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#37' Still Crazy('23.7.27)

 多分これは私の好きなもの第4弾なのだが、好きなのは間違いないけれど、こんなことを書いていいのだろうかという躊躇いが実はまだある。基本的に文章を書くということはラブレターを書くことだと思っているけれど、その一方で、人に自分の好きなことを公表するのは結構勇気の要ることだよなあとも思う。最近、特に若い女性の書く文章を読んでいて「これを書くかあ!」と感心することが多い。多分覚悟が違うのだ。その爪のアカでも頂くつもりで書き進めてみようと思う。
 Still Crazyというのは、ポール・サイモンのStill Crazy after All These Yearsからとったフレーズだ。時々、好きなテーマで選曲したCDを編集したりすることがあって、月とかワルツとかある中にこのStill Crazyもある。最初はローリング・ストーンズのAngieからとったStill Love Youというタイトルだったのだけれど、ストレートすぎるなと思ってStill Crazyに変えた。要は、今でも好きですみたいな曲を集めたCDだ。
 基本(基本が多くてすみません)、私は一度好きになった人を嫌いになることはあまりないのだが、うまく思いが伝えられなかったり、仲良くなってからフラれたりするヘタレなので、別れた後に「好き」の気持ちが残ることになる。若い頃、フラれる前の3フレーズというのがあって、①あなたにとって私は何なの?②私をしっかり捕まえていて!③あなたは強い人だから…というものだ。きっと私には何かが致命的に欠けていたんだろう(多分今でも)。
 そんな訳で、私は以前から「偶然昔の恋人に会った」みたいな歌にめっぽう弱い。aikoの「気付かれないように」とか、矢野顕子がカバーした「Bye Bye」とか、ニール・ヤングの「Oh,Lonesome Me」とか、ロバータ・フラックの「If Ever I See You Again」とか…。トム・ウェイツの「Marha」はいつ聴いてもジーンとくる。昨年の春に上京した折、友人がレコードの聴けるバーに連れて行ってくれて、その本店の名前がマーサという名前だというので、思わず「それってトム・ウェイツの?」と尋ねてしまった。結果そうだと言うので、その店でレコードを掛けてもらってボウモアをもう一杯頂いた次第だ。幸せな時間だった。
 いい歳をした親父が何バカなことをと笑われても仕方がない。勿論私とて四六時中そんなことを考えているわけではない。でもたまに、ああ今日は誕生日か、元気に幸せでいてくれるといいなあとかは思う。子供の頃、ルパン三世のエンディングテーマが好きだった。当時は理由が分からなかったけど、今思えば、無意識の内に自分の行く末を自覚していたのかも…。

 ワルサーP38 この手の中に
 だかれたものはすべて消えゆく
 さだめなのさ ルパン三世 🎵

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