンボルと言える時計はないので、ここ東京中央郵便局がその役割を担っていたのだろう。

JPタワーでは旧建物の外装の上に地上38階、地上からの高さ約200mのタワーが積まれていて、白い旧建物と対比するようなクリアなガラスのタワーが印象的だ。

また、低層部にはいる商業施設「KITTE」の内装のデザインは、隈研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が手掛けている。

【JPタワー・KITTE 施設情報】
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2
アクセス:東京駅から歩いて約1分
竣工:昭和6年(平成24年改修)
営業時間(千疋屋総本店):11:00~20:00
設計:三菱地所設計
KITTE内装設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
原設計:吉田鉄朗
賞など:第56回BCS賞
第24回BELCA賞ベストリフォーム部門

内部に入ってまず目に入ってくるのは5層を吹き抜ける圧巻のアトリウムだ。
最上部はガラス張りになっていて、上部からは天気や時刻によって変化する自然光が降り注いでいる。

旧中央郵便局は変形敷地のため建物形状が「く」の字に折れ曲がっているが、この三角形のアトリウムは、この折れ曲がった部分を上手く活用している。

床面をよく見ると六角形のマークが見えるが、これは元々あった中央郵便局の柱の跡をデザインに取り入れたもの。
一見すると見逃してしまいそうですが、柱痕を気にしながらこのアトリウムを歩いてみると元々の建築が浮かび上がってきて面白い。

さらに上部からはメタルチェーンと呼ばれる光の柱が垂れ下がっていて、旧来の柱を光の柱で再現している。

2.老舗のフルーツ店による至高のスイーツに舌鼓を打つ

KITTEには雑貨屋からファッション、手土産、日用品、カフェ・レストランなど様々な商業施設がはいるが、今回の目的地は1階にはいる千疋屋総本店だ。

千疋屋総本店は江戸時代後期に日本橋で創業した老舗のフルーツ店だ。
ここKITTE丸の内店では旬のフルーツをふんだんに使ったスイーツから、カレーやパスタなどの洋食まで幅広く提供している。

まず頂いたのはこちらのフルーツサンドイッチだ。

フルーツサンドは、フルーツ専門店らしく苺、キュウイ、パパイヤ、パイナップルなど様々な果物が挟まれていて、甘さ控えめで上品な味わいのクリームと果実の甘みや酸味がベストマッチする絶品サンドだった。

千疋屋といえばパフェも欠かせない。
この日頂いたのは、国産渋皮栗のパルフェだ。
こちらのパフェは頂上の栗からはじまり、マロンクリーム、マロンアイスと栗の魅力をたっぷりと味わえる季節のひと品だ。

柔らかい栗の下に冷たいアイスがあったり、更に下にはわらび餅が敷かれてあたりと、食べ進めていく度に違った温度や食感を味わえるエンタメ性抜群のパフェだ。

さらに甘みのあるソースに対してほうじ茶のパウダーのほろ苦さがあったり、イチゴの酸味が効いていたりと、まさに総合芸術のようなパフェとなっている。

お値段は少し張るが、それを遥かに上回る美味しさと、老舗のフルーツ店が積み重ねてきた工夫が堪能できる至高のひと品であった。

3.旧局長室から屋上まで!KITTEの建築を満喫

千疋屋総本店で甘いものを堪能したあとはをKITTEの内部を散策。

まず注目したいのは、今回の改修で可能な限り当時の姿に復元したという4階の旧局長室だ。

この旧局長室は、目前に東京駅を望むことも出来る絶好のビューポイントでもあり、休憩室としても利用できる。
ショッピングの合間に是非立ち寄ってみてほしいスポットだ。

もうひとつ注目したいのが、日本郵便と東京大学の総合研究博物館が協働で運営を行うインターメディアテクだ。

こちらは東京大学が1877年の開学以来蓄積してきた学術標本が常設展示される博物館となっていて、2階と3階の2フロアに渡って展示される資料どれも貴重で見ごたえも抜群。
基本的には入場も無料でできる超お得スポットだ。

こちらの講義室など一部のスポットは撮影が可能で、インスタスポットにもなっている。
この博物館部分も中央郵便局時代の躯体を全面に露わした内装になっているので、建築ファンとしては展示本体に加えてダブルで楽しめる。

最後に紹介したいのが、KITTEの6階にある屋上庭園「KITTEガーデン」だ。
こちらはエスカレータで6階に上がり、入場自由で入れるJPタワーの隠れた名スポットとなっている。

アトリウムの立ち上がりなどKITTEの建築の裏側が垣間見られるし、外に目をやれば丸の内の建築が一望できる。

特に東京駅側は絶景で、滅多に見れない上空からの東京駅や丸の内ビルを観ることができる。

4.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築

せっかくなので、JPタワー・KITTEとあわせて訪れたい丸の内の建築についても少し紹介したい。(丸の内には素敵な建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築ととして2建築を紹介する)

1つ目に紹介するTORAYA TOKYOは2012年に復元・修復された東京駅の丸の内駅舎南ドームの2階部分に設けられた老舗和菓子屋「とらや」のカフェだ。

内装設計を手掛けたのは「建築と甘いもの」の第2回で取り上げたとらや赤坂店などの建築デザインを手掛けた建築家の内藤廣氏だ。
東京駅の赤レンガとシンプルで現代的な要素の対比が印象的な内装は、伝統と革新の両方の要素を追求するとらやにふさわしいデザインとなっている。
私が頂いたのは人気メニューの白小倉のお汁粉だったが、今まで食べたおしるこの中でダントツで一番おいしい、極上のおしるこでであった。

【TORAYA TOKYO 施設情報】
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
行き方:東京駅直結
竣工:平成24年
設計:内藤廣/内藤廣建築設計事務所
営業時間:
 平日 10:00~19:00
 土曜、日曜、祝日 10:00~18:00
公式Webサイト:https://www.tokyostationhotel.jp/restaurants/torayatokyo/

2つ目に紹介するCafe1984は、2009年に復元・再築された三菱一号館美術館内につくられたカフェだ。

店内に一歩足を踏み入れると、思わず息を呑んでしまうような迫力の2層吹き抜けの大空間が目の前に広がる。
明治期には銀行として使われていた建物は、荘厳にしてどこか懐かしい温もりも感じる内観となっている。

銀行建築時代そのままに復元された手前の待合スペースやその向こう側の窓口からは、見たことがないはずの当時の風景が浮かんでくる気さえする。
映画の中の世界に迷い込んだような至高の空間体験ができる、丸の内のイチオシのカフェだ。

【Cafe1984 施設情報】
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
行き方:東京駅より歩いて約5分
竣工:明治27年竣工、昭和43年解体(平成21年復元)
設計:ジョサイア・コンドル(原設計)、三菱地所設計(復元)
営業時間:11:00~22:00(変更となる場合あり)
定休日:元旦、不定休
備考:設備入替・建物メンテナンスに伴い2024年秋頃まで長期休業中
公式Webサイト:https://mimt.jp/cafe1894/

今回は第6回ということで、丸の内の建築と甘いものを紹介しました。
どの建築も素晴らしい体験をもたらしてくれる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

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