アポロ計画

カルチャー雑誌への就職まで1日1記事書き続ける大学生

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最近の記事

後藤正文という人間

 ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下アジカン)のフロントマンである後藤正文は安倍、菅、東京五輪などの政治批判で様々な炎上を繰り返している。私は彼自体の音楽は好きなので、正直「勿体無いな」、「言わなければ良いのに」という気持ちだった。  友達に誘われ、アジカンのライブに行ったのだが、曲を繋ぐいくつかのMCで気づきがあった。彼は「手を挙げているから盛り上っているとも思わないから、自由に踊ってくれていいよ」、「世界にはいろんな音楽があっていろんな良さがある」とい

    • くるり 『感覚は道標』 

       くしゃみから始まるくるりの最新作『感覚は道標』をレビューしていく。出だしからかなりロック色を強く感じた。サウンド面だけでなく岸田さんの発生、歌い上げにも現れているからだろう。  1曲目は「happy turn」。happy turnはあの亀田製菓のハッピーターンのことで並べて炭酸飲料のドクターペッパーも登場する。続いてジョージクルーニーがネームドロップされ、やはりアメリカが感じられ、個人的にはユーモラスな歌詞が好きだった。  2曲目は「i'm really sleepy」

      • 羊文学の強い覚悟

         2023年9月14日、羊文学のライブへ出掛けた。全国10ヵ所、全12公演を周るワンマンツアーでツアータイトルは羊文学 Tour 2023 “if i were an angel,”。Zepp Nambaに向かった。  オープニングは緞帳が開かぬまま、影の姿で「エンディング」。緞帳にはアメーバのような幻想的な美術映像が映し出され、人の顔になったり崩れたりが繰り返され、初っ端から陶酔感に浸らされた。緞帳が開くと塩塚モエカの笑顔が見え、思わず恋をしてしまいそうになる程引き込まれ

        •  新感覚ユートピアスリラームービー 『Don't Worry Darling』

          ⓪まえがき  私は小学生の頃からワンダイレクションが好きで、そのメンバーのハリースタイルズが『ダンケルク』、『僕の巡査』に次いで『Don't Worry Darling』に出演した映画を早速観てきたので感想を書いていきたい。  この映画はオリヴィア・ワイルドの監督作品の2作目である。一作目はというと、『ブックスマート〜卒業前夜のパーティーデビュー〜』という青春コメディで登場する二人の友情物語といった内容であったため、ホラー/スリラーの映画と聞いて彼女の振り幅に驚くと共に、ど

        後藤正文という人間

          心を育んでくれた羊文学 〜マヨイガ〜

           羊文学のマヨイガ。この曲は『岬のマヨイガ』というは柏葉幸子の児童文学をアニメーション化した東日本大震災後の岩手県の狐崎を舞台にし、東北の伝承を織り交ぜた日常ファンタジー映画の主題歌である。映画は児童文学がもとになっているのもあって、とてもわかりやすいものになっていたが、何より主題歌がとても良いと感じた。双方の作品の深みが出る、素晴らしいタイアップである。この曲へボーカルの塩塚モエカさんは映画で身寄りのなかったユイとひよりの幸せを願う気持ちで作曲されたそうだ。  この曲で私

          心を育んでくれた羊文学 〜マヨイガ〜

          『僕の巡査』から知る性の酷くやるせない歴史

           私は小学生の頃からワンダイレクションが好きで、そのメンバーのハリースタイルズがAmazonオリジナル映画、『僕の巡査』(原題:My Policeman)で主演を果たしたとのことで早速観たので感想を書いていきたい。  映画は1950年代と1990年代を交互にストーリーが進行するのだが、1950年代は同性愛行為は犯罪で、逮捕される時代であり、1990年代には同性愛は合法化されているとい「性の認識」の時代による移り変わりがうかがえた。現代、LGBTQをカミングアウトする人は増え

          『僕の巡査』から知る性の酷くやるせない歴史

          『すずめの戸締まり』の新しいSF観

           今日、先日公開されたばかりの新海誠監督の「すずめの戸締まりを」みた。結論言うと深海監督の過去作品と並べても最高傑作だと感じた。私はそもそもアニメや漫画が得意ではなく、現実離れしたストーリーには冷めてしまうタイプなのだが、そんなものを取っ払うほど素晴らしかった。  この映画では「地震」をトリガーに物語が進んでいくのだが、劇中に出てくる「地震」の解釈がとても面白いと思った。地震とは地球の地下に潜むミミズが地上に出てきて、倒れることによって起こり、それを防いでいるのが「閉じ師」

          『すずめの戸締まり』の新しいSF観