aosagi31

Twitterでは、拙い草花の写真や読んだ本・聴いた音楽等を呟いてます。noteでは1…

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Twitterでは、拙い草花の写真や読んだ本・聴いた音楽等を呟いてます。noteでは140字に収まらない他愛のない思い出話とかを。いつまで続くか分かりませんが、お時間のあるときにでもお付き合い頂けたらうれしいです。

記事一覧

時の流れ

 連休も終わって、気付けばあっという間に5月も半ば、冬眠していた頃が懐かしい。とは言え、雉、鶯の後にカッコーまで鳴き出しては流石に寝ている訳にもいかず、カメラを…

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2日前
89

とある5月の朝

 目覚ましが鳴る前に、窓の外の明るさで目が覚めた。カーテンを少し引き上げてみると眩しい青空。この二日ほど冷たい雨が続いていたから、その青がよけい鮮やかに感じられ…

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5日前
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人生の比喩

 連休も終わってしまったが、この季節に気を配るものと言えばケムシである(苦手な方、ごめんなさい)。地域差があるかとは思うが、私の住む辺りでは、この季節になると何…

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8日前
113

ビスターリ

 ビスターリというのは、ゆっくりとかのんびりとかいった意味のネパール語らしい。ネパールで山歩きをしてきた知人が、ガイドさんからよくそう声をかけられたと話してくれ…

aosagi31
13日前
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中間報告

 連休の前半が終わった。私は基本ずっとサービス業だったので、必ずしも連休=休みという感覚はない。が、年齢に伴う戦力低下で、最近は少し楽をさせてもらっている。この…

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2週間前
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山吹の候

 山吹の花が開いた。新しい緑を背景にした黄色が鮮やかだ。また一つ季節が進んだことを実感する。花暦ってこういうことなのかもしれない。咲いた花を見て、ここに山吹があ…

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2週間前
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春を送る

 せっかくの爽やかな季節に恐縮だが、このところ何となく気分が今一つスッキリしない。桜も散って山は笑い、既にハナミズキが咲いているというのに、である。蓑虫だって、…

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3週間前
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大阪 on my mind

 手元に「枚岡夜景(瓢箪山)」と題された日本画がある。第1次大阪百景の一枚として、渡辺鶴子という方が大正時代に描かれたもののようだ。すすき野の向こうに遠い街明かり…

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4週間前
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 私たちは、一体どうやっていつの間にかこんなに桜を愛するようになるのだろう?やっぱりDNAに仕組まれているのだろうか?個人差はあるだろうけれど、子供の頃は(お酒が…

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1か月前
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憧憬

 先日、友人を山奥の秘湯に案内した際、途中で以前から気になっていたかつてつげ義春が訪れたという温泉への入口に気付いた。車で通り抜けただけだったけど、街道からV字…

aosagi31
1か月前
134

全く個人的な取り組みですが、お陰様で失くした'23年分の復元が完了しました。再掲にも拘わらずお付き合い下さった皆様、ほんとうにありがとうございました!

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1か月前
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#01' ONCE A FOOL,…('23.1.16)

 「ONCE A FOOL,…」は'85年の11月に発表された高橋幸宏7枚目のオリジナルアルバムだ。カセットテープで持っているから、多分貸しレコードを借りて録音したものだろう。丁…

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1か月前
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#03' 月沈む('23.4.2)

 夜中に、西に回った上弦過ぎの月あかりで目が覚めた。スマホを見ると午前2時、昼間に桜を見過ぎたのかもしれない。眠れずにぼおっとしていると、この時間にも結構列車が…

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1か月前
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#04' 坂本龍一さんのこと('23.4.3)

 一年を通した個人的な坂本龍一歳時記とでも言うべきものが自分の中にある。春は音楽図鑑、梅雨時はスイートリベンジ、夏はビューティーで、秋には/'04、/'05。冬は1996で…

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1か月前
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#06' 再会('23.4.14)

 学生の頃、Nというクラスメートがいて、入学当時よく授業で一緒になった。関西出身でピアノを弾いていたNは、いつも大きな布の袋をぶら下げていた。多分そこには教科書と…

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1か月前
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#07' 夜半の雨と村上春樹('23.4.17)

 土曜の夜、というか日曜の朝?結構しっかりとした雨音で目が覚めた。スマホで時間を見ると午前1時前、しばらくベッドの中で雨音を聴いていたけれど、眠れそうもないので…

aosagi31
1か月前
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時の流れ

 連休も終わって、気付けばあっという間に5月も半ば、冬眠していた頃が懐かしい。とは言え、雉、鶯の後にカッコーまで鳴き出しては流石に寝ている訳にもいかず、カメラをぶら下げてぼちぼちと畦道を彷徨い始める。元々花の写真がメインなので、冬枯れで対象の少ないことが冬眠の一つのきっかけでもあったのだが、2年半ほど毎朝写真をアップしていたら、自分の写真に自分がワクワクしなくなってしまった。勿論、私レベルの素人が何を生意気なという話で、同じ対象でもいくらでも撮りようはあるはずなのだが、そこが

