2つの市場

思うに
2つの異なる市場が存在するのではないかと
正社員を中心としたメンバーシップ型雇用と
その外部労働市場となる派遣と
両者は
それを構成する論理も賃金体系も違う

私が社会に出た頃
派遣のはしりと思われた頃
職種もスキルも細分化されてはいなかった
働いている彼女らは
自分のしている仕事が営業事務か一般事務か、はたまた庶務かなんて考えてなかったと思うのですよ
社内にもそういう区分けはなく
外部労働市場の勃興によりそれらは生まれてきたのではなかったかと

その職種や業界の経験がない人たちが
「案件」として並列にそれらを扱うようになって
「相場」ができ、「仕事」はバラバラの、入れ替え可能のものとなった……

こないだ来た話、
「原価計算の経験はありませんか?」「資金繰りは?」
あのさぁ、原価計算なんて、製造業のキモでしょうが!
そんな企業秘密バリバリの仕事は、プロパー若手男性正社員にしかやらせませんって
んで資金繰り
これは部課長レベルの仕事でしょ?
そういう想像もつかない連中が、右から左へと仕事を扱っている構造が腹立たしい

で、この2つの市場の違いを意識してなかった私は
久し振りに就いた正社員の仕事において
専門職としての経験・スキルをもって入った私と
そうでない人のスタートが一緒なのはおかしい!
はたまた
仮にも専門職の私と、一般事務レベルで四則計算もロクにできない彼女の給料が一緒なのはなぜなのか?
と疑問を抱いてしまったわけですよ
(後者については、果たして納得できるか否か
皆さんにアンケートを取ってみたいと思う……)

別な例を挙げると
前職(派遣)で付き合いのあった人から、仕事紹介してもらえるかも的話の流れになって
つきましては履歴書なんかを……言われて、ハタと気づいたのですよ
その書類が、恐ろしいほど個人情報てんこもりであること
そして、それを知らせなくても、「仕事」をする分には全く問題がなかったということ

つまり、社員の選考基準は、仕事ができるかどうかではない
メンバーシップ型雇用だからこそ「人柄」が重視され、趣味だの何だの、自分をさらけ出す必要がある
ってことですよ

職種が選べる「派遣」という制度を利用して
次善の策としてせめて専門性を磨いてきたのだけれど
その能力・スキルがいつまでも認められない理由は、メンバーシップ型雇用という社会構造にあったっていう話になると
さてどうすればいいのかとホント頭抱える
(「認められない」≒派遣の賃金の話は、また後日)