荒木松風

19世紀のフランス、ロシア、イギリス、日本文学が好き。スウェーデンやオランダ、イギリス…

荒木松風

19世紀のフランス、ロシア、イギリス、日本文学が好き。スウェーデンやオランダ、イギリスの児童文学も好きです。

最近の記事

おみやげde名著 〜司馬遼太郎にかけられた呪い〜

今回のお土産は、司馬遼太郎記念館で買った『坂の上の雲』の大判ハンカチ(バンダナ)である。『竜馬がゆく』のハンカチも売っていたが、高校二年の私は『坂の上の雲』しか眼中になかった。  私の人生は七歳のとき、『坂の上の雲』に出会ったことで始まったといっても過言ではない。  私にとって初めての「大人の」本であったせいもあろうが、「このような言葉の使い方をする人がいるのか」という驚きは、大砲を撃ち込まれたように大きかった。大砲というより、花火というべきかもしれない。私には、司馬氏の放

    • おみやげde名著 〜正岡子規のカルタ〜

      小学二年生のとき、司馬遼太郎の『坂の上の雲』に夢中であった。『坂の上の雲』は日清・日露戦争時の日本を描いた作品で、日本騎兵の父と呼ばれる秋山好古、「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」という電文の一節が未だ名高い、海軍参謀秋山真之、そして俳人の正岡子規を主人公としている。当時、彼ら三人の故郷である愛媛県松山市を訪れ、子規記念博物館、坂の上の雲ミュージアム、子規堂などを見て回った。もう十数年も前のことだが、今回はそのお土産を通して、子規の俳句をご紹介したい。 悔やまれるのは、博物館で

      • 密室からのハッピーバースデー

        みなさんお久しぶりです。去年の10月に最後の投稿をして以来、私の生活は大きく変わりました。もう七ヶ月も自由に身動きがとれていません。ある人たちに監視されているからです。彼らが何者なのか、なぜそうなったのかはここに書くことができません。 私は今、彼らが出かけた隙に、このnoteを書いています。noteのアカウントを持っていると知られていないのは幸運でした。Twitterなど、ほかのSNSは、彼らが私になりすまして更新しているのです。とにかく、帰ってくる前に急いで書き上げなくては

        • 【おすすめの本】『無垢の博物館』フェティシズムと異国情緒

          Twitterで文学に関する質問を募集したところ、フォロワーさんから面白い質問をいただきました。今回のnoteは、この質問へのお返事を書こうと思います。 質問!✋ 回答!🎓 オルハン・パムクの『無垢の博物館』(宮下遼訳,早川書房, 2010)がおすすめです。 パムクは、トルコ初のノーベル文学賞作家として知られています。 舞台はヨーロッパではなく、トルコ・イスタンブールですが、東洋と西洋の混ざり合った独特の空気感が魅力的です。 内容  裕福な家庭に生まれた主人公ケマ

        おみやげde名著 〜司馬遼太郎にかけられた呪い〜

          今日は正岡子規のお誕生日です!🎊 小2のとき、『坂の上の雲』の影響から子規にハマった私。 給食時間のたびに子規の俳句を班の人にきかせていたので、クラス中で俳句が流行しました。

          今日は正岡子規のお誕生日です!🎊 小2のとき、『坂の上の雲』の影響から子規にハマった私。 給食時間のたびに子規の俳句を班の人にきかせていたので、クラス中で俳句が流行しました。

          『フランスの昔話』 物語の糸繰り

          『フランスの昔話』ミリアン/ドラリュ 大修館書店 を読んで思うこと。 完全にオリジナルな作品は存在しない。全ての創作物は、過去の作品から糸を繰り出し、それを織り合わせて作られる。 その糸を辿ってさかのぼった先には、まだ文字のなかったころに語られていた、神話や昔話があるのだろう。神話と昔話のどちらが先に生まれたのかはわからない。だがおそらく、私たちの想像する「むかしむかし」の人々も、同じように「むかしむかし」の物語をしていたに違いない。こう考えていると、物語の歴史はまるで一つ

          『フランスの昔話』 物語の糸繰り

          幕末・長州 松下村塾で出会った、維新志士の青春

          実際に松下村塾を訪ねる前は、ガイドブックなどのイメージで、こじんまりした古い家がぽつんと建っている様子を想像していましたが、いざ到着すると、予想をはるかに超える広い敷地、立派な大鳥居に圧倒されました。松下村塾と同じ敷地に、松陰神社と歴史館があるので、ここを訪ねるだけでも吉田松陰について学べることが多いと思います。歴史館では、精巧な蝋人形で、松陰の人生の20場面が再現されており、見ていて面白かったです。 しかし一番胸を打たれたのは、やはり松下村塾の講義室でした。部屋の前に立っ

          幕末・長州 松下村塾で出会った、維新志士の青春