毛人(EMISHI)

「毛人」という名は日本史に詳しい方なら、飛鳥時代の官僚で遣隋使小野妹子のご子息、小野毛…

毛人(EMISHI)

「毛人」という名は日本史に詳しい方なら、飛鳥時代の官僚で遣隋使小野妹子のご子息、小野毛人が思い浮かぶと思います。ここでは名前を拝借した毛人の時代を含む、紀元前後から10世紀頃までの最初のミレニアム時代に沿って(少し外れる場合もあり)これまでに訪ねた場所を紹介したいと思います。

最近の記事

【ポルトガル】聖フルトゥオーソ・デ・モンテリオス礼拝堂

場所:ブラガ、ポルトガル 時代:7世紀 (西ゴート王国、スエビ王国時代) 聖フルトゥオーソ・デ・モンテリオスの礼拝堂は、7世紀の西ゴート・スエビ王国の芸術の代表であり、何よりもポルトガルに現在まで残っている最も重要なプレ・ロマネスク様式の記念建造物です。ポルトガルの北部、イベリア半島初の宗教の中心地であったブラガ近郊に位置するこの礼拝堂は、聖フランシスコ修道院の敷地内にあります。「モンテリオス」という名称は「小さな山」を意味しています。ここを訪れたのは2005年9月でしたが

    • 【韓国】新羅騎馬人物形土器

      場所:国立慶州博物館、慶州、韓国 時代:新羅時代(6世紀初頭、三国時代) 2023年2月に初めて訪れた韓国ですが、歴史とか文化に興味を持っていたら最初に行くべきところはやはり慶州ですね。日本で言えば京都か奈良といったところでしょうか。街中には古代の史跡や古墳群があちこちにあって、広い公園のようになっていますが、その中のひとつの古墳から発見された有名な土器について調べてみました。 国宝第91号に指定されているというこれら2つの騎馬形容器は、古代新羅王国の代表的な工芸品であり

      • 【奈良県】塔の森 (六角十三重石塔)

        場所:奈良県奈良市長谷町 時代:奈良時代後期(8世紀) 昨年(2023年)5月にnoteを始めて最初に投稿した場所が、滋賀県の石塔寺だったのですが、さすが同じ近畿圏だけあって奈良や京都には1000年を超える史跡がいっぱいあり興味深いところです。私は読んでいませんが、かの白洲正子氏の随筆にも両方の塔が描かれているそうです。1990年代には会社の転勤で神戸、大阪に9年住んでいたころもあり、今考えるともっともっとあちこち行っておけばよかったと後悔している今日このごろです。 そん

        • 【フランス】シヴォーのネクロポリス

          場所:シヴォー(Civaux)、ポワティエ近郊、フランス西部 時代:ローマ末期からメロヴィング朝 シヴォーという小さな町は、ポワティエから南東約35kmのところにあって、すぐ近くに巨大な冷却塔がそびえるシヴォー原子力発電所があります。ここにメロヴィング朝の広い共同墓地(ネクロポリス)があります。メロヴィング朝のネクロポリスは、石棺の蓋を立てて墓地の囲いとして利用されています。墓地内にはおそらく数百の石棺があり、地面に置いたもの、半分埋まっているもの、ほとんど埋まっているもの

        【ポルトガル】聖フルトゥオーソ・デ・モンテリオス礼拝堂

          【青森県】キリストの墓!?

          場所:青森県三戸郡新郷村戸来月野 時代:不明 ここを訪れたのは2020年11月なので、まだコロナ禍によって旅行する人が少ない時期でした。前に「日本中央の碑歴史公園」について書きましたが、この後に訪れたのがこの「キリストの墓」でした。新郷村は十和田湖と八戸市の間くらいの山間にある小さな村で、出会う車は少なかったのですが、田舎特有の曲がりくねった道路が所々細くなっていてなかなか運転しづらい道でした。 一般常識では、かのイエス・キリストの墓が日本にあるなんて誰も信じないだろうし

          【青森県】キリストの墓!?