とある5月の朝

 目覚ましが鳴る前に、窓の外の明るさで目が覚めた。カーテンを少し引き上げてみると眩しい青空。この二日ほど冷たい雨が続いていたから、その青がよけい鮮やかに感じられる。が、その分放射冷却で気温は低そうだ。リビングに降りて、朝刊の後にスマホを開くとメールが14件。何事?と思って開いてみたら、学生時代の級友の訃報が届いていた。  Kは、大学に入った時のクラスメイトだった。大学にもクラスがあることは驚きだったが、次第にキャンパスへの足が遠のいたせいで、私のクラスメイトに関する記憶は入学

人生の比喩

 連休も終わってしまったが、この季節に気を配るものと言えばケムシである(苦手な方、ごめんなさい)。地域差があるかとは思うが、私の住む辺りでは、この季節になると何故かケムシが決死の道路横断ツアーを敢行する。道路の向こうに一体何があると言うのか?何がケムシをその命知らずなチャレンジに駆り立てるのか分からないが、お陰でこちらはケムシを踏まないように細心の注意を求められる。さすがにケムシを避けて車にぶつかる訳にもいかないが、迂回したり両輪で跨いだり大変な騒ぎだ(うそ、別に騒いではいな

ビスターリ

 ビスターリというのは、ゆっくりとかのんびりとかいった意味のネパール語らしい。ネパールで山歩きをしてきた知人が、ガイドさんからよくそう声をかけられたと話してくれた。いい言葉だなと思って記憶に残った。  30歳になった頃、仕事仲間から「あなたは急ぎ過ぎている」と言われたことがある。具体的な個別の仕事についてではない、多分生き方の話だ。何をもってそう言われたのかは分からないけれど、確かにあの頃、私は何者かになりたくて焦っていたのかもしれない。何になりたいのか分からなかった分猶更に

中間報告

 連休の前半が終わった。私は基本ずっとサービス業だったので、必ずしも連休=休みという感覚はない。が、年齢に伴う戦力低下で、最近は少し楽をさせてもらっている。この連休前半は、来客の準備をし、東京から帰省した甥孫の三輪車を組み立て、隣の敷地にはみ出していたマサキの剪定をした。夕方、「5月のミル」のサントラをかけて、窓の外の新緑を眺めながらジントニックを飲んでいたら、しみじみと気持ち良かった。考えてみると、これまでは連休といってもポツポツとある休みの中で帰省をしたり、逆に帰省する親

山吹の候

 山吹の花が開いた。新しい緑を背景にした黄色が鮮やかだ。また一つ季節が進んだことを実感する。花暦ってこういうことなのかもしれない。咲いた花を見て、ここに山吹があったんだなあと毎年思う。そのくせ、花が終われば忘れてしまう。でも、当たり前だけれど山吹は無くなる訳でもなく、忘れられても誰が見ていなくても黙って一年間力を蓄えて、また次の年に花を咲かせる。山吹に限ったことではないけれど、見事な在り方だと思う。花のように在りたいとも。せめて一年に一度くらい…。  IT系の機器にはKeep

春を送る

 せっかくの爽やかな季節に恐縮だが、このところ何となく気分が今一つスッキリしない。桜も散って山は笑い、既にハナミズキが咲いているというのに、である。蓑虫だって、もう蛾になって外を飛び回っていることだろう(蓑虫って、蛾になるのはオスだけで、メスはずっと蓑の中にいるって知ってました?)。自分の機嫌くらい自分でって、ああ、あれは自分の感受性くらいか、失礼しました。でも、偶にグダグダしたい時もあるじゃないですか、人間だもの(いつもか?)。  ひょっとして暇すぎるのか?小人閑居して不善

大阪 on my mind

 手元に「枚岡夜景(瓢箪山)」と題された日本画がある。第1次大阪百景の一枚として、渡辺鶴子という方が大正時代に描かれたもののようだ。すすき野の向こうに遠い街明かりが見える。調べてみると、瓢箪山は近鉄奈良線の生駒山の手前なので、東の方から西に大阪の街を望んでいる絵だということが分かる。今はもうこうしたすすき野はとっくに姿を消しているのだろうが、金箔で表現された街の灯に惹かれて、毎年秋になると和室に飾っている。  年明けから読み始めた「大阪の生活史」をようやく読み終えた。東京とも

