2年連続FA補強?の話

楽天の茂木栄五郎が国内FA権を行使する可能性がある様だ。早稲田大在籍時の15年にドラフト3巡目で楽天に指名され、8シーズンで一軍通算735試合に出場している29歳(2月で30歳)である。

SNSで「茂木が一軍に呼ばれない」という話は小耳に挟んでいたのでそれほど驚きは無かったものの…問題はニッカンスポーツのこの部分だ。

権利を行使した場合には、かねて茂木を評価してきた日本ハムが獲得調査に乗り出す可能性が高い。

どうやら04年オフの稲葉篤紀、17年オフの鶴岡慎也、そして昨オフの伏見寅威に続き、茂木がチーム4人目のFA戦士になるかもしれない様だ。


茂木は簡単に言えば「3B守備が上手く打席でのアプローチが良い左打者」だ。今季は一軍で8試合/15打席しか立っていないものの、二軍では打率.297/出塁率.384/長打率.426と決して悪くない。

一軍で73試合に出場した昨季にしても例年よりBABIPが低かった影響か打率.223と苦しんだものの、四球を選べて長打もそこそこ打てるおかげでOPS.700付近まで持ってきている。

今季日本ハムで100打席以上立ってOPS.650を超えた選手は7人いたが、左打者は清宮幸太郎(.734)だけ。その次にOPSが高いのは加藤豪将(.614)という惨状だ。

現在のチームには中軸候補こそ複数人いるものの、1番打者候補は今季不調だった松本剛(.665)くらいしか居ない。チームに少ない左打者であり、出塁率が高くそこそこ計算出来る茂木が加わるのは大きいだろう。

一方の守備ではプロ入りと同時にSSへコンバートされたが、19年から徐々にアマ時代に本職だった3Bの割合が増えて21年からはほぼ専念。守備指標UZRでは21年が858.0回で+18.2・22年も僅か529.1回で+3.9と優秀な数字を残している。

「1B清宮 3B茂木」なら内野守備は今季から大きなアップグレードになる。野村佑希をLFで起用しつつも(故障がちなので)茂木の休養時に3Bを守って貰えば将来にもさほど影響はないだろう。


個人的には「本当に茂木が市場に出るのなら獲得に乗り出すべきだ」と思う。

23年のパリーグは皆さんご存知の通り“極端な投高打低”だった。投手が打席に入るセですらリーグ平均OPSは.668なのに、パは.664とそれを下回っている異常事態である。

残念ながら日本ハムのチームOPSはリーグ平均よりも更に低く.641。若い大砲候補や優良助っ人のマルティネスがラインナップに並んでいるので何となく良さげに見えるが、「若手の成長に期待」などと悠長な事を言っている状況ではない。

とはいえ、ドラフトやトレードで来季いきなり一軍レベルで打てる打者を狙って獲得出来るとは思えない。助っ人野手も獲得するだろうが、最近はどのチームも大当たりを引けていないのでこちらも過度な期待は禁物だ。

21年にあれだけコンプラ問題で騒がれて新庄剛志監督に縋ったチームが(仮にFA宣言しても)中田翔山川穂高を獲る事はないだろうし、実際のところ即効性のある野手補強は茂木くらいしか選択肢が無いはず。


どうやら推定年俸だと楽天の日本人選手で10番目になるのでギリギリ補償が必要なBランクになる様だが、プロテクトリストを考えると痛い選手もいるがそれでも行くだけの価値はある。

来年30歳の茂木が5年プレーした時に稼ぐであろうWARを、ひとまず個人名は避けるがリストから漏れるレベルのリリーバーや若手が上回るのはかなりハードルが高い。そこは割り切って良いと思う。

それに、このBランクというのもあくまで“推定年俸”での話だ。11位とされる2選手とは400万円しか差がないので「実はCランクでした」という可能性もあるだろう。

まだ何も決まっていないし情報も足りないのでしばらくは静観するしかないが、茂木栄五郎と縁がある事を祈ろう。ストーブリーグに向けて楽しみが増えた。


«参考資料»


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