幻の歌人
『短歌ムック ねむらない樹 vol.3』 (編集)大森静佳 , 佐藤弓生 , 染野太朗 , 寺井龍哉, 東直子, 田島安江
特集「映画と短歌」は歌人が映画を観に行って感想を言ってもそれほど面白いとは思わない。むしろそれを短歌にして並べるとか。感想のあとに短歌というのはあったのだが。そういう歌をもっと紹介して欲しかった。
特集としては短歌映画『ひかりの歌』の宣伝が目的なのかなと思った。『ひかりの歌』は動画サイトで探したのだが観られないので内容はわからない。ちょっとした短歌映画ブームなのか?短歌というよりカルタ映画として、『ちはやふる』があったし、東直子『春原さんのリコーダー』も最近公開された。映画としては『ちはやふる』は別にして短歌好きじゃないと厳しいかもしれない。
そんなことで過去の短歌映画が紹介されたが、寺山修司『田園に死す』は面白かった。あの映画を観て寺山修司の短歌に惹かれたという人も多いと思う。私もその一人だった。そのぐらいのインパクトのある短歌映画はないものだろうか?
短歌映画の紹介で吉永小百合主演の『華の乱』を観た。この映画は吉永小百合が与謝野晶子を演じているのだ。寅さんシリーズで「サラダ記念日」篇があるとか。寅さんシリーズは全部観たけど印象は薄い。その頃は短歌に興味もなかったから。
特集「短歌の言葉と出会ったとき」
むしろこっちの特集の方が初心者には面白い。歌人(歌人でない人もいるが)どのへんから短歌にのめり込んだのかという話は興味深いのだ。それぞれの歌人の出自が伺えて興味深かい。
高野公彦「短歌の様式について」は現代短歌の変遷について、啄木~茂吉・雅子~塚本邦雄と紹介している。
寺井奈緒美「笹井さん」は自身の言葉と思い出と笹井宏之の短歌との出会いを綴った好エッセイ。
土岐友浩「学生短歌からはじまった③」は大学の歌会で出会った友人のエピソード。無名の人なんだが、その短歌になぜか惹かれるところがある。觜本(はしもと)なつめという名前だけでも魅力的だ。幻の歌人みたいだな。
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