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短歌貫通式

『ねむらない樹 〈vol.6〉 - 短歌ムック 特集:第三回笹井宏之賞発表』

第3回笹井宏之賞発表号!
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす(笹井宏之)
【巻頭エッセイ】
小野和子(民話採訪者)「商人の妻」
【特集1 第3回笹井宏之賞発表】
▼大賞
乾遥香「夢のあとさき」
▼個人賞
大森静佳賞:瀬口真司「KILLING TIME」
染野太朗賞:嶋稟太郎「羽と風鈴」
永井祐賞:川村有史「退屈とバイブス」
野口あや子賞:手取川由紀「オレンヅ」
千葉雅也賞:向井俊太「ここにはいない」
▼選考座談会
大森静佳×染野太朗×永井祐×野口あや子×千葉雅也(哲学者)

【特集2 黒瀬珂瀾】
自筆年譜
自伝的エッセイ「うたのタイムトンネル 短歌と僕の20年」
自選百首(『黒耀宮』『空庭』『蓮喰ひ人の日記』『ひかりの針がうたふ』から)

【特集3 現代川柳の衝撃】
▼短歌読者のための現代川柳案内
樋口由紀子
▼川柳・短歌・短文
暮田真名、川合大祐、柳本々々、飯島章友、正岡豊、初谷むい
▼座談会「現代川柳は命綱なしのポエジー」
小池正博×瀬戸夏子×なかはられいこ

【特集4 2020年の収穫】
東直子、土岐友浩、水原紫苑、山田航、枡野浩一、松村正直、大塚真祐子、千葉聡、堂園昌彦

【特集5 『林檎貫通式』を読む】
小原奈実、杉田俊介、ひらりさ

【対談】神田伯山(講談師)×森本平
「覚悟と誇り 講談師、高校時代の恩師と再会する」

【作品20首】
伊波真人「ユートピア」
菊竹胡乃美「パラシュートを開きながら」
田中槐「たかしの(と)ゐた日日」
兵庫ユカ「ハッピーアワー」
鈴木晴香「偽善者になるには一日は短い」
佐藤羽美「尾根」
林和清「月のあをじろ」
目黒哲朗「そののちの日々」
山中千瀬「花図鑑より」
小島なお「そして」
吉川宏志「退路」
廣西昌也「ジビエ処理場」

【新連載】
細馬宏通「短歌に近づく」

【特集1 第3回笹井宏之賞発表】

良さも駄目なところもわからない。ただ言えるのは興味がないということなのかもしれない。笹井宏之賞の第一回の柴田葵「母の愛、僕のラブ」はいいと思ったのだがそれが去年の11月だった。まあ、新しい短歌はどういう風潮なのか知りたくて『ねむらない樹』も読み始めたので、まだ新しい短歌を読み慣れていないというのもあるのかもしれない。

考えてみればそれも無理からぬ話であって、去年から本格的に短歌をやろうと思っていたのだから。その一環として『眠らない樹』を詩誌として、『角川 短歌』と平行して読んでいこうと思ったのだ」。【特集4 2020年の収穫】で短歌本を上げられているが、2022年の短歌本でやっと木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』を9月に読み始めて、短歌を作ってみようと思ったのだ。

それまでは俳句の息抜きに短歌を作ることはあってもほとんど俳句の延長として、七七が余計に付くものしかイメージがなかったのだ。そしていよいよ理想の短歌だと思えた本に出会えたのが穂村弘『シンジケート』を読んだのが去年の11月。それまでに穂村弘の短歌レッスン本は何冊か読む程度だったのだ。

その過程で「うたの日」の挫折の日々があり、自分が短歌に求めるものはなんだろうと考え始めたのたが「短歌レッスン」から「シン・短歌レッスン」の流れであった。

ここまでの自身の短歌歴の振り返りをやってどうするという話だが、とにかく現代短歌を理解したくて、こういう雑誌を読んでいるのである。

【特集3 現代川柳の衝撃】

そんな中でこの川柳と短歌で同じテーマを詠むという企画は面白く、新たな発見もあった。特に初谷むい「ときめきに死す!」は目から鱗でした。短歌レッスン99の「模範十首」。

【特集2 黒瀬珂瀾】

それと現代短歌の新しい流れと短歌が一番輝いていただろうと個人的には思える寺山世代の橋渡しとして、【特集2 黒瀬珂瀾】は興味深い内容だった。世代はひと世代下だと思うがゴスロリとかあのへんのロック感覚だと思う。自分はフリー・ジャズの遅れてきた世代だったから、なんとなくその感覚はわかるような気がしないでもない。ただ電化マイルスを受け入れないタイプなんで、黒瀬珂瀾に対してはアンチかもしれなかった。

【特集5 『林檎貫通式』を読む】

むしろ驚きは最近のフェミブーム(マイ・ブーム)の中で【特集5 『林檎貫通式』を読む】は面白かった。

新発売のファンタのゲップしつつみな人工呼吸にあこがれている
婦人用トイレ表示がきらいきらいあたしは喧嘩強い強い
だれとだってできることでしょ一突きでクラッシュアップルパイできあがり
ジャイアンの妹ではなく始めからジャイ子という名で生まれる世界
流しそうめんは死ぬまでに絶対にやろうねと隣の奥さんと約束をする
助けて枝毛姉さん助けて西川毛布のタグ助けて夜中をなで回す顔

飯田有子『林檎貫通式』

そうだ。穂村弘『短歌の友人』で飯田有子に出会っていたのだ。それは2013/09/17に読了が付いていたけど感想はなかった。まだ短歌の面白さよくわからなかった時期。乱読の一覧として穂村弘を読んでいたに過ぎない。


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