オフシーズンの旅しかしたくない。のんびり巡る北海道ひとり旅
飛行機でどこか遠くへ行くのがすきだ。節約するために、オフシーズン限定で。
岐阜駅からセントレア(中部国際空港)までは、名鉄特急で片道1時間ちょっと。全国の主要空港に限って言えば、おそらくどこであっても、家を出て目的地の空港に降り立つまで、半日もかからないと思う。これは岐阜に住んでいて、数少ない自慢できることのひとつ。
3月末、何気なくフライト価格を見ているとpeachのタイムセールが始まっている。「よし、4月に遠くへ行こう」と思い立った。数日間置いて安い日程をリサーチしたうえで、目的地は北海道に決めた。
朝7時発の早朝便、帰りは21時近くの便で、片道8000円ほど。1泊の予定だったけど、後に始発ではどうも間に合わないことが分かり、セントレアのカプセルで前泊した。(見切り発車あるある)
さあ、4年ぶりの北海道。行きたいところリストが山のように増えている。でもやっぱり、定番のお店にも行きたい。行きたいお店、名物、交通手段などを、パズルのようにプランを考えていく工程が本当に楽しい。
最初は目的地を絞ってバス移動を考えていたけれど、駅から離れるほど難易度が高い。数時間だけレンタカーを借りることにして、前日に予約した。
1日目
北広島にある「ニコニコレンタカー」へ。JR北広島駅から坂を降りて歩いて行くと「エスコンフィールド」が少し見える。レンタカー代は、12時間3300円と破格だった。
①EBRI(エブリ)
「EBRI(エブリ)」は、「赤レンガのまち」として知られる江別市のレンガ工場の建物をリノベーションした商業施設。外観もかわいい!青空に趣のある赤レンガが映える。
江別のパン屋さん「flamme!(フラム)」が出店していると分かり目的地に選んだ。スパイスの効いたシナモンロールをブランチにいただく。
②ぱん屋ニレカゼ
EBRI(エブリ)から歩いて行ける距離にある、小さなパン屋さん。住宅街にぽつんと佇む、地元の人からも愛されているお店だ。「ニレカゼ」ってどういう意味なんだろう。
素朴なパンたちがたくさん並んでいる光景がたまらない。とはいえたくさんは買えないので、日持ちしそうなハードパンとスコーンを購入。
雪国ならではの街の雰囲気を感じながら歩く。家屋の造りや道路も何もかもが独特で、散歩するだけで楽しい。
③三好焼菓子店
由仁町というのどかな地域に佇む、ずっと行きたかった憧れの焼菓子店。たどり着くまでひたすら農道を走るような、北海道らしいドライブも楽しかった。
あれこれ買いたくなる気持ちをぐっと抑えて、フィナンシェやクッキー、フロランタンを購入。こだわりの詰まったお菓子たちにようやく出会えて嬉しい。これでしばらくは旅の余韻に浸れそう...。
④喫茶ファミリー
長沼町にあるカフェ。季節を感じられるスイーツがずっと食べてみたくて。
入り口にある花や、机のチューリップなど、春を彩る植物に癒される。SNSでしか見たことのない、遠く離れた地のお店に自分がいる。不思議な感覚で夢の中にいるような時間だった。
ドライブの時から感じていたけど、平日の田舎はまるで世界が眠ったように静かな時間が流れている。
店内もほどよい静寂に包まれていて。ゆっくりとコーヒーを飲んで、何を考えるわけでもなく心からぼーっとするだけの時間。なかなか簡単には来れない場所で過ごす時間も、かけがえのないものだ。
と、ここまででレンタカーは終了。札幌駅へ向かう。
⑤LAMP LIGHT BOOKS CAFE HOTEL札幌
宿泊者限定で24時間、4000冊の本が自由に読めるホテル。札幌駅から20分くらい歩くけど、狸小路商店街のすぐ近くにあるので分かりやすい。
看板に「MORIHIKO」いう文字を発見!併設しているカフェで森彦のコーヒーとお菓子が食べられるとは。
本を読むためのライトもあり、清潔感もあってオシャレなお部屋。飲み物をオーダーすればカフェで作業もできる。これで1泊4600円はコスパ抜群で大満足。
夜は「一夜干しと海鮮丼できたて屋」にて、ようやく北海道らしいものを。(そもそもカフェ巡りと観光って相性良くないよね。)焼き魚のメニューが豊富で、翌日も行こうか本気で迷うほどおいしかった。
2日目
朝は前日に買ったパンと、一階のカフェでコーヒーをテイクアウト。ギリギリまでホテルの部屋で仕事をする。
まず向かったのは、円山エリア。片道40分くらい、途中スーパーに寄り道したりしながら歩いて向かう。
円山公園。暦の上では同じ「春」のはずだけど、わたしの地元のそれとは違う空気が流れている。岐阜では葉桜に変わりかけているけど、こちらの桜はまだ蕾状態といったところ。
冬でもないし春でもない、北海道にしかない体感温度というか。沖縄の「夏」にも同じことを感じたんだっけ。
遠くへ来れば来るほど、普段の日常とは異なるものに出会う機会も多い。その度に普段は眠っているようなセンサーが働いて、好奇心がかきたてられる。
さて、目的地のスープカレーは臨時休業だった。スープカレーの口になっていたのでショック...。またの機会にリベンジしたい。
時間がないので切り替えて、候補から漏れていたお店へ。
⑥回転寿司 トリトン
北海道の定番「回転寿司 トリトン」。
数時間待ちなのでは...と恐る恐る向かうと、お昼どきにも関わらず9番目。15分くらいですぐに案内された。これだからオフシーズンの平日って最高。
新鮮なお寿司は何を食べてもおいしい。日本に北海道があってよかった。
⑦森彦
円山エリアに来たからには、本店に行かないわけにはいかない...!周りの雰囲気と大きく切り離された、ジブリに出てくるような佇まいは貫禄すら感じる。
タイミングもばっちりで、待つことなくスムーズに入店。
ちょうど始まったばかりの季節のコーヒー「FLEUR2024」は、春の陽気を思わせる中煎りブレンドとのこと。北海道の春は少しずつ始まっている。
⑧喫茶カルメル堂
おひとり様専用の喫茶店。再訪したのは、以前来たときにテイクアウトしたどら焼きが忘れられなかったから。
ふわふわの泡が漂うカフェオレと、桜のどら焼き。しっとりとした生地と桜の風味を感じる白あん。甘さがしつこくなく、最後の一口までおいしくいただけた。
お店の本棚でこのおやつにぴったりな本を見つけた。
短編集は読み進めやすくて、カフェのお供にぴったりだと思う。訪れた一人一人が自分だけの時間を過ごしていて、ひさしぶりに読書が捗った。
帰りはバスに乗って新千歳空港へ。なるべく早く電車に乗るため、復路も手荷物は預けない主義。peachの機内持ち込みは7kgまでなので、ほとんどお土産は買わなかった。
普段だったら会社へ行き、仕事をしているはずの時間に、遠く離れた場所にいるということ。罪悪感というか、日常と異なる違和感というか。海を超えてはるばる遠くへきたからこそ、味わえる感情があると思う。
北海道らしいことの多くはできなかったけど、また次の機会の楽しみにすればいい。気負うことなく、ゆるく楽しむ自分だけの旅。
さあ、次はどこに行こうかな。
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