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生地加工・加工剤の教科書

加工材料についてまとめていきます。
染色・加工の記事の大部分が消えてしまったので、記事を細かく分けて作成していくことにします。

下記のように加工剤の種類はいろいろあるので、全部まとめていこうと思っています。
・帯電防止剤
・吸収剤
・紫外線吸収剤
・難燃剤
・柔軟剤
・防汚剤
・可縫製向上剤
・硬化剤
・スリップ防止剤
・スナッグ向上剤
・酸化防止剤

柔軟剤

柔軟剤は、風合い調整のために使用することがよくあります。
柔軟剤は繊維を内部的に柔らかくするのではなく、表面の滑り具合を変化させるだけですので、間違わないでください。

柔軟剤の主成分は陽イオン(カチオン)界面活性剤です。

界面活性剤には水になじみやすい「親水基」と油になじみやすい「親油基」の2つがあるのですが、柔軟剤の主成分である陽イオン(カチオン)界面活性剤は、プラスの電気を帯びている「親水基」をもっています。
そして、服などの繊維表面は水にぬれるとマイナスの電気を帯びます。すると柔軟剤の親水基が繊維表面に吸着します。
親水基が内側に、親油基が外側になり、柔軟剤が繊維の表面に並んだ状態になるため、繊維表面に油の膜ができますので、摩擦抵抗が減少するため、肌触りが良くなったように感じられます。また、静電気の発生も少なくなる効果もあります。
逆に繊維表面に親油基が並ぶため、柔軟剤を使うと吸水性が悪くなります。
次に洗剤は陰イオン(アニオン)界面活性剤が主成分の一つとなっているのですが、この陰イオン(アニオン)界面活性剤と陽イオン(カチオン)界面活性剤が混ざると洗剤の洗浄能力が低下します。つまり汚れ落ちが悪くなります。


陽イオン界面活性剤についてもっと詳しく!

陽イオン界面活性剤は大別すると
第四級アンモニウム塩と第三級アミン塩に分けられます。

第四級アンモニウム塩はさらに
ファブリーズなどに使われているベンザルコニウ厶型
大手メーカー柔軟剤に多いジアルキル型
ヘアリンス・コンディショナー・トリートメントなどによく使われるものアルキル型に分類されます。

ベンザルコニウム型
殺菌剤、除菌剤、抗菌剤、逆性石鹸、消臭剤などが主な用途となっています。
そして刺激性や毒性は非常に強いものです。

ジアルキル型
衣料用柔軟剤、ヘアコンディショニング剤、帯電防止剤、抗菌剤が主な用途となっています。
刺激性・毒性は強めです。

モノアルキル型
ヘアコンディショニング剤、帯電防止剤、抗菌剤が主な用途となっています。
刺激性・毒性は強めです。

第三級アミン塩は
脂肪族アミドアミン塩
アルキルアミン塩に分類されます。

脂肪族アミドアミン塩
低刺激性柔軟剤、低刺激性ヘアコンディショニング剤、抗菌剤が主な用途です。
刺激性・毒性は弱めとなっています。

アルギルアミン塩
乳化剤、防錆剤、抗菌剤が主な用途で、
刺激性・毒性はかなり弱めです。
柔軟剤を大量に使用すると家庭用浄化槽の微生物が死んでしまうとまで言われていますので下水処理場にも何らかの影響があるものと推測できます。

ただ、最近の柔軟剤は生分解性を高めるため、エステル化しているものが増えてきました。

エステル型ジアルキルアンモニウム塩と成分欄に記載されているものです。
最近、香り成分を長時間残すため、増粘剤を混ぜた製品も多くなっています。その影響として柔軟剤はさらに洗濯機と衣類を汚しているのです。

柔軟剤の毒性について

柔軟剤に使われている陽イオン界面活性剤の毒性は洗剤に使われている陰イオン界面活性剤の毒性の数倍~10倍以上といわれています。

陽イオン界面活性剤(塩化ベンザルコニウム)は毒物にも指定されています。
洗剤に使用される陰イオン(ア二オン)界面活性剤の中で最も毒性が強いといわれている「ラウリル硫酸塩」の毒性は、半数致死量(LD50値)で表すと2700mg/kg程度ですが、柔軟剤やリンス剤によく使われる塩化アルキルトリメチルアンモニウムはおよそ50~300mg/kgといわれています。
10倍から50倍毒性が強いことになります。

防融加工


防融加工は難融加工ともいいます。200〜250℃以上の高温で収縮したり、溶融したりする性質を持つポリエステルや、ナイロンなどの合成繊維に、これらの性質を防ぐために施す加工のことです。
比較的熱に強いアクリル樹脂をコーティングしたり、高熱にあうと一時的に水分を出して布の温度を下げるような化学処理を施す方法があります。


消泡剤


消泡剤は、染色加工中に発生した泡を消すための薬剤
です。
つまり、染色加工あるいは捺染工程中に泡が発生すると、不均染あるいは濃度低下の原因となるため、この消泡剤を使う必要がでてくるのです。
例えば、液流染色においては、泡による循環ポンプの機能低下、また、生地の連続染色においては、不要な染料の付着(泡の付着)による染め斑などが発生してしまいます。
消泡剤には、発生した泡を一時的に破壊する「破泡剤」と、泡の発生を継続的に抑制する「抑泡剤」とがあります。
主な消泡剤には、低級アルコール類、ジメチルシロキサン類のシリコン油、HTBの低い界面活性剤、ソルビタンエステル、ポリプロピレングリコール系界面活性剤などがあります。


還元剤

還元剤は、還元力がある薬剤のことを言います。
すなわち、他の物質に水素を与えることができる物質、または他の物質から酸素を奪い取る物質のことです。
この還元剤を用途別に分けると、次のようになります。
① 漂白
亜硫酸ガス、亜硫酸、重亜流酸ソーダ、酸性亜硫酸、ハイドロサルファイトなど。

② 脱色
ハイドロサルファイト、ロンガリット、亜鉛末、ブドウ糖、塩化チタニウム、塩化第一錫、酢酸第一鉄、亜硫酸カリウムなど。

③ 染料の溶解/還元
ハイドロサルファイト、ロンガリット、デクロリン、亜鉛末、ブドウ糖、硫化ナトリウム、酸性硫酸ナトリウムなど。

理系なのに知らなかった単語集

・グラフト重合
グラフト(graft)とは接ぎ木の意味であり,高分子化学では幹ポリマーに枝ポリマーを接ぎ木すること



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