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#ネタバレ 映画 「おおかみこどもの雨と雪」

「おかみこどもの雨と雪」
時が来るとアイデンティティーが目覚める
2014-10-13 13:43byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

私がお気に入りのコンサートは演奏時間が1時間以内のものです。それ以上長いと、座席に座っているのが苦痛になりますし、終わった後にも疲労感が残るからです。

1時間のコンサートを楽しんだら、その後は新鮮な空気を吸いながら30分ぐらい散歩をし、素敵な喫茶店でもさがして、1時間ほど友人とお茶するのが好きです。

これでトータルタイム2時間半。往復の時間を入れても、ゆったり半日の幸福タイム。音楽と、お茶と、おしゃべり、そうやって半日を充実して過ごすことができます。

映画の上映時間は2時間というのが相場です。たまに90分前後のものがあるけれど、別に短すぎるという感じも、損をしたという気分もありません。空いた時間は街ブラでもすればよいのです。自由時間が増える分だけ嬉しいぐらい。つまり映画は上映時間ではなく内容の濃さなのですね。

映画にも2時間半ぐらいの作品がたまにありますが、おじさんの私としては、上映中のトイレの心配や、鑑賞後の疲労感を思うと、基本的には観たくありません。たいていDVDになるまでパスします。そのとき、わたしのアイデンティティーが目覚めるのです。

ものには、それぞれ、ふさわしい時間があります。

映画「おおかみこどもの雨と雪」では、そんな時間を描いていたのかもしれません。

人間の女とオオカミの男、二人は出会い、結婚して、長男と長女が生まれます。

長男と、長女は、人間の子供として成長しますが、やがて二人とも野性に目覚めるときが来るのです。

1人はかろうじて人間界に残りますが、もう一人は悩んだあげく山へ帰って行きます。

子供には子供でいる時間があるのです。

それを超えると野性(アイデンティティー)が目覚める。

親は、つらくとも、それを是認しなければなりません。

よく言われる通り、子供は親の所有物ではありませんから。

これは映画「猿の惑星/創世記〈ジェネシス〉」と似たような主題の作品だったのかもしれません。

チンパンジーたちも、オオカミの血を引く長男も、山へ帰って行きました。チンパンジーたちは怒りを胸に帰って行きましたが、オオカミの血を引く長男の心中はもっと、もっと複雑でしょう。

その心中を一言ではうまく表せません。その分だけ、日本のアニメは深い。世界中で高く評価される理由が分かりました。

★★★★☆



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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