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(詩)セーラー服を脱いでも

いつも電車で見かけるきみも
どうやら今年卒業で
最後の期末テストが終わってから
卒業式までは

セーラー服を脱いで
近くのケーキ屋で
バイトしているらしい
ためしにのぞいてみたら

その店にも制服があって
きみにはとても似合っていたけど
はじめて見た時は思わず
ドキッとしてしまった

なんだかきみが急に
大人になってしまったようで
ぼくひとりだけ
取り残されてしまうような

それで思わず
店の中に入ってしまったけど
ただケーキを注文するのが
やっとだった
うつむいたまま

はじめてきみと
言葉をかわしたというのに


いつも電車で見かけた
あのセーラー服を
きみが着るのもあと
卒業式の日、だけだね

この街できみの姿を
見かけるのもあとわずか

それからきみは
セーラー服を脱いで
都会へ出てゆく

だけどセーラー服を脱いでも
だからセーラー服を脱いでも

忘れないでね
いつも夢見るように
笑っていたきみのこと

セーラー服を脱いでも

夢見ていたきみを


※シーズンに合わせた再投稿です。

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