          【千葉県】山武の石仏

          場所:千葉県山武市嶋戸 時代:不明(奈良時代またはそれ以前?) 千葉県は広いので東京に近いところと成田空港以外、ほとんど馴染みがないのですが、ここ山武市も「やまたけし」かと思っていたら、正しくは「さんむし」でした。Googleマップを見ていたとき、この地に謎の石仏があると知って、いつか行ってみようと思っていましたが、やっと昨日4月20日に早起きして行ってきました。都内からJR総武線で千葉駅へ行き、JR外房線に乗り換えて成東駅で降ります。秋葉原からだと2時間弱の距離でした。駅

          【千葉県】山武の石仏

          【スペイン】サンタ・コンバ・デ・バンデ教会

          時代:西ゴート時代(7世紀)、9世紀末に修復 場所:サンタ・コンバ、オーレンセ、スペイン北西部ガリシア地方 西ゴート時代に建設され現在にまで残っている、プレ・ロマネスク様式の教会のひとつで、2002年9月と2005年9月の二度訪問しました。田舎町のかなり辺鄙な場所でレンタカーを長時間運転する覚悟がない人や、スペインのプレ・ロマネスク建築に興味がない人には全くつまらないところだろうと思います。今でこそスマホのGoogleマップがどこでも目的地まで優しく案内してくれますが、当時

          【スペイン】サンタ・コンバ・デ・バンデ教会

          【フランス】サン・レミ修道院博物館

          時代:メロヴィング朝、カロリング朝 場所:ランス、フランス フランス、ランスにある旧ベネディクト会修道院で、3月17日に掲載したサン・レミ聖堂の敷地内にあります。1005~1170年に建てられた修道院教会は現存しており、修道院の建物が現在博物館になっています。ちなみに日本人画家としてフランスで活躍した藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886~1968年)は、ここサン・レミ聖堂を訪れたときにキリスト教への信仰を深めたと言われています。 メロヴィング朝最初の王クローヴィスが洗礼

          【フランス】サン・レミ修道院博物館

          【ドイツ】コンスタンティヌス大聖堂

          場所:トリーア、ドイツ 時代:4世紀 (20世紀再建) トリーアの街中に残っているローマの建築物「コンスタンティヌス大聖堂」は、もともと西暦305年にコンスタンティヌス大帝によって建造された、ローマ皇帝の宮殿「玉座の間(アウラ・パラティーナ)」でした。5世紀になって西ローマ帝国が滅んだ後は、メロヴィング朝フランク王国の支配下に入りましたが、すでにローマ時代のような高度な建築技術は失われ、その後は荒廃した時期もありました。しかし12世紀からはトリーア大司教の住居兼城塞となり、

          【ドイツ】コンスタンティヌス大聖堂

          【フランス】サン・レミ聖堂

          場所:ランス、フランス 時代:11~13世紀 ランスにおいて、壮大なゴシック建築のランス大聖堂に次いで有名且つ重要な教会で、大聖堂から南に約1.7km歩くとこのサン・レミ聖堂が見えます。サン・レミ(レミギウス、437~533年)はランス司教で、西暦496年から506年までの間のいずれか(サン・レミ聖堂内の説明によると498年)のクリスマスの日に、フランク王クローヴィスに洗礼を授けたことで知られています。サン・レミは死後、自身の希望によりサン・クリストフ教会に埋葬されましたが

          【フランス】サン・レミ聖堂

          【ドイツ】メロヴィング朝の壁

          場所:トリーア、ドイツ西部 時代:西暦640年ごろ トリーアの街は、その前身が「アウグスタ・トレヴェロルム」と呼ばれたローマ帝国の都市で、紀元前18年ごろに架けられたローマ橋とともに街の建設が始まりました。ローマ後期になっても北方属州の中では特に重要で最大の都市であり、現在でもポルタ・ニグラをはじめ、多くのローマ遺跡が残されています。トリーアは西ローマ帝国の滅亡後、5世紀の終わりごろにはガリア北方を拠点とするフランク王国の統治下に入り、多くの修道院が設立されました。その中で

          【ドイツ】メロヴィング朝の壁

          【フランス】ランスのノートルダム大聖堂

          場所:シャンパーニュ地方、マルヌ県ランス 時代:5世紀、13世紀以降再建 11世紀以来、ほとんどのフランス国王がここで戴冠式を行った場所として知られています。ジャンヌ・ダルクの活躍で国王になったシャルル7世や太陽王ルイ14世、フランス革命で処刑されたルイ16世もここで戴冠しています。第一次世界大戦でドイツ軍の爆撃により壊滅的な被害を受けましたが、戦後アメリカのロックフェラー家などの援助で修復されました。聖堂の大きさは全長約149m、鐘楼の高さは87mあり、2303体の彫像が

          【フランス】ランスのノートルダム大聖堂

          【ドイツ】ケルンのローマ市壁

          場所:ケルン市 時代:ローマ時代(1世紀末) ケルンといえば巨大な大聖堂が有名ですが、実はローマ帝国時代の史跡も市内あちこちで見ることができます。大聖堂のすぐ前(西側)にも、北門の一部だったアーチが残っています。当時は少なくとも9つの市門と、19の丸い塔を備えた長さ約4kmの市壁があったとされ、発掘調査から西暦1世紀末に建設されたと判明しています。 市壁で現在も残っている主な遺跡は、ケルン大聖堂から西の方へ延びている大通り沿いにあります。ケルンの中心部からは少し離れている

          【ドイツ】ケルンのローマ市壁

          【フランス】ローマの中空十二面体

          場所:サント・クロワ美術館、ポワティエ 時代:ローマ帝国時代(1~4世紀ごろ) この奇妙な金属製の物体(Dodecaedro Romano)は、1739年にイギリスの原野でローマコインとともに発見されてから現在までに、少なくとも120個ほどが北はイギリス、西はスペイン、東はハンガリーと、旧ローマ帝国領内の広い範囲で出土しています。特にフランスとドイツで多く見つかっているようです。それらは4cmから11cmと大きさに差があり、ほとんどは12面体でそれぞれの面に穴が開いていて、

          【フランス】ローマの中空十二面体

          【フランス】Aula Carolingienne (ドゥエ・ラ・フォンテーヌ城)

          場所:ドゥエ・ラ・フォンテーヌ (ポワティエから北北西約94km) 時代:10世紀 この城跡の発見はちょっと変わっていて、1962年から始まった地元自治体の住宅建設作業中に地中から石積みが見つかったことで工事が中止され、1966年から本格的に考古学的発掘調査が行われたことで掘り出され、地上に現れたものです。この地は地元で「モット・デ・ラ・シャペル」と呼ばれていた墳丘のように盛り上がった土地で、中世には砦が築かれていました。 この地域ではメロヴィング朝時代以来の地下採石場が多

          【フランス】Aula Carolingienne (ドゥエ・ラ・フォンテーヌ城)

          【フランス】サン・ジャン洗礼堂 (2回目)

          場所:フランス西部ポワティエ 時代:メロヴィング朝フランク王国(5~7世紀) 昨年5月14日の記事で紹介した、フランス最古のキリスト教建築物「サン・ジャン洗礼堂」ですが、年末にフランスを訪れた際、20年ぶりに再訪することができました。周囲の景色とかは全く変わっていませんでしたが、さすがに20年もの歳月を思わせるかのように、外壁が薄汚れていて古代の建物の感じを醸し出していました。 何より20年前の訪問時には建物内部の写真撮影が許可されていなかったのに、現在はフラッシュなしで

          【フランス】サン・ジャン洗礼堂 (2回目)