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売りたいネタより食べたいネタ

時刻は8:09になりましたおはようございます、プレスリリース職人の荒木です。
起きたら友人からプレスリリースについての相談LINEが来ていましたね。
寝ぼけながらぬるぬる返信していたんですが、長文になりそうなのでもうnoteで返信しようかと。4000文字ぐらい書くので森さん以外はどこかにブックマークでもして、プレスリリースを実際に書く時まで読まないほうがいいかもしれません。

前略、森さま

 ということで森さんこっちで返信する。なるほど新しい商品だすと。うまそーやん。出す前にいい感じのプレスリリースを書いて、話題になり、メディアで取り上げられて、お客さんがたくさん来たら、みたいなエロいことを考えてるわけですね、わかります。全国の広報担当者と社長がそう下心を持ちながら、プレスリリースを出してます。

 でも、我々がよく使うPRTIMESってあるじゃないですか。アレ、年間20万-30万件ぐらいのプレスリリースが流れるらしいんですね。1日800通ぐらいですか。
 もし、自分が1日1記事書くノルマで「なんかいいネタないかなー」ってバズる記事のネタを毎日探し求める記者だとしたら、この800通の中からどうやって799通を無視して森さんのプレスリリースを選ぶのか。

1.誰に読んでもらうのか?

 ネタを探す記者さんが799通無視するのに森さんのプレスリリースだけを選んで記事を書くってちょっと都合良すぎよね。でも、それがプレスリリースの目的です。プレス向けのリリース、記者さんへのお手紙なので、間違っても消費者向けの宣伝ではない。
 このままだと理論的な演説になってしまいそうなのでちょっと例え話に変えます。
 お寿司屋さんで例えると、森さんは豊洲の仲買人みたいな立場なんですね。新鮮なネタを仕入れてお寿司屋さん(記者)へ提供する。お寿司屋さん(記者)は仕入れたとびきりのネタを使って、一般消費者へ届ける。

 豊洲の仲買人さんですから、自分が売りたいネタを売るわけにはいきませんよね。
・お寿司屋さんが仕入れたくなるとびっきりのネタを用意する
・普段からお寿司屋さんと信頼を重ねておく
・自信がある時とない時とちゃんとネタの良し悪しを誠実に伝える

 などなどまずは自分が売りたいネタという考えを捨てて、お寿司屋さん(記者)のネタ仕入れに応える立場なんだ、とびっきりの新鮮なネタじゃないとプロは仕入れてくれない、という事は意識しましょう。

2.お寿司屋さん(記者)の悩みは?

 さて次。わたし、ビジネスって全部課題解決だと思うんですね。「誰の、どんな課題を、どう解決するか」。
 誰の?:記者さん
なので、まずは我々のネタを仕入れてくれるお寿司屋さん(記者)がどんなことに困っているのか想像してみましょうか。
 1日1記事ノルマの記者さんだったとしましょう。月間20記事のウェブライター。月間20本もいいネタをストックしているわけがなく、豊洲市場に仕入れにいくわけですね。
 要するに、良いネタを求めて毎日頭を悩ませているんです、記者さんは。そりゃそうでしょ。記者さんだってバズる記事、話題になる記事を書きたい。でも、そんなに都合よくいいネタ降ってこないし。

3.いいネタがないと悩む記者さんの解決方法

 今日も「やば、今日なんの記事書くかな、、」と頭を抱えている記者さんが大勢いるわけですね。とりあえず朝のニュースとか話題になってることとか全体を把握しつつ、「これだ!!」というネタを見つけて記事を書く。
 特ダネとか、独ダネ、とかが欲しいわけです。バズる記事を書きたいわけです。
 さて、そんなネタ切れの記者さんのメールボックスには、毎日100通以上のメールが届きます。プレスリリースですね。なんかいいネタ無いかねーって一応メールタイトルだけみながらザッピングします。
 ちょうど、朝一でメールフォルダに溜まったメールをみながらタイトルだけで営業メールとか迷惑メールをスルーして、ちゃんとしたメールだけを探すルーティンに似てますね。
 また、各記者さんは、自分のテーマ範囲が決まっています。例えば国際情勢を追う人もいれば、地方がテーマの記者さん、飲食店がテーマの記者さん、政治担当、不動産領域、などなど。
 そのため、自分が今話題にしたいキーワードでググって情報を調べる記者さんもいます。ググるとPRTIMESなどのプレスリリースももちろんヒットします。
・普段からいいネタを提供して信頼関係を作る
・ネタに困る記者さんにネタを提供してあげる
・メール送っても1日100通以上来るので捨てられる
・自分の領域をテーマにしている記者さんにネタを提供する
まずは、この辺が最低限ですよね。