 私たちは、一体どうやっていつの間にかこんなに桜を愛するようになるのだろう?やっぱりDNAに仕組まれているのだろうか?個人差はあるだろうけれど、子供の頃は(お酒が飲めなかったから?)お花見は大人や年寄りのものだと思っていた。その頃桜の唄と言えば「さくら さくら 弥生の空は♩」という唱歌くらいのものだったけれど、近年はおしゃれな桜ソングがたくさんあって、若い人たちにもお花見は大事な季節行事になっているようだ。  初めてはっきり桜をきれいなだあと思って眺めたのは、浪人が決まった春

憧憬

 先日、友人を山奥の秘湯に案内した際、途中で以前から気になっていたかつてつげ義春が訪れたという温泉への入口に気付いた。車で通り抜けただけだったけど、街道からV字型に入り込んだ路地は往時の面影を色濃く残し、突き当りに2軒の茅葺屋根の温泉宿と地元の方用の共同浴場があった。今にも浴衣に風呂桶を抱えたつげさんが歩いてきそうだった。  「無能の人」を読んだのは二度目の転職前で、ちょうど無職同然の頃だったから、描かれている主人公の状況がひとしお身に沁みた。十代の頃から仙人になれないものか

全く個人的な取り組みですが、お陰様で失くした'23年分の復元が完了しました。再掲にも拘わらずお付き合い下さった皆様、ほんとうにありがとうございました!

#01' ONCE A FOOL,…('23.1.16)

 「ONCE A FOOL,…」は'85年の11月に発表された高橋幸宏7枚目のオリジナルアルバムだ。カセットテープで持っているから、多分貸しレコードを借りて録音したものだろう。丁度レコードがCDに代わり始めた時代で、まだ貸しレコード屋があった。YMO解散後のものを全部持っている訳ではないから、シックなジャケットと「昔々あるところに一人の愚か者が…」というタイトルに惹かれたのかもしれない。  当時、私は夏に一年間の研修から東京に戻って配属が決まり、初秋にようやく会社の寮を出て阿

#03' 月沈む('23.4.2)

 夜中に、西に回った上弦過ぎの月あかりで目が覚めた。スマホを見ると午前2時、昼間に桜を見過ぎたのかもしれない。眠れずにぼおっとしていると、この時間にも結構列車が走っていることに気付かされる。多分貨物列車だろう。小学校で習った唱歌を思い出す。   いつもいつも 通る夜汽車   静かな 響き聞けば   遠い町を 思い出す  5年か6年の教科書に載っていたその歌を、村の分校で1年か2年の時に習った。合唱の下のパートを覚えている。ハモるのが得意だった。  遠い町を思い出すと言えば、仕

#04' 坂本龍一さんのこと('23.4.3)

 一年を通した個人的な坂本龍一歳時記とでも言うべきものが自分の中にある。春は音楽図鑑、梅雨時はスイートリベンジ、夏はビューティーで、秋には/'04、/'05。冬は1996で、気持ちいい夏の夕暮れにはCASA、雪のドライブにはBTTBウラをかけて、仕事が忙しい夜はアクアを聴きながら水の中に沈むように眠る、といった具合だ。  YMOもいけないルージュマジックも衝撃的だったけど、かっこいいなあと印象に残っているのは、六本木WAVEで音楽図鑑のアナログ輸入盤が面でディスプレイされてい

#06' 再会('23.4.14)

 学生の頃、Nというクラスメートがいて、入学当時よく授業で一緒になった。関西出身でピアノを弾いていたNは、いつも大きな布の袋をぶら下げていた。多分そこには教科書と楽譜が入れられていたのだろう。春には快活だったNの顔から少しずつ笑顔が減り、次第に教室で見かける回数も少なくなっていったのは、初めての一人暮らしの中でNが何かしらの悩みを抱えていたからに違いない。それなのに、久しぶりに教室で会ったNに私がかけた言葉は、励ますつもりだったにせよひどくキツい一言だった。思い返すに、その頃

#07' 夜半の雨と村上春樹('23.4.17)

 土曜の夜、というか日曜の朝?結構しっかりとした雨音で目が覚めた。スマホで時間を見ると午前1時前、しばらくベッドの中で雨音を聴いていたけれど、眠れそうもないので起き出した。村上春樹の新刊を読むにはもってこいの夜だ。  前日の午後から、新刊の「壁」を読み始めた。登場人物は17歳のぼくと一つ年下のきみ、その出会い方からしてダメな人はダメなんだろうなあと思いながら、勿論ダメではない私は、読み終えてしまうのが惜しいのでわざとゆっくりページをめくっていく。  初めて村上春樹を読んだのは