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#ネタバレ 映画「DOGMAN ドッグマン」

2024.3.9
母を慕う物語であり、映画「孤狼の血」も連想する

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

家族に虐待され、犬小屋に監禁された子どもの物語です。

予告編を観たら泣けたので、初日に映画館へ急ぎました。しかも、ひっそりの上映開始でしたが、これはリュック・ベッソン監督作品なのです。

予告編ではヘビーなアクションのようですが、えぐいストーリーにもかかわらず、描写は抑制されていますので、安心して観られました。。

しかも、アクション映画と言うより人間ドラマのような感じもありますから、あまり薄っぺらくありません。

内容的には映画「レオン」×  映画「グラン・ブルー」、それに映画「ジョーカー」のエッセンスと言ったところでしょうか。

映画館でも泣けました。

追記 2024.3.9 ( 「痛み」の共有と、転移性恋愛 )

女装をした主人公・ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズさん)は、警察で精神科医の女性から取り調べを受けます。彼女は黒人で、離婚したらしく乳飲み子を育てています。

ダグラスは自分の命が長くない事を知っているので、自分の子供同様のたくさんの愛犬たちの、新しい里親を探していたはず。

転移性恋愛といって患者が精神科医に恋する事もあるようですが、そんなダグラスは、取り調べの終わりには、彼女を気に入ったみたいですね。

そして、犬たちの新しいご主人様に指名したようです。

もちろん、彼女はそんなことは知らないでしょう。しかし、ダグラスは犬たちにはそう教えたように思います。

追記Ⅱ 2024.3.10 ( これはダグラスが無意識に母を慕う物語だったのか )

ダグラスが父と兄から犬小屋に監禁された後、気弱な母は一人家出しました。犬小屋に立ち寄り、缶詰のようなものを渡して、「父たちに見つからないよう埋めておきなさい」と言って去っていきました。ダグラスを救おうともせず、警察に通報もせずに消えたのです。

その事と、(成り行きもあったとはいえ)後にダグラスが女装をして捨て犬の里親になった事は、無関係ではないように思います。「決して弱者を見捨てない」という強い決意もあったでしょうが、女装をすることで自己と母を同一化し、そんな母にでも再会したかったのでしょう。

そして、これは表層的な話で、深層的には、やはりLGBTQの差別問題にもふれていたのだと思います。父に撃たれて無くした一本の指は、男性器の記号でもあったと思います。

追記Ⅲ 2024.3.11 ( 映画「孤狼の血」も )

内容的には映画「レオン」× 映画「グラン・ブルー」、それに映画「ジョーカー」のエッセンスと言ったところでしょうか。(本文より)

この他にも、ダグラスが住民から「クリーニング店を守ってくれ」という依頼を受けるシーンでは、映画「ゴッドファーザー」を連想したので(それを思わせる挿入曲も流れ)、映画「DOGMAN ドッグマン」は色々な映画のエッセンスを上手に取り入れているように思いました。

そして、忘れてはいけないのは、映画「孤狼の血」も入っていたのではないかという事です。

以下、映画「孤狼の血」のネタバレにも触れます。

狼と犬は似た者同士ですし、どちらの主人公も基本的には調整役(公務員的)に動いていました。

それから、ダグラスが黒人警官にタバコの火をつけてもらい、「良いライターだね」と言って、そのライターまでもらうシーンがありました。このシーンには必然性が無さそうなので、逆に、記号として重要な意味が込められているように思います。私は映画「孤狼の血」に出て来た主人公の形見となるライターを連想しました。映画「DOGMAN ドッグマン」は、映画「孤狼の血」へのオマージュでもあったのでしょうか。

そう思うと、①映画「孤狼の血」では豚小屋だったものが、②映画「DOGMAN ドッグマン」では犬小屋になっているように思えました。ちなみに、深層的には②の犬小屋はキリスト教の「馬小屋」でもあったのかもしれません。①の豚小屋で糞尿にまみれたライターは聖書の言葉「豚に真珠」でもあったのでしょう。

①では主人公への内偵の密命を受けていた新人刑事が、主人公亡きあと、逆に、形見のライターを手にして二代目になってしまいます。ミイラ取りがミイラになったのです。②では主人公から事情聴取をしていた精神科医が、主人公から犬の里親に指名され、逆に二代目になりそうなラストです。

②で、警察官からもらった(キーである)ライターが、保安官バッジの意味を持つ記号だとしたら、この段階からダグラスは犯罪者から警察官になっていたことになります。ならば、犬たちも警察犬になったのであり、精神科医はその担当者になったという意味なのかもしれませんね。

追記Ⅳ 2024.3.13 ( 映画「孤狼の血 LEVEL2」も注目 )

映画「孤狼の血 LEVEL2」を少しTVで観ました。

そうしたら、犬の檻に人間が監禁されるエピソードが出て来ました。ますます映画「DOGMAN ドッグマン」との関係が深まった感があります。

又、映画「DOGMAN ドッグマン」には敵のボスの股間に噛みつく犬のエピソードがありましたが、映画「孤狼の血」にもヤクザの男根を手術しようとする主人公がいました。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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