4.プレスリリースを書く

 ということで自分の領域でネタに困っている記者さんに対して「いいネタありまっせ!」と手紙を書きましょう。

NG 消費者向けの告知や宣伝
OK ライターさん向けのネタ提供

 プレスリリースの書き方は好きに書けばいいと思います。ウケを狙ってもいいし、真面目に書いてもいいし。
 でもできれば、演説じゃなくストーリーを、宣伝じゃなくネタ提供を、自分が書きたいことじゃなく、記者さんが知りたいことを。
 日本語ちょっと変ですが、自分が書くというより記者さんが読むイメージの方が近いです。
 お寿司屋さんに「いいネタ入ったよ!」と教えてあげるやつなので書きたいことを書いちゃだめ。
 自分の書きたいことを書かないのがプレスリリースを書く人としての、最低限の1歩目だと思います。記者さん向けのラブレターに自分のことばっかりかくと振られますよね。

 書式ですが、が自分が意識している事は2つだけ。
1.一言一枚
→タイトルとメイン写真にこだわるって事です。記者さんに届くメールも最初の15文字ぐらいでスルーされますから、そこでどれだけ健全な違和感を演出してメールを開いてもらえるか勝負に。メイン写真もネットだとサムネイルで表示されますので。


2.誰のどんな課題をどう解決するか?
→世に出るプレスリリースの90%以上が、こんな3段構成で書かれてます
・プロダクト
・プロダクト
・プロダクト
テレビCMみたいなイメージすかね。3段でもなんでも無い。いかにいい商品なのか訴求する感じ。
でも、できれば深夜の通販番組みたいにストーリーで書いたほうがわかりやすいです。
・誰の
・どんな課題を
・どう解決するのか
自社の商品サービスなんて所詮何かの手段ですから、プロダクトの宣伝をするよりも、誰の、どんな課題を、どう解決するのか?書いたほうが記者さんに優しいです。


5.書いたプレスリリースを記者さんへ届ける

 ということで自分が書きたいことや、宣伝したいこと、伝えたいこと、広めたいことを「全部捨てて」、誰のどんな課題をどう解決するのか、記者さんに向けてお手紙を書いたら、記者さんに渡しましょう。
 
 2.↑↑↑でも書きましたが記者さんの悩みって記事ノルマがあるのにいいネタがないことなので、いいネタを提供すれば喜んでくれます。
 さて、いいネタってなんでしょう?まず最低限必要なのはその記者さんの担当領域かどうかですよね、グルメ情報ならグルメ情報担当の記者さんに渡しましょう。Googleのニュース検索でグルメ系の記事何個か見れば、署名記事なら記者さんの名前出てますし、あるいは媒体名ぐらいはわかりますので、スプレッドシート(エクセル)とかに、記者名、媒体名、連絡先などをリスト化していきます。
 その上で、このお寿司屋さん(記者)が取り扱った内容を全部読み漁れば欲しがっているネタがなんなのか傾向がわかるはず。
 連絡先は、媒体に「情報提供はこちら」みたいに書いてあることもあれば、Twitterなどライターさん個人で募集しているケースもあります。

 こうやって普段から記者さんとの関係性を作って、信頼を積むわけですね。お寿司屋さんは知らない店でネタ仕入れないでしょうし。腐ってるかもしれないし偽物かもしれないし。

6.プレスリリースの一斉配信はしないほうがいい

 ここまで読んで気がついたかもしれませんが、PRTIMESなどで一斉配信するのではなく、自分でコツコツ作って信頼を貯めたメディアリスト向けにプレスリリースを配信します。豊洲の仲買人さんがネタを提供する相手は、一般消費者じゃなくお寿司屋さん(記者)ですから。

 じゃあ、PRTIMESで一斉送信しないの?と思うかもしれませんが、実はきちんと広報をやる場合一斉配信しません。だって、特だねとか独だねが欲しい記者さんに対して、一斉送信で世に広く出しちゃうってアホですよね。

 地道にメディアリストを作りましょう。そして1件ずつ、いいネタがあるんですが興味ありませんか?って相手の記事ノルマを解消してあげるようなネタをススっと差し入れしてあげましょう。


最後に

 ということで森さんこんな感じ。
・自分が書きたいことを書く→記者さんが読みたいことを書く
・自分が伝えたいことを書く→記者さんが知りたいことを書く
・商品サービスの宣伝→誰のどんな課題をどう解決するのか
・PRTIMESで一斉送信→メディアリスト作って1件ずつネタ提供

↑このプレスリリースとかいろんなところで拡散されて取材もたくさん来たしPRTIMESプレスリリースアワード2021という賞までもらったやつ。プレスリリースだけで20万PV、ここから記事とかニュースとか考えるとすんごい宣伝効果に繋がった。
ちなみに、1つだけマウント取っておくとプレスリリースの1記事20PVという数字これプレスリリース職人の戦闘力なので、プレスリリース講座とかやってる人いたら聞いてみるといいっす。「プレスリリースが当たるとどれぐらいみられるんですか?って」

え?PRTIMES使ってるやん?って?
そうなの。理想はさ、普段から信頼関係を構築した20人ぐらいの記者さんたちをリスト化して彼らにネタ提供なんだけど、わたし広報でもなんでもないしそれだけに時間を使うわけにもいかないし。

なので、その辺の理想と現実はともかくとして、気持ちは記者さん1人1人にネタ提供してる気持ち(で一斉配信する)

まあ、アレよ。これでもわからなかったらわいのお師匠↓さんに相談して


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