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LA LA LANDはなぜ傑作か

ミュージカルでジャズな映画。
嫌いなわけない。
定期的に見ちゃう。

ジャズってお洒落で大好きなんだけどでLA LA LANDは全くそういう扱いじゃない。
女優を目指す主人公ミアは「ジャズは嫌い」 とかいう。なんで!?
ジャズ好きのセブだって「ジャズは瀕死」とか言うし。
以下、ストーリー。


オーディションに落ちたミアはルームシェアする3人の女優のたまごに誘われてパーティーに参加。
(衣装も部屋も小物もこれでもかってくらいお洒落。原色大好き)
帰り道、ミアがひとりで街を歩き出すとどこからか切ないピアノの旋律が聞こえてくる。
‘Mia & Sebastian’s Theme (Late For The Date)’ - La La Land Original Motion Picture Score - YouTube
そこでピアノを弾いていたのがセブだった。
セブはオーナーからクリスマスソングを弾くように言われていたのに言いつけを破ってフリージャズを弾いていた。
セブの演奏、生演奏でもないのに惚れ惚れするほど美しい。
スタインウェイだった。
どーりで。いくらするんだろ?
言いつけを破ったセブはその場でクビに。
ミアは「素晴らしい演奏だった」と声をかけようとするけど、
むしゃくしゃしているセブに無視される。

その後2度偶然の再会を果たして2人は惹かれ合う。
ピアノ前奏→セブの口笛から始まるCity of Starsがいい。
04 Pixel8 Magic EditorYool 15s G (youtube.com)

セブとのデートと恋人とのデートをブッキングさせてしまったミア。
もちろん恋人の方に行くんだけど食事中にレストランのスピーカーから流れてきた曲が、セブとの出会いの日に彼がピアノ(スタインウェイ)で弾いてた曲であることに気付き席を立ってしまう。

ミアがレストランを出て駆け出すと曲調はよりドラマチックに。
そこから映画館で再会したミアとセブがグリフィス天文台に向かうシーン。
もうドラマの中のドラマにぐいぐい引き込まれてしまう。
天文台でのBGMも出会いの時の曲なんだけど明るく軽快にアレンジされてる。
でも元が同じ曲なので切なさが核にある感じがなんとも。
ワルツを踊り出す2人。(相手がいるダンスっていいね…)
プラネタリウムに入ると曲が変わる…と見せかけて同じ旋律をオーケストラで豪華に装飾していく。
ここはセブとミアがまわりが見えなくなるほどの恋に落ちていく様子を幻想的に表現してると思う。

それからは2人の楽しい時期が始まる。
セブはジャズクラブでピアノを弾き、ミアがそれに合わせて踊る。
セブが舞台から降りてミアの元に来るとBGMはAnother Day of Sunのジャズアレンジになる。
La La Land (2016) - Another Day of Sun Scene (1/11) | Movieclips - YouTube

女優としてなかなか芽が出ないミアとジャズクラブの経営者を志すもお金がないセブ。
(ミアは開くなら店名は「セブズ」にしようと提案するけどセブは「チキン・スティック」案を譲らない)
セブはお金がないことを気にし、ミアと一緒にいたくてジャズピアノを辞め、流行曲を弾くようになる。
ここから2人のすれ違いが始まるのだった。
ミアにセブが「もっと会える時間を作りたい。全てを投げ出してついてきてほしい」と言ったことで喧嘩になってしまう。
それはミアにとって夢を捨ててセブのパートナーになることで、
到底受け入れられることではなかった。
セブもそれを本当はちゃんと理解している。
お互いがお互いの夢を応援し、それぞれの夢へと邁進するため、
2人は愛を犠牲にするのだった。

夢を追うミアの気持ちはとても共感できる。
上手くいかないこと続きで夢見すぎていたのだと、
自分の未熟さを知り「才能がない」と打ちひしがれて全てを投げ出しそうになる。
それでもたった1人「才能がある」と言ってくれるセブの存在があるから、完全に望みを断ち切ることができない。
夢を追ったことのある人にしかわからない気持ちを繊細に表現していると思う。

女優として大成したミアはある日、夫とともに出かける。
渋滞のため脇道にそれて夕食をとることに。
たまたま入ったジャズクラブの名前は「セブズ」。
店のロゴデザインはいつかミアが描いてセブに渡したものそっくりだった。ジャズクラブの舞台にはもちろんセブの姿が。
セブもミアに気付き、ピアノを弾き始める。
ミアがセブとの出会いの日に聞いたあの切ない旋律。
その瞬間、ミアはセブとの出会いの日へと引き摺り込まれていく。
(この作品、上質な音楽をトリガーとして上手く物語に組み込んでくる)
出会いの日、ミアは「ピアノの演奏素晴らしかった」と言おうとするけどセブは無視したはずだ。
ところが巻き戻されたフィルムの中では、ミアが「素晴らし…」と言いかけたところでセブがミアにキスする。
セブが今奏でる切ない旋律はAnother Day of Sunと混じり合い(ここ秀逸)、
やがて完全にA nother Day of Sun→City of Stars→Mia & Sebastian’s Themeと駆け抜ける。
というか主旋律に交差していく?
なんかすごくない?
その間、ミアの心には「もし何もかも上手くいってセブと結婚できていたら」という未来が鮮やかに描かれていく。

セブの演奏が終わるとミアも記憶を閉じて現実に帰ってくる。
何も知らずにミアの夫は店を出ていく。
ミアは一度振り返り、セブと笑みをかわして店を去る。(きっと永遠の別れ)セブはミアを見送り次の曲を弾く準備を。

総括。
文学×ミュージカルといえる作品。
(いや全てのミュージカルが文学を内包してるか)
公開された当時は「駄作だ」って言う人もいて信じられない気持ちになったけど、
こうして書いてみると意外と構成が複雑で情報量多いからしょうがないのかもしれない。
楽しませてもらうというより理解しにいく作品。
私が思うにLA LA LANDが傑作といえる最大の理由はそれ。
能動的な鑑賞姿勢を要求する作品だから。
ストーリーも音楽も衣装もなにもかもハイセンスなところももちろん好き。

コンサートたのしみだな〜!

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