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H3ロケット打ち上げ大成功

今日、2024年2月17日午前9時22分55秒、H3ロケット試験機2号機が種子島宇宙センターの発射台からゆっくりと浮き上がり、轟音と共に空高く上っていった。ロケットはどんどん加速し、すぐに小さくなっていく。

固体ロケットブースター分離、衛星フェアリング分離、第1段エンジン燃焼停止、第1段・第2段分離と、時間経過と共にロケットの運用は着実に進んでいく。打ち上げから5分15秒後、第2段エンジンが点火された。1号機では、ここでエンジンが点火せずに失敗に終わったポイントだ。2号機ではここもしっかりとクリアした。このタイミングで、管制室からも「よっしゃ」という声が上がった。

その後も、H3ロケットは順調に飛行した。そして、打ち上げから16分43秒後、相乗り副衛星の1つであるCE-SAT-1Eが分離され、軌道投入された。管制室では岡田匡史プロジェクトマネージャーらが立ち上がり、抱き合ったり、握手をしたりして、喜びを分かちあっていた。運用はさらに続き、2機目の副衛星TIRSATの軌道投入、ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)の分離なども無事におこなわれ、2号機の飛行は大成功となり幕を閉じた。

振り返れば、1年前の今日、つまり2023年2月17日に試験機1号機は打ち上げ直前、予定時刻から1秒切った段階で運用停止となった。そこからちょうど1年。1号機の失敗を乗り越えて、2号機の打ち上げを成功させた。

運用を終えての記者会見では、JAXAの山川宏理事長も、岡田プロマネも晴れやかな表情だった。それはそうだろう。正式にプロジェクトとして移行した2014年以来、10年の月日をかけてようやく日本の新型機関ロケットH3の開発に成功したのだ。今回の開発は第1段のLE-9エンジンを新たに開発するという挑戦的なものだった。そのため、開発は予定通り進まず、2021年に打ち上げ予定だった計画が2年遅れた。

2023年3月7日にようやくこぎつけた試験機1号機の打ち上げでは、ロケットが大空に勢いよく飛び上がり、成功したように見えた。実際、心配されていた第1段のLE-9エンジンはしっかりと役目を果たし、燃焼終了まで稼働した。このとき異常が起きたのは第2段のLE-5B-3エンジンだった。このエンジンは、HII-A、H-IIBの第2段エンジンとして実績のあったLE-5B-2を改良したもので、まさかこのエンジンで異常が起きるとは、関係者も思わなかっただろう。

原因究明は簡単ではなかったが、3つまで絞り込んで対策を取り、1年で2号機の打ち上げを成功させた。すばらしい。すばらしいが、本番はここからだ。1号機の失敗で先進光学衛星「だいち3号」を失ってしまった反省から、2号機ではダミーウェイトとなるVEP-4を打ち上げた。小型衛星2機の投入には成功したものの、H3ロケットで打ち上げることを前提にした大型の衛星や探査機の輸送はこれからだ。3号機以降の打ち上げをしっかりと着実に重ねていくことがH3ロケットに課せられている。宇宙ビジネスにしっかり食い込んでいくつもりだったら、打ち上げ頻度も上げて欲しいところだ。

H3ロケットが世界からも注目され、日本だけでなく世界の宇宙ビジネスでも重要なロケットになっていって欲しい。

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