パトリック・マーフィー獲得の話

(日本時間)11月22日の深夜、アメリカの有名記者ロバート・マレーが「北海道日本ハムファイターズがパトリック・マーフィーと契約合意に達した」と投稿をしたが、12月4日になってようやく球団から正式リリースされた。

マーフィーは20年にMLBデビューを果たして翌21年はトロント・ブルージェイズワシントン・ナショナルズで合計25登板したものの、MLB定着とはならず通算35登板止まり。今季は年間通してミネソタ・ツインズ傘下3Aでプレーしている28歳の右腕である。

日本の報道によると年俸は1億2000万円+出来高で、背番号は31番に決まったとの事。マレーによると25年シーズンのオプション(チームが希望すれば25年も契約延長される)も付いている様だ。


▶ スペック

マイナーのスタットキャストデータを見てみると、今季のマーフィーはフォーシーム・シンカー・カーブの3球種をほぼ均等(約33%ずつ)に投げている。

平均球速はフォーシームが153.7キロ・シンカーが154.3キロとかなり速い。カーブでも133.9キロ出ており、NPB的なスローカーブではなくいわゆるパワーカーブだ。

その上、真上から投げ下ろす様な投球フォームが特徴的な196cm/95kgの長身右腕で、エクステンションが優秀(日本でいう球持ちが良い)なので打者からすれば数字以上に速く感じる事だろう。

気になるのは非常に割合は少ないものの今季になってカットボールを増やしている事と、まとめてシンカー判定されているもののおそらくチェンジアップを投げている事だ。

リリーフであればフォーシーム/シンカーの速球系とパワーカーブだけでも構わないが、まずは先発候補として考えているなら更に2球種有るのと無いのとでは大違いである。中でもカギになるのはチェンジアップだろう。


▶ 今季3A成績

[登    板] 42
[投球回] 85.1
[被安打] 83
[奪三振] 97
[与四球] 50
[被HR] 7
[失    点] 39
[防御率] 3.69

MLBでの通算35登板は全てリリーフとしての起用だが、マイナーでは先発としても起用されている。今季は8月12日に今季初先発すると、その後は閉幕まで8登板全てで4.0回以上(最長5.0回)を投げた。

あちこちで言われている通り、K/9 10.23と優れた奪三振能力を有している一方でBB/9 5.27と制球に明らかな課題がある…が、球が速くて三振が奪えて四球が少ない投手はそもそもNPBに来ないので仕方ない。

ただ、ストライクゾーンに投げ込む割合を示すZone%を見ると、彼のMLB通算は51.8%でこれは平均(48.6%)を上回っている。コマンドは悪いがコントロールは纏まっているタイプだろうか。 ※マイナーの数字がなかったのでMLBの成績を参照した

それにシンカーとパワーカーブという球種でも分かる通り、キャリアを通じてゴロが多い投手というのも魅力だ。ゴロとフライの割合を示すGB/FBはMLB通算では2.00・今季3Aでも1.85を記録しており、バレルゾーンの打球をなかなか許さない。


▶ トータル

某韓国メディアにここ数日(助っ人関連で)かき乱されたものの…何はともあれ伊藤大海加藤貴之山﨑福也に続くローテ候補を補強する事が出来た。上原健太とマーフィーを4-5番手に置けるのは贔屓目無しでも悪くない布陣だろう。

希望的観測だがあと1人は先発の新助っ人を獲得するだろうし、仮になくても残り1枠を一軍でアピールした若い金村尚真根本悠楓北山亘基や、先発・中継ぎ両睨みの鈴木健矢北浦竜次が争う形だ。

先日トレードでオリックスから獲得した黒木優太といい、ここまでの動きを見るに今オフの日本ハムは意識してゴロを打たせる投手を獲得していると感じる。

エスコンフィールドHOKKAIDOは今季のパークファクターこそやや打低寄りだったものの、あのサイズならやはりフライを打たれるのは恐いからだろう。このオフに内野の天然芝を削って守りやすくする事も無関係ではないはずだ。

アウトの多くを三振とゴロで稼いでいるマーフィーは間違いなくフィットする。先発なら20-21年に在籍したドリュー・バーヘイゲンくらい、もしリリーフに回る事になっても昨季のジェイコブ・ワゲスパック(オリックス)くらいの投手にはなれると見ている。

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