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フリーランス新法で求められる義務と禁止事項とは?知っておきたいポイント

導入

コロナ以降、多様な働き方が推進されてきて、フリーランスという働き方が注目を浴びている一方で、法整備が追いつかない状態が続き、フリーランスの立場の弱さが問題視されました。その証拠に、政府もフリーランスの実態調査を進め、2021年には結果をまとめた『フリーランス実態調査』が公表されています。

政府が取引適正化を目指し、ついに4月28日の参議院本会議で、フリーランス新法案(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案)が全会一致で可決され、法律が成立しました。

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案の概要

1-1.特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(内閣官房HP)

概要

https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf

条文

https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou3.pdf

趣旨としては、フリーランスの取引適正化と就業環境整備のための法律です。

働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とし、特定業務委託事業者(発注事業者)及び特定受託事業者(フリーランス)の取引について、特定業務委託事業者において、書面等での契約内容の明示、報酬の60日以内の支払い、募集情報の的確な表示、ハラスメント対策等の措置を講じることとされています。

対象者

まずここではフリーランスの定義がされていると思ってください。

従業員を雇わず1人で仕事をしている事業者は特定受託事業者(フリーランス)、他者を継続的に雇って仕事をしている事業者は特定委託事業者です。前者は副業されている方も対象となります。後者に関しては法人であっても個人事業主であっても関係ありません。ただし、繁忙期にヘルプでアシスタントを雇うなど、社会保険の適用対象とならないような短時間・短期間の一時的雇用であれば、特定受託事業者(フリーランス)とみなされます。なお、自らが発注者として業務委託(再委託)の実態が認められる場合、仲介事業者であっても規制対象となります。

この法律の対象は、そのフリーランス(特定受託事業者)の取引のみです。発注者である企業(特定委託事業者)に対してさまざまな義務や禁止行為を課す内容の法律となっています。

内容

新法案の主な内容は以下の通りです:

  1. 契約内容の明示: 発注者はフリーランスへの契約内容を明示する義務があります。メールなどの書面でも構いません。この契約条件の明示は、フリーランス同士の取引でも必要です。

  2. 報酬の支払い期限: 発注者はフリーランスへの報酬支払い期限を設ける必要があります。報酬支払期日は60日以内、再委託の場合は30日以内とされています。

  3. 禁止行為の定め: 特定受託事業者(フリーランス)との取引において、無理な理由で受領を拒否したり、報酬を減らしたり、商品を返品したりすることは禁止されます。また、特定受託事業者の利益を不当に害する行為も禁止されています。

  4. その他の措置: フリーランスへの募集情報提供時の正確性や最新性の確保、育児や介護を両立するフリーランスへの配慮、ハラスメント相談窓口の周知など、さまざまな措置が求められます。

この新法案では、当事者間の交渉では解決できないケースや悪質性の高いケースに対しては公正取引委員会や中小企業庁などが介入し、必要な助言や指導、報告徴収・立ち入り検査、勧告、公表、命令などの措置が行われることもあります。

フリーランス新法案は、フリーランスの取引環境を改善し、適正な取引を促進するために導入されました。これにより、フリーランスの立場が強化され、より安定的かつ公正な取引が実現されることが期待されます。

まとめ

フリーランス新法案は2023年春の通常国会に提出され、衆議院と参議院での審議を経て、2023年4月28日に成立しました。ただし、具体的な施行日はまだ定められていません。しかし、早い段階では2023年中に施行される見込みであり、最悪の場合でも2024年までには施行される見通しです。フリーランスの方々は今後の動向に注意を払い、最新情報を確認する必要があります。

フリーランス新法の成立により、フリーランスの取引適正化と就業環境整備が目指されています。また、ハラスメント対策や育児・介護との両立支援も促進される予定です。

フリーランスの方々は、フリーランス新法の施行に向けて注目し、法律の遵守や自身の権利を守るために適切な対策を講じる必要があります。今後の法律の動向や施行日の発表にもしっかりとチェックをし、自身のビジネスに適切に反映させていきましょう。フリーランス新法の施行により、より公正な取引環境が整備され、フリーランスの方々の活躍がさらに支援されることを期待しましょう。


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