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また読みたくなる、お薦め集 その2!
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記事一覧

【essay】 母の残像

母の日に寄せて… 街を歩けば、花屋の店先にさまざまな色のカーネーションが並び、広告メール…

イトカズ
7日前
102

辺境にいる 辺境である 

テリトリー、外、内、辺境  昔の話です。 「仏文学は澁澤龍彦、独文学は種村季弘(たねむら…

星野廉
7日前
143

4回目の春がきた

寝ていたら、包丁のトントンいう音が聞こえてきたので、私はてっきり母が朝ごはんを作っている…

高山唯
2週間前
93

【40秒小説】ふたりだけのかくれんぼ

「もういいかい?」 ミヨちゃんを見つけたら ヘビのおもちゃで驚かせてやろう。 「まーだだ…

429

ミュージック・アワー(フォークダンスの思い出)

高校生のときの話。体育の授業が終わって教室の席につくと、私はふり返り、 「ええのう、お前…

箱男
2か月前
124

「旅館」ーーおばあちゃんと真っ白なシーツ

家の近所に小学校から一緒だった女の子がいた。教室でからかうと、「うっさいねえ。あんたに関…

箱男
1か月前
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大学の友人たちと文通を始めた話

大学の友人たちと文通を始めた。もちろんLINEだったりインスタだったりで繋がってはいるけれど、そこに加えて文通を始めた。生存確認やちょっとした連絡なんてものはスマホでやってしまえば一発なのだが、どうも我々は、手間のかかるめんどくさいことが好きらしい。 別に私は手紙の良さを大いに語って押し付けるような、懐古厨的文章を書こうとするのではない。手紙を書く人間が少数派だってことなんて、わかりきっているから。 しかし、それは悪いことではなくて、単に時代の流れ、技術の発展によるものだ。

わたしらしさを整えてゆく

遺伝って、ふしぎ 親子って、ふしぎ 父と母から DNAを受け継いで それぞれに似たところがある…

ちる
1か月前
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柳あをめる

川沿いの道を下流へと、車を走らせた。四万十川は流れているというよりも、細長くくねる一本の…

abashi goya
1か月前
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【短編小説】春は、ドブにて

 どうもならんかったね。何だろうこれは。どん詰まり、というのとも違う。詰まるような何かす…

No.1196 生みの親 海の母

「私たちん新婚旅行は、別府ん海岸に行くことじゃった。握り飯だけ持っち行ったわ。別府ん店屋…

仁の音
1か月前
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ドーナッツの真ん中

ドーナッツが好き。 たまに何だか食べたくなる。 それも着飾った甘いカラフルなものではなく、…

CHA-TOMO
1か月前
175

さよなら111号室

明日は4年間暮らしたこの部屋、この町を出る。初めてひとり暮らしした部屋、すっかり見慣れた…

7等星
2か月前
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物語を交換するために僕たちは生きている

電車の中でスマートフォンを覗く習慣をやめたら、長らく下駄箱の上に積まれていた本たちがすこしづつ溶けていく。 ほとんどのアプリケーションのモバイル通信はオフにして、通知は最低限。一日のモバイル通信量がゼロに近づいたあたりから、「……ひよっとすると僕、スマートフォンを持つのをやめても生活できるかも」と思ったけれど、いくつかの日常的な運用(交通系ICの処理、チケット類の手続き、音楽プレイヤー等)が煩雑になることを思うと、それはそれでやりすぎだろうと思いとどまった。別にスマートフォ