「少し、疲れてしまいましたね」

注)適当に記憶のまま書いてるので細部は違うかもしれません。

ヴァイオレットエヴァーガーデン

ヴァイオレットエヴァーガーテンというアニメをご存じだろうか。
京アニ作品で、元少年兵が代筆屋として働きながら人の心に触れる、というようなストーリーになっている。
「少し疲れてしまいましたね」は私にとって衝撃的だったのでよく覚えている。

劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝

「ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝」が劇場で公開されていたころ、なんとなく気になってふらっと観に行った。
アニメシリーズがやっていた事もなんとなく知っていたが、観てはいない。いわゆる「ミリしら」状態で映画館で初めて外伝を観たことになる。

話はよくわからなかったが、金髪のやたらかわいい子が出てきて、貴族女子の教育係になっている。「ヴァイオレットエヴァーガーデン」が個人名であることも、途中からなんとなくわかった。この金髪の子がそうなのか。
綺麗な絵と流暢な動きで、ふむふむ、流石京アニだなと思いながら観ていた。
貴族女子は礼儀作法やダンスがうまくできず、しかしヴァイオレットは楽々とこなしてしまう。居残り練習に付き合うヴァイオレット。
なにもうまくいかず、フラストレーションが溜まった貴族女子は声を荒げる。
「君はいいよね、何でもできて!私には何もない…」
ヴァイオレットは少しの沈黙の後、そっと包み込みながら言う。
「少し、疲れてしまいましたね。」

なんたる深い優しさかと感動した。
この流れでこの台詞が出てくることが素晴らしいと思った。
自分だったら、ここまでの台本を読んで100通りの返答を考えろと言われても出てこない。
とても良い映画だった。

帰ってから、すぐにテレビシリーズ版を観た。Blue-rayを全部買った。
Blue-rayを買ったが、Netflixで観た。待てなかったからだ。
なるほど、これは面白い。
良いアニメだ。

テレビシリーズを観ていくと、さきほどの外伝のシーンはまた違った側面を持っていたことに気づく。
ヴァイオレットは何も持ってない側の人間だったのだ。
「少し、疲れてしまいましたね」の前の少しの沈黙は、目の前の苦しみと自分の苦しみを重ねている間だったのか。
深い味わいがある。

幸い、劇場に行けばまた観れた。
このシーンは何度見ても良い。初見では衝撃的だったが、涙はでなかった。
今度は私にも涙を流す余裕があったみたいだ。

「君はいいよね、何でもできて!私には何もない…」
ヴァイオレットは、自分のこれまでの苦しみと、目の前にある苦しみを、全て飲み込んだ。
「少し、疲れてしまいましたね」